暗号資産

2026.02.26 15:00

ビットコイン急落で岐路、「暗号資産トレジャリー」企業の生き残り戦略

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2025年、多くの企業がマイケル・セイラーのビットコイン戦略にならい、自社の財務戦略を大きく転換した。しかし、市場が急落する中で投資家は現在、真の割安銘柄と過度な財務リスクを抱えた企業の選別を迫られている。

ビットコインが10月の高値から約50%下落、デジタル資産トレジャリー企業に打撃

暗号資産市場は再び低迷局面に入った。ビットコインの価格は7万ドル(約1100万円。1ドル=156円換算)を下回り、10月の高値から約50%下落している。とりわけ大きな打撃を受けているのが、2025年に暗号資産の大量保有企業へと変貌した「デジタル資産トレジャリー(DAT)」と呼ばれる上場企業群だ。

2025年末時点で、これらの企業の数は200社以上にのぼり、保有する暗号資産は合計で約1500億ドル(約23.4兆円)に達していた。一種の新興セクターを形成したDAT企業群の手本となったのが、マイケル・セイラー率いるストラテジーだ。時価総額が440億ドル(約6.9兆円)の同社は、かつては目立たない小規模なソフトウエア企業にすぎなかったが、ビットコインをバランスシートに組み入れる企業戦略の旗手へと転身した。

含み損が膨らみ、継続的に暗号資産を買い増す戦略の維持が困難

しかし、今回の急落局面に入る前から、多くのDAT銘柄はすでに保有する暗号資産の市場価値を下回る水準で取引されていた。トークン価格が再び下落する中、これらの企業の株価は、保有資産の下落を上回るスピードで下落している。その結果、含み損が膨らみ、セイラー流の「継続的に暗号資産を買い増す」戦略を維持することが一段と難しくなっている。

デジタル資産トレジャリー全体の評価額は約3.1兆円超減少、存在意義が問われる事態

データ提供会社Artemisの推計によれば、DAT全体の評価額は合計で200億ドル(約3.1兆円)超減少した。ストラテジー単体でも、2025年第4四半期に174億ドル(約2.7兆円)の営業損失を計上し、株価は直近6カ月で約70%下落している。ラスベガスを拠点とするイーサリアム版のトレジャリー企業BitMine Immersion Technologies(ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズ)も、含み損が81億ドルに達し、株価は同様に66%下落している。

これらの「トレジャリー企業」の多くは、保有する暗号資産の資産価値に対する株価の倍率を示すmNAVが、おおむね1倍前後で推移しており、株価はほぼ純資産価値と同水準、場合によってはわずかなプレミアムで取引されている。だが、小規模なDATの数十社は、資産価値を大きく下回る水準で取引される大幅なディスカウントに沈んでいる。その結果、新たな資金調達が一段と難しくなっているだけでなく、そもそもこうした企業の存在意義そのものが問われ始めている。

暗号資産Suiに特化したトレジャリー企業Sui Group Holdings(スイ・グループ・ホールディングス)の会長マリウス・バーネットは、「多くのトレジャリー企業は、明確な戦略を持っていなかった。実態は短期的な投機に終始していただけだ」と述べている。

理論上は、価格が下がった局面こそ、ビットコイン・イーサリアム・ソラナなど、自社の方針に沿った暗号資産を割安に買い増す絶好の機会となるはずだ。だが現実には、多くの企業が相場のピーク時に大量のトークンを買い込み、慎重な資金管理を怠った。その結果、現在は買い増しを続けるだけの余力を失っている。

こうした状況は、必然的に売り圧力を生む。もし多くのDATが保有資産の売却に動けば、トークン価格は下落し、損失が連鎖的に膨らむ可能性もある。

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翻訳=上田裕資

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