すばる望遠鏡を使用した研究の論文の引用数が、世界で大きく跳ね上がっている。他に類を見ない研究装置や機能が数多くの新発見につながったのもさることながら、これほどの存在感を示すようになったのには、ほかにも理由がある。
ハワイのマウナ・ケア山頂(標高4139メートル)に建つ、国立天文台ハワイ観測所すばる望遠鏡は、反射鏡の口径が8.2メートルという、建設当時は世界最大級の光学赤外線望遠鏡。広視野カメラや高分解能分光装置などの観測装置を備えている。2000年に運用を開始した。
その科学的な貢献度または影響力がどれほどのものかを知るために、東北大学学際科学フロンティア研究所の藤原英明特任准教授が、1996年から2007年までに発表された論文のデータベースを解析した。国際的な研究の貢献度は、すばる望遠鏡を使って行われた研究成果の論文の内容が、他の論文にどれだけ引用されたかで測ることができる。
すると、すばる望遠鏡を用いた研究の論文は、本数では日本で発表された論文の1割未満であったにもかかわらず、被引用度を示す指数は世界平均を大きく上回り、2006年には2倍以上に達した。また、被引用度が多い論文トップ10に絞った場合も、2006年には世界平均の2.5倍を超えている。
その理由として、高度な観測装置により国際的に競争力のある研究が可能になったことに加え、国際共同研究を重視する運用方針があるという。それが世界中の研究者との連携を促し、「日本の研究者が最先端の観測研究や国際的な研究ネットワークに参加する機会が広がり、長期的な研究基盤の形成に寄与した」ためだと関係者は話している。
こうした大規模研究インフラが「国レベルの研究可視性や競争力を高める重要な手段」になることを、この研究は示しているとのことだ。



