暗号資産

2026.02.26 15:00

ビットコイン急落で岐路、「暗号資産トレジャリー」企業の生き残り戦略

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投資家も暗号資産トレジャリー企業の経営陣も、転換社債の提案に消極的

ロペスの投資銀行は、転換社債の提案も進めている。「一部の顧客には、まず資金を確保し、mNAVが1.0倍を上回った場合にのみ株式へ転換される転換社債を提案している。たとえば2~3年の満期を設定し、その水準を超えた場合にだけ転換する。そうすれば投資家には下値保護が働く。転換が実行される局面では、理論上は既存株主にとっても希薄化がプラスに働く設計になっている」とロペスは説明する。

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だが、投資家も暗号資産トレジャリー企業の経営陣も、この提案に積極的ではない。「投資家と企業側の価格条件が折り合わず、成立させるのが難しい。投資家はより強い下値保護と上値余地を求める。取締役会や経営陣は『資金は必要だ』と考えているが、特に暗号資産の下落局面では条件が割高だと感じている」。

一部トレジャリー企業は、事業を方向転換

こうした中、一部DATは事業の方向転換に動き始めている。

アンソニー・ポンプリアーノが率いるビットコイン・トレジャリー企業ProCap Financialは、5007ビットコイン(約3億4300万ドル[約535億円]相当)を保有しているが、時価総額はわずか2億1400万ドル(約334億円)にとどまる。ナスダックに上場する同社株は、この1年で75%下落した。

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ポンプリアーノは先日、ProCapが自身の別会社である個人の資産を管理するパーソナルファイナンス・プラットフォームのCFO Silviaを買収すると発表した。統合後の企業について彼は、「独立系投資家が利益を上げることを支援する、史上初の上場エージェント型金融企業」だと売り込んでいる。

ポンプリアーノは、この買収が低迷する時価総額や大幅なディスカウント状態の暗号資産を背景にしたものではないと主張する。CFO Silviaは、ProCapがビットコイン・トレジャリー企業として特別上場目的会社(SPAC)との合併を発表する1カ月前の2025年5月に設立されていたからだ。設立間もないProCapが、株式市場の最新の寵児であるエージェント型AIへと舵を切ったとしても、驚くには当たらない。

暗号資産を活用し収益化する現実的な計画を持っているのかが、本当の試金石

DATの投資家にとって、この下落局面での本当の試金石は、ProCapのような企業が保有する暗号資産を活用して収益化する現実的な計画を持っているのか、それとも単に暗号資産を抱え込んだだけの企業にすぎないのかという点にある。ビットコイン価格が上昇を続けていた局面では、その違いはさほど重要ではなかった。しかし、ビットコインが6万8000ドル(約1100万円)まで下落し、さらに値を下げる中では、その差は決定的に重みを増している。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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