もう少し説明を掘り下げるため、以下のような発言も見てみよう。
俺、アイス好きかも。でも頭がキーンってなったりするよね。あと甘くて体に良くない気がして。
どう感じただろうか?この発言者はアイスが好きなのか、それとも好きだけれど食べないようにしているのか、いや、体に悪いけどやはり好きだから食べてしまうのか、良くわからない。加えて、アイスが好き、という話題から逸れている印象さえ与える。また、先ほど触れたローコンテクスト流の構成とその順番のルールが根底にあるので、次のようにも取れてしまう。
1.背景:俺、アイス好きかも。
2.主張または本論:でも頭がキーンってなったりするよね。あと甘くて体に良くない気がして。
3.匂わせの結論:だから俺はアイスを食べない。/アイスは厄介な食べ物だ。/アイスは俺にストレスを与える。
この「3.匂わせの結論」部分は、聞き手に「無意識に考えさせる」内容だ。ローコンテクスト流の構成・順番ルールがそのように考えさせるのだ。
しかし、対話相手の発言からどの「匂わせの結論」が正しいのか判然としなければ、相手は「で、アイス好きなの?どうなの?」と確認してくることになる。実践的なコミュニケーションであれば、例えば “So, what you're saying is…” や “If I understand you correctly…”、“Are you suggesting that…?” といったフレーズで聞き返される。
実はこれらは単なる聞き返しではない。「主張」および「結論」として伝えたいメッセージや考えを不明瞭なまま会話を進めることを避けようとする、聞き手側のアクションなのである。
このように、ローコンテクスト流である英語でのコミュニケーションは、「言いたいことの輪郭」がはっきりしていない発言を嫌う。筆者がクライアントを指導する場合も、このように、伝えたいことの輪郭がはっきりしないプレゼン、メールはとても多い。
一方で調整・切り替えを難しくさせているのは、日本語ではそのように感じない、という点だ。日本語では存在しない違和感が、英語になると出現するのである。
これを生じさせるのは、冒頭で述べた「行間の取り扱い方」のルールの違いであり、コミュニケーション文化の違いだ。


