米国のJ・D・バンス副大統領は今月上旬、アルメニアとアゼルバイジャンを歴訪した。米国のドナルド・トランプ大統領は昨年8月、長年敵対関係にあった両国の和平合意を仲介した。バンス副大統領の訪問は「国際平和と繁栄に向けたトランプ回廊」の開発を加速させることを目的としていた。この回廊は、アルメニア南部をイラン国境沿いに貫く全長約43キロの戦略的交通路で、アゼルバイジャン本土と同国の飛び地ナヒチェバンを結ぶ。
これに先立ち、カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領とウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領はそれぞれパキスタンを訪れ、戦略的関係の強化について協議した。一方、欧州連合(EU)のマルタ・コス拡大上級代表とトルコのハカン・フィダン外相は6日、EU・トルコ関税同盟の近代化や競争力の強化に向け協力することで合意した。
ユーラシア大陸の大再編
ユーラシア大陸全域でロシアとイランの影響力が弱まる中、地政学的な大再編が進行している。これにより、1991年のソビエト連邦崩壊以来、南カフカスと中央アジアを制約してきた冷戦後の枠組みが急速に崩壊しつつある。その背後で、米国は負担の再配分と約束の再調整に焦点を当てた国際戦略を推進している。これらの動向が相まって、同地域の国々は対外的な連携先を多様化し、ロシアへの依存を低減している。
現在、東欧や黒海からトルコ、南カフカス、カスピ海、中央アジア、南アジア、アラビア海に至る新たな経済圏が形成されつつある。この広大な土地は歴史的に、ギリシャ、ペルシャ、ローマ、ビザンチン、アラブ、トルコ、モンゴル、ロシアといった帝国の争いの舞台となってきた。今日台頭しつつあるユーラシア横断ネットワークで、アゼルバイジャンは欧州、ユーラシア、インド太平洋の経済・安全保障体制を結ぶ戦略的な架け橋として、極めて重要な役割を担っている。これにより、アゼルバイジャンに対する米国の関与は、同地域の変化する勢力均衡に影響を与えるための重要な手段となっている。
こうした中、冷戦時代の政策の名残である1992年の自由支援法第907条は、アゼルバイジャンに対する米国の支援を制限し続けている。この法律は当初、アゼルバイジャンに対し、アルメニアとかつて同国の支配下にあったカラバフの領土に対する封鎖を解除するよう圧力をかけるために制定された。だが、2023年の両国の戦闘終結と、トランプ大統領が仲介した昨年8月の和平合意により存在意義を失ったため、廃止する必要がある。アルメニア系米国人の草の根組織、米アルメニア国民委員会(ANCA)が同法の存続を主張し続けている事実は、国外移住者主導のロビー活動が根強いことを示している。ANCAの活動は、アゼルバイジャンとの和解へと方向転換したアルメニア本国の外交政策からの乖離(かいり)が目立つようになってきており、トランプ回廊計画を含む南カフカスでの米国の国益を脅かしている。



