暗号資産

2026.02.26 15:00

ビットコイン急落で岐路、「暗号資産トレジャリー」企業の生き残り戦略

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暗号資産を売却し、別の実物資産に資金を振り向ける動き

暗号資産を売却して得た資金を、別の実物資産に振り向ける動きも出始めている。その一例が、フロリダ州パームビーチを拠点とするイーサリアムのトレジャリー企業ETHZillaだ。同社は、保有する1億3900万ドル(約217億円)相当のイーサリアムの一部を売却し、1220万ドル(約19億円)で航空機エンジン2基を購入。その後、社名を明かしていない大手航空会社に月額約9万ドル(約1400万円)でリースしているという。

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目標は、資産を活用して収益とキャッシュフローを生み出せる段階に到達すること

しかし、CEOのマックアンドリュー・ルディシルは、ボラティリティの高さを問題視していない。「当社はイーサリアムのステーキングとエクスポージャー管理の両面でかなり積極的に対応してきた。現実資産のトークン化も以前から公言している。我々の目標は、資産を活用して収益とキャッシュフローを生み出せる段階に到達することだった。そして、今がまさにその段階だ」と彼は語る。

暗号資産ブームに乗る前は180 Life Sciences Corpという社名だったETHZillaは、モジュール住宅向けの住宅ローンをトークン化する計画も進めている。ルディシルは、この分野ではデフォルト率が低いと主張している。

現在、多くのDATは目を疑うような割安水準にある。保有する暗号資産の価値を基準にすれば、株価は実質的に純資産価値の約13%にとどまっている計算だ。ストラテジーやメタプラネットなどの大手の多くは、暗号資産を担保に差し入れていない。そのため、債務を賄うためにトレジャリー資産を売却せずに済んでいる。

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企業同士の統合が進むとの見方もあるが、トレジャリー企業のM&Aは困難

もっとも、こうしたディスカウントが魅力的に見えても、暗号資産価格が再び急騰し、DATへの勢いが戻らない限り、その割安幅が近いうちに縮小するとは期待しにくい。暗号資産を保有する企業同士の統合が進むとの見方もあるが、デジタル資産トレジャリー企業のM&Aは簡単ではない。

「少なくとも現時点では、M&Aを成立させるのは非常に難しい。まず、誰もが自社は過小評価されていると考えている。それが事実かどうかは別としてだ」。コーエン&カンパニー・キャピタル・マーケッツのマネージングディレクター、クリスチャン・ロペスはそう語る。「理屈の上では、たとえば私の会社がmNAVの0.8倍で取引され、あなたの会社が0.9倍で取引されているとして、あなたが私を0.85倍で買収すれば、双方にとって価値は増加する。書面上は理にかなっているように見える。だが、実際には株主やガバナンスの問題に直面する」。

純資産価値に戻せるはずだという発想から、買収案に消極的になる可能性

実際、mNAVの0.8倍で取引されている銘柄を抱える投機家の多くは、0.85倍での買収案に消極的になる可能性が高い。清算すれば1.0倍に近づくかもしれないのに、なぜディスカウント価格で会社を売る必要があるのかと考えるからだ。つまり暗号資産そのものを売却すれば、純資産価値に戻せるはずだという発想だ。

ロペスによれば、これが多くのDATが直面している「罠」だという。基礎となる暗号資産の価格下落によって、銘柄によっては株価が20%や30%、場合によっては70%も下落している。しかも手元資金は限られている。問題の核心は流動性にある。1日数億ドル規模で売買される銘柄もあるが、多くは流動性が乏しい。出来高が伴わなければ、どのような条件でも資金調達は容易ではない。

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翻訳=上田裕資

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