この「コンテクスチュアル・ランゲージ」についての話の前に、1月のダボス会議で片山さつき財務大臣が参加したディスカッション(Japan's Turn)から、片山大臣の英語の発音について少し見ていこう。
コラム:片山さつき大臣の英語発音
発音は本質ではないが、無視もできない。ディスカッションの中で片山大臣の英語の発音で日本のビジネスパーソンもつまずきやすい発音があったのは、「but」の発音である。
この単語の発音のどこに難しさがあるのか、と感じるかもしれない。が、母音「ア」の音が日本語と英語では異なっていることが、この単語の発音をむずかしくさせる原因となっている。日本語の母音の「ア」はどう発音しても「ア」なのだが、英語での母音「ア」は複数あり、今回取り上げる単語には、異なる2つの「ア」が含まれる。発音記号で表すのであれば「æ・ʌ」だ。
まず、「but」の発音記号は【bˈʌt】となる。カタカタを当てるのであれば「バッ(ト)」となる。「バッ(ト)」の(ト)を()で囲った理由は英語では「ト」とはっきり発音することはなく、舌をはじかせるように音を作るので、カタカナの「ト」とは明らかに異なる音だからだ。
次の「ア」は「æ」だ。この発音は英単語のman【mˈæn】やapple【ˈæpl】の「ア」となる。片山大臣は、「but」と言う際、2通りの「ア」を使っていた。一つは通常の【bˈʌt】、もう一つはこの「æ」を使った【bˈæt】だった。実はこの【bˈæt】は「コウモリ」のbatという発音になってしまうのだ。
片山大臣が英語で「しかし」と言っているところで、【bˈæt】batと言うのを聞くと、どうしても瞬間的に頭の中で「コウモリ」が思い浮かぶのだ。
ただ、一方でbutとbatは品詞が異なる。「but」は副詞で「bat」は名詞なので、もしすべての「but」を「bat」と発音したとしても、発言の意図が間違って伝わる可能性は極めて低い。その証拠に、片山大臣はディスカッションの中で「but」という単語を18回使用したうち、「bat」と発音した箇所は4か所(一つは中間くらい)あったが、「Japan's turn」のディスカッションがこの発音によって妨げられることはなかった。
ここであえて発音に触れたのは、発音の訂正を意識すれば容易に修正できる上、多用する単語であるので、正しい発音を手に入れることで不要に相手の注意を反らせてしまうことを軽減できるからだ。なので参考にしていただき、発音の修正作業をますます前進させていただければと思う。


