しかし、実はこのような言語間の調整の難しさを乗り越えるコツがないわけではない。たとえば、次のように「結論」を足してみるとどうだろうか?
1.主張:俺、アイス好きかも。
2.でも頭がキーンってなったりするよね。あと甘くて体に良くない気がして。
3.結論:でもさ、それでも俺はアイスが好きだ。
伝えたいメッセージの輪郭がより明確になったと感じるのではないだろうか。実は「主張」と同じ「結論」を繰り返すと言いたいことはとても明確になり、ローコンテクストでも受け入れられやすい展開を保つことができるのだ。そしてこの方法こそ本稿で紹介したい、大臣もダボス会議のディスカッションで使っていたテクニックなのだ。
ここで少し「本論」の解説を行いたい。上記の「2.」は、ローコンテクストの構成の「本論」の役割を担う場所に配置されている。だが、「本論」の場所にあるのにもかかわらず、「主張」を支えてはいない。
この例文の「でも頭がキーンってなったりするよね。あと甘くて体に良くない気がして」が「本論」であるならば、「アイスが好きだ」という「主張」を支えていない、すなわち、明確にしていないのである。ローコンテクスト流の英語ではこのような「本論」は避けた方がよいことになる。
それでは、英語の「本論」の作り方に不慣れで、時としてこの例文のように「本論」が弱くなってしまう場合はどうするか。実は「主張」と同じ内容の「結論」を入れるだけで、言いたいことを明確にさせられるのだ。
> 片山大臣ダボス会議の英語、「行間幅切り替え」「結論繰り返し」の妙【原文引用】に続く
松樹悠太朗(まつき・ゆうたろう)◎1978年香港生まれ。YouWorld代表取締役。国際交渉における日本語と英語の行間や文化的作法の違いを調整し、意思疎通のニュアンスを最適化する「コンテクスチュアル・ランゲージ戦略」の専門家。英文Eメール、プレゼン資料、交渉の軌道修正などで成果を上げており、クライアントにはスタートアップCEO、金融機関役員、日系商社支社長、製薬企業代表、日本刃物ブランドなどがいる。


