もちろん、ギャラリーにあるすべての作品をじっくり見ることができるわけではない。だが、ちらっと見るだけでは効果はない。40の作品があるなら、それを全部ざっと見るのではなく、あなたが魅力を感じた5つ、またはそれ以上の作品だけを、5~10分をかけて「じっくり」鑑賞してみよう。
ファンコートによれば、もし3分見ていたら飽きてしまったというなら、その日のあなたは「集中力の持続時間が短い」のだということ。だが、それを乗り越えれば、新たに出会う作品に対し、心からの反応ができるようになるという。
「評価しない」ことから始める
まずはその作品が「好きかどうか」、考えないこと。作品を「理解しなければ」というプレッシャーに耐え、自分の体、注意力、気分に「起きていること」をただ観察する。研究結果によれば、作品を理論的に分析しようとしすぎることも、見方が受動的でありすぎることも、鑑賞で得られるメリットを減らすことになる。好奇心を持って鑑賞し、批評しないこと。
例えば、投影された映像が動き続ける「Van Gogh Exhibit: the immersive experience」で没入型の体験をするのではなく、オランダのアムステルダムにあるファン・ゴッホ美術館で、フィンセント・ファン・ゴッホの『カラスのいる麦畑』を鑑賞する場合、そのときには作品を「ただじっくり見る」こと。
見ているとすぐに、細かい部分(質感、色彩、構成など)に気付き始めるだろう。シンボルを探してはならない。全体をよく見てみよう。それから近づいて入念に、次に離れてより広い範囲を見てみる。
その作品が自分にどのような物語を伝えようとしているのか、それが自分のどのような感情を引き起こしているのか、自分自身に問いかけてみよう。そして、もしそうする気になれば、感じたことや気づいたことなどをメモしておこう。
誰かと一緒に鑑賞しているなら、作品が全体として、あるいは特定の形で、どのようにあなたの心を打ったのか、感情的な反応について話し合ってみよう。そうすることで、鑑賞は歴史的な美術評論家のものではなくなる。重要なのは、目の前にあるものを見たときの、理屈抜きのあなた自身の反応だ。


