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2026.03.02 15:00

23・24歳の女性コンビが55億円調達、2025年創業の「Phia」が描くAIショッピング革命

Images By Tang Ming Tung / Getty Images

フィンテックを名乗ることなく金融機能を組み込む、「エンベデッド・ファイナンス」の発想

Phiaは今後、個別最適化されたリワードや、好みを反映したインセンティブ、コミュニティがキュレーションする「デジタルクローゼット」などの機能を展開する予定だ。これらは、フィンテックを名乗ることなく金融機能を組み込む、いわば「エンベデッド・ファイナンス」の発想そのものだ。

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次世代のロイヤルティ、リワード、与信のシグナルは、従来の銀行アプリの外側から生まれる可能性がある。より包括的に消費者行動を理解するAIエージェントが、その起点になるかもしれない。

「ブランドがマーケティング費用をロイヤルティやリワードに振り向ければ、すべての関係者にメリットをもたらすことになる。離脱ではなく、継続につながるからだ」とキアニは語る。このポジショニングは、銀行やカードネットワーク、ウォレット事業者が存在感を競う中で重要な意味を持つ。ロイヤルティはこれまでも顧客をつなぎとめる要素だったが、AIエージェントは“信頼が生まれる瞬間”により近い位置にいるからだ。

初期費用ゼロの成果報酬モデルは、成果連動型の収益モデルへ向かう潮流と重なる

Phiaが採用する初期費用ゼロの成果報酬モデルは、こうした変化を反映している。同社はブランドに対して測定可能な成果をもたらした場合にのみ収益を得る。この仕組みは、インセンティブの整合や成果連動型の収益モデルへと向かうフィンテックの潮流とも重なる。

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「我々は、どう収益化するかを考えることから事業を立ち上げていない。まず考えたのは、消費者にどんな価値を届けられるかだった」とゲイツは語る。Phiaのビジネスモデルは、ブランド側のニーズに応えるよう形づくられていった。ゲイツによれば、同社のプラットフォームにはブランド各社から「商品データを連携したい」「サイズ精度の向上に協力したい」「キュレーション機能に参加したい」といった申し出が相次いだという。「その結果、双方にメリットのあるモデルが成立すると気づいた」と彼女は述べる。

この事例が示しているのは、フィンテックの経済構造自体が変わりつつあるという事実だ。表示回数や取引量を競うのではなく、実際の成果に報いるモデルへ。そして、購買に伴う不確実性も消費者任せにするのではなく、プラットフォーム側が吸収する設計へと重心が移っている。フィンテックとエージェント型コマースが向かう場所

Phiaが最終的にデジタル経済の中でどのような役割を果たしたいのかを問われると、ゲイツはこう即答した。「私の夢は、Phiaがショッピングの出発点になることだ。なぜなら、どのアプリよりもあなたのことを理解している存在になるからだ」

次の10年は、意思決定に影響を与える企業が制する可能性

そのビジョンはファッションにとどまらない。AIエージェントが購買意図や信頼、ロイヤルティを大規模に形成するようになれば、決済システムやリワードプログラム、ID基盤、不正対策のモデルも、新たな前提に適応する必要が出てくる。AIが「顧客」になる時代が始まりつつあるからだ。

フィンテック企業はこの10年、取引をいかに効率化するかに注力してきた。だが次の10年を制するのは、取引が発生する前の意思決定に影響を与えられる企業かもしれない。

AIエージェントが経済的な選択を左右し、場合によっては購入の実行までを担うようになる中で、フィンテックの競争軸も変わる。誰が最も速くお金を動かせるかではなく、資金の行き先を決める信頼を誰が獲得できるかが問われる時代になる。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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