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2026.03.02 13:30

ものづくりブランドを強くする「義理人情型M&A」:forest 湯原伸悟

坂本教晃|東京大学エッジキャピタルパートナーズ (写真左)・湯原伸悟|forest(同右)

坂本教晃|東京大学エッジキャピタルパートナーズ (写真左)・湯原伸悟|forest(同右)

湯原伸悟は2021年7月、forestを創業した。同社は、日本の中小規模のモノづくり企業を連続的に事業承継し、そのポテンシャルを最大化する事業を展開。買収後は商品企画から物流、デザイン、マーケティング、カスタマーサポートなどの強化を行い、成長を加速させる。EC領域に軸足を置いており、累計のM&A実施件数は22件に上る。 

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東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)の坂本教晃は、21年のシードラウンドからforestに参画し、23年のシリーズA、25年のシリーズBで追加出資を行った。その理由とは。


坂本:私は現職に就く前の2007年ごろに、アパレル流通のファミリービジネスで働いていたことがあるんです。ECビジネスの立ち上げをして、ECサイトへの出店や商品の物撮り、需要予測などを一通り経験しました。それで土地勘があったので、最初に湯原さんの話を聞いたときにすごく面白いと思ったんです。 

湯原:私はPEファンドに勤めていた時に小売業に投資していて、日本にはいい商品がたくさんあるのに、多くは適切な利幅を取れていなかったり、マーケティングが不十分だったり、ブランド価値を引き出しきれていないという課題意識をもっていました。PEでのM&A経験を生かして、ECと組み合わせた事業をやってみようと思い立ったのが創業の経緯です。 

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坂本:公認会計士であり、投資銀行やPEで経験を積んだ湯原さんは、すごくファウンダー・マーケットフィットしていますよね。一方で、ストリートスマートさも併せもっている。ECで売れる仕組みを整えるのは地味な作業の連続ですが、湯原さんは、例えば物撮りひとつをとっても、細かい画角にまでこだわっていて、泥くさいことをやり切れる。そして、商品に込められた思いや誠実さをすごく大事にしていると感じます。

湯原:Amazonや楽天で商売をしている出品者って、個人事業主や零細企業が多いんです。我々は、そんな中小規模のブランドに加わってもらい、自前ではやり切れないところを補うことで価値を向上させるモデル。すごく商品企画は上手だけれど、例えば在庫管理などは手が回らないという会社は少なくありません。 

坂本:統合した会社がしっかりと価値をつくり出せていますね。例えば、forestは東京大学と共同で、AI・ビッグデータを使って在庫管理や需要予測を行う研究をしていて、これをグループ内のブランドに活用しています。 24年に能登半島地震が起きたときには、寝袋や非常用トイレといった防災関連グッズを手がけるグループ会社が、十分な在庫を抱える体制を事前につくっていたことで、被災地からの需要に迅速に応えられました。これはビジネスとして成功しているだけなく、社会的にも大きな意義があることです。 

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文=眞鍋武 写真=平岩享

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