リーダーシップ

2026.02.25 10:38

ミドルマネジャーが成果を出すために必要な「自己認識」という規律

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ミドルマネジャーは、現代の組織において最も複雑で、かつ誤解されやすい役割の1つである。戦略の実行、人材育成、部門横断のマネジメント、成果創出が求められる一方で、シニアエグゼクティブに与えられる権限や可視性は得にくい。そのプレッシャーに満ちた「中間」で、かつて成功を導いたリーダーシップ習慣が、気づかぬうちに負債へと変わることがある。

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ダニエル・P・ギャラガーは、この転換点を長年研究してきた。著書The Self-Aware Leader: Reinventing Your Value as a Middle Managerは、現場の実行と経営層のビジョンの狭間にいるリーダーが、いかにして影響力を劇的に高められるかに真正面から焦点を当てた一冊だ。ギャラガーは、差を生むのは「より長く働く」ことでも「より多く知る」ことでもなく、リーダーシップの規律として自己認識を育むことだと主張する。

ギャラガーにとって自己認識とは、内省そのものが目的ではない。パフォーマンスを動かすレバーである。「自己認識とは、スピードを上げるためにいったん自分を減速させることだ」と彼は言う。「リーダーが価値を生み出す方法をリセットするための『間』をつくる」のである。

このリセットは、とりわけ「成果を出すプレイヤー」として優れていたがゆえに昇進したリーダーにとって重要になる。

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「リーダーは多くの場合、強い生産者(プロデューサー)だから昇進する。しかし、それではスケールしない。チームが大きくなるほど、エスカレーションはボトルネックになる。自己認識のあるリーダーは、直すことから教えることへと転じる。それがパフォーマンスを拡張し、文化を育てる」

さらにギャラガーは、ミドルマネジャーはビジネス自体の見方も広げなければならないと論じる。

「自己認識は、リーダーにゼネラルマネジャーのように考えることを促す。現場のリーダーは自部門の最適化を行うが、ミドルマネジャーは部門横断で最適化しなければならない。カスタマーサービスが意思決定を営業の視点で捉えなければ、マーケティングは市場投入戦略を十分にオペレーションへ落とし込めない」

こうした広い視座は、組織の中間に到達したリーダーが陥りがちな典型的な罠を露呈する。

「2つの誤解が一貫して表面化する」とギャラガーは言う。「1つ目は、多くの人が自分の役割はチームをプレッシャーから守ることだと考えている点だ。短期的には落ち着きを生むかもしれないが、しばしば誤った優先順位のもとでチームの足並みがそろってしまう」

2つ目の罠は、さらに微妙だ。コントロールしているという錯覚である。

「手綱を強く握りすぎるリーダーは、スケールの機会を遅らせてしまう。私が『寛大さ指数(Generosity Quotient)』と呼ぶものによって他者に権限を与えれば、能力とキャパシティが高まる」

ギャラガーは、階層構造は紙の上では対立を解消できても、実務ではほとんど解決にならないと指摘する。

「よくある例は、プロダクトチームとエンジニアリングチームが最優先事項をめぐって争うケースだ。VIP顧客の要望なのか、より広いプロダクトロードマップなのか。階層は答えを出せるが、解決するのは協働である」

自己認識は、プレッシャー下での意思決定のあり方も変える。これがなければ、緊急性と習慣が主導権を握りがちだ。

「自己認識は、優先順位、ミッション、収益性のある成長ではなく、緊急性、エゴ、あるいは習慣が意思決定を動かしているときに、それをリーダーが見抜く助けになる」とギャラガーは言う。

デフォルトの反応はおなじみで、しかも逆効果になりやすい。

「マネジャーは慣れたパターンに戻る。会議を増やす、通常業務に自ら入り込む、不要なエスカレーションをする、といった具合だ」

より効果的なリーダーは、量ではなく精度に焦点を当てるとギャラガーは述べる。

「自己認識のあるリーダーは、広い目標を掲げるだけではなく、具体的なパフォーマンス目標を的確に特定することに長けている」

この具体性によって、リーダーは正しい問題を解けるようになる。

たとえばこうだ。「調達チームが現場のリーダーと連携し、品質を犠牲にせず売上原価を下げるのは、最も声が大きい問題ではなく、正しい問題を解いている。自己認識のあるリーダーは上流と下流への影響を織り込み、その両方の視点が意思決定の仕方を形づくるようにする」

ギャラガーのメッセージの中核にあるのは、リーダーシップの価値は、能動的に更新しなければ減衰するという考え方である。

「リーダーシップは、同じことを繰り返せばよい活動ではない。昨年B+と評価されたリーダーシップのパフォーマンスも、何も変わらなければ今年はC+に値するかもしれない」

再創造は、シンプルだが強力な選択から始まる。

「毎瞬、『メガホンになるか、アンプになるか』を決めなさい」とギャラガーは助言する。「メガホンは自分の声と存在感に依存する。アンプは他者の声をスケールさせ、あなたが部屋にいなくてもパフォーマンスをスケールさせる」

リーダーが成長するにつれ、貢献の形も進化しなければならない。
「監査マネジャーを例に考えてみよう。熟達するにつれて、より価値の高い洞察を生み出すようになる」とギャラガーは言う。「ビジネス感覚が高まれば、単にギャップを指摘するだけではなく、新たな成功への道筋を提案する選択肢をより多く提示できるようになる」

この進化から情動知能(エモーショナル・インテリジェンス)を切り離すことはできないと彼は指摘する。とりわけ複雑な組織ではなおさらだ。

「情動知能は、場が反応する前に場を読むことを可能にする。プレッシャーが高く、シグナルが微細なときには決定的に重要だ」

その認識力は観察によって培われる。「パターン認識だ。誰が口を閉ざすのか、誰が支配するのか、会議や意思決定のサイクルでエネルギーがいつ切り替わるのか」

初期のシグナルに気づけるリーダーは、エンゲージメントの低下が高コスト化する前に介入できる。

「自己認識のあるリーダーは、議論に沈黙が忍び寄るのに気づき、質問の立て方を調整する。納期遅延、無駄な労力、静かな退職として表面化する前に、チームを再び巻き込む」とギャラガーは言う。

複雑さを乗りこなすには、コミュニケーションの規律も求められる。ギャラガーは、問題提起と望ましい成果を、それぞれ1文で書き出すことを勧める。「話し言葉より、書き言葉のほうがより強い整合を生む」

またリーダーは、メッセージを伝達するだけでなく、意味を翻訳しなければならないという。「オウム返しの伝令ではなく、意味を形づくる翻訳者として伝えよ」

最後にギャラガーは、自己認識は振り返りとフィードバックによってのみ深まることを強調する。

「振り返りは、十分に使われていないリーダーシップの筋肉だ。マネジャーが一日中『やること』に費やし、振り返らないなら、それはリードする以上に実行している状態である」

フィードバックの求め方も重要だ。

「『役に立った?』ではなく、『あの会話で最も価値があったのはどこか。次回は何を違う形でやるべきか』に切り替えなさい」

絶え間ない変化の中を進むミドルマネジャーにとって、ギャラガーのメッセージは厳しくも力を与えるものだ。リーダーシップの価値は固定ではなく、動的である。そして、立ち止まり、振り返り、影響力を生み出す方法を再調整する意志のある人は、自己認識が単なる個人特性ではなく、見過ごされがちな戦略的優位性であることに気づくかもしれない。

forbes.com 原文

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