オーディエンスの期待は急速に変化している。これを受け、エージェンシーはクライアントにブランドエンゲージメントをどう導くべきかを再考せざるを得なくなっている。最近の調査によると、強固なプライバシー保護、コミュニティ主導のコミュニケーション、価値観に沿ったブランドとの関係に加え、今日の消費者の大多数がパーソナライズされたインタラクションを期待しており、それが実現されないと不満を感じるという。
こうした嗜好の変化に対応するため、ブランドはあらゆるタッチポイントで、より高い真正性、関連性、価値を示すことが求められている。ここでは、Forbes Agency Councilのメンバーが、クライアントの戦略を形作るオーディエンス期待の重要な変化について語る。
1. ソーシャルメディアとAI検索の台頭
オーディエンスがオンラインでコンテンツを検索する方法は根本的に変わった。InstagramやLinkedInといったサイトは、もはや単なるSNSではなく、新たな検索エンジンとなっている。そしてAIも検索の一翼を担う存在へと急速に成長している。ブランドセーフなインフルエンサーコンテンツ全体でリッチなキーワードを使用することで、コンテンツが発見されやすくなり、数カ月から数年にわたって生き続けることができる。 - Cooper Munroe(The Motherhood Inc.)
2. 固定的な計画から適応型ブランドリーダーシップへ
オーディエンスの期待は、洗練された計画から適応型リーダーシップへと移行した。固定的なブランドロードマップは終わった。VUCAの世界では、ブランドは複数の可能な未来を想定して計画しなければならない。明確な北極星と価値観を軸に据えつつも、実行は柔軟であるべきだ。 - Dean Broadhead(broadhead)
3. ロゴ優先のブランディングから人間優先のストーリーテリングへ
オーディエンスはマーケティングされることを望んでいない。彼らが求めているのは、ブランドの背後にいる人々とのつながりを感じることだ。ロゴ優先のブランディングから人間優先のストーリーテリングへの転換が有効である。創業者がカメラの前に立ち、本物の声を届け、舞台裏の瞬間を見せるのだ。人々が信頼するのは洗練された見せ方ではなく、人間そのもの。だからこそ、ブランドがより人間らしく、企業っぽさを減らして姿を見せられるよう支援している。 - Bryanne DeGoede(BLND Public Relations)
4. ブランドの価値観と行動の一貫性
顧客の期待が変化するなか、特にミレニアル世代とZ世代が意思決定者の立場に就くにつれ、行動と発言の一貫性が巧みなコピーよりも重要になっている。ブランドは、顧客への対応、危機への対処、価値観の実践によって定義される。私たちはクライアントに対し、行動を支え、対話を促し、優れた体験を可能にするダイナミックなブランド構築を助言している。 - Nikos Lemanis(Luxid)
5. あらゆるカテゴリーで高まるCXへの期待
顧客があるカテゴリーで体験したことが、別のカテゴリーへの期待を左右する。ドミノ・ピザがピザトラッカーを発明するまで、世の中はそれを必要としているとは思っていなかった。しかし今では、仕様決定から製造まで数カ月を要する複雑な産業機器の購入者でさえ、注文の全工程をリアルタイムで追跡できることを期待している。期待と顧客体験の基準は常に上がり続けている。 - Stratton Cherouny(The Office of Experience)
6. AIがもたらした「継続的エンゲージメント」への期待
AIツールが期待値をリセットした。オーディエンスはいま、ブランドとのやり取りが、より知的なシステムのように振る舞うことを期待している。関連性があり、パーソナライズされ、反応が速く、継続的であること。もはや、ブランドが何を言うか、いつ言うかではない。話し相手が誰で、その人がジャーニーのどこにいるのかに合わせて、リアルタイムでどう適応するかが問われている。 - Howard Breindel(DeSantis Breindel)
7. 広いリーチよりも関連性と信頼性を求める傾向
オーディエンスが今求めているのは、リーチではなく関連性だ。エグゼクティブたちは、広範な認知獲得戦術から、自分たちの課題を理解していることを証明する、焦点を絞った価値主導のエンゲージメントへと移行している。私たちはクライアントに対し、ボリュームよりも精度、信頼性、一貫性を優先するよう助言している。そうすることで、すべてのインタラクションが信頼とビジネスインパクトを強化するからだ。 - Elyse Flynn Meyer(Prism Global Marketing Solutions)
8. 一方的な発信から双方向の対話へ
オーディエンスセグメンテーションにおける変化の1つは、単に発信するのではなく、傾聴し応答することだ。この変化により、ブランディングは洗練されたメッセージングから継続的な対話へと変わった。なぜなら、エンゲージメントは認知度だけよりも速く信頼を構築するからだ。 - David Ispiryan(Effeect)
9. 広告費よりも専門性を優先するアルゴリズム
AI検索は、ブランド構築に潜む致命的な欠陥を露呈させる。もはや「検討(consideration)」を買うことはできない。経営層がAIに解決策を尋ねるとき、アルゴリズムは広告費よりも、実証された専門性を優先する。知識アーキテクチャを構築するブランドは、権威性が複利的に積み上がる。メッセージをばらまくブランドは、コストが複利的に積み上がる。その差がいま、B2Bにおける主要な競争上の堀になっている。 - Amy Packard Berry(Sparkpr)
10. 正直で有益な情報を通じて獲得する信頼
オーディエンスは、ブランドが有用で正直な情報を提供することを望んでいる。不信は強く、ほんのわずかでも不誠実さの気配があれば、ブランドはエンゲージメントを失う。私たちはいま、注目を操作しようとするのではなく、オーディエンスの知性を尊重する一貫性とメッセージングを通じて信頼を獲得するよう、クライアントに助言している。人々は目が肥えており、中身のない見せかけの情報を素早く見抜く。 - Jacquelyn LaMar Berney(VI Marketing and Branding)
11. 人間中心のブランドコネクションへの回帰
お願いだから人間らしくあってほしい。私たちは皆、何を考え、何を買い、何をすべきかを指示するAIやボットに飽和している。会社の創業の「なぜ」と、それが人々の生活にもたらす価値に立ち返り、その2つの答えを顧客やクライアントと結びつける方法を見つけることだ。 - David Farinella(Farinella LLC)
12. 人間とアルゴリズム双方に読み取れるブランド
私たちはもはや、人のためだけにブランディングしているのではない。それに仕える「ボット」のためにも行っている。オーディエンスはいま、AIエンジンが選択肢をふるいにかけることを期待している。つまり、ブランドのデジタル上のアイデンティティは、人にとって魅力的であるのと同じくらい、機械にとって判読可能でなければならない。私たちはクライアントに対し、コアとなる価値観や事実を明確に構造化し、AIエンジンの推奨に適した設計にすることで、「アルゴリズム上の権威(algorithmic authority)」を優先するよう助言している。 - Uri Samet(Buzz Dealer)
13. 摩擦の低減はブランドの中核的な期待値
オーディエンスはいま、摩擦をどれだけ減らせるかでブランドを評価する。とりわけウェブサイトでは、素早く状況を把握できること、直感的な導線、即時に得られる確信が期待される。私たちはクライアントに対し、ブランディングを「案内された体験」として捉えるよう助言している。ファーストビューでの明確なポジショニング、スキャンしやすい根拠の提示、次の一歩が楽に感じられるUXである。 - Gabriel Shaoolian(Digital Silk)
14. ビジョンだけのメッセージングからエビデンスベースのブランディングへ
プロダクトと切り離されたマーケティングへの許容度は崩壊した。特にWeb3では、すべてのソートリーダーシップコンテンツが検証可能なもの、つまりデータか実際にリリースされた機能に結びついている必要がある。私たちは、特定の指標を軸に記事やエグゼクティブインタビューを構成している。オーディエンスが求めているのは、ビジョンが実行されている証拠だからだ。 - Mary Pedler(INPUT Global)
15. 説得や洗練より、支援と実証を
大きな変化の1つは、オーディエンスがもはや説得されたいのではなく、助けられたいと望んでいることだ。彼らは、ジャーニーのどの段階においても、ブランドが質問に答え、不確実性を取り除き、意思決定を容易にすることを期待している。私たちはいま、圧力や体裁ではなく、明確さと証明を中心にブランドエンゲージメントを設計するようクライアントに助言している。なぜなら、確信こそが新たなコンバージョンのドライバーだからだ。 - Robert Burko(Elite Digital Inc.)
16. B2Bブランドエンゲージメントにおけるオープンな表現
B2Bの企業言葉と失敗を恐れる姿勢が、すべてのブランドを同じように聞こえさせ、どれも退屈なものにしてきた。オーディエンスがB2Bブランドに人間的な側面を見せることを期待しているのは明らかであり、それをしなければ負ける。企業としてのペルソナは対象市場にふさわしいものであるべきだが、最も保守的な市場においても、オープンで興味深い存在でなければならない。 - Mike Maynard(Napier Partnership Limited)
17. 信頼のシグナルとしての透明性と対応力
オーディエンスはいま、透明性、スピード、説明責任を期待している。私たちはクライアントに対し、ポジティブなフィードバックにもネガティブなフィードバックにも、迅速に関与できる準備をしておくよう助言している。一貫して現れ、思慮深く応答することは、信頼に足ることを示し、長期的なブランドの信頼性を強化する。 - Bernard May(National Positions)
18. 価値と本物の視点を共有することで獲得する注目
オーディエンスは、ブランドが単に存在するだけでは報いない。彼らが期待するのは、有用性、関連性、そして本物の視点だ。あまりにも多くのブランドが存在感を示すことに偏重し、結果として無難で、ノイズを増やすだけになっている。これが私たちのクライアントへの助言を変えた。発信を減らし、注目を獲得することに注力する。本物の視点や価値がなければ、無視されるだけだ。 - Lars Voedisch(PRecious Communications)
19. プラットフォームとタッチポイントを横断したパーソナライゼーション
オーディエンス期待における顕著な変化は、よりパーソナライズされたマルチタッチのブランドエンゲージメントへの需要だ。消費者は今、ブランドがプラットフォーム、コンテキスト、個人のプロファイルによって異なる対応をすることを期待している。そのため、私たちはクライアントに対し、チャネルやタッチポイントを横断して適応する戦略を設計し、ジャーニー全体を通じて人々が認識され、理解されていると感じられるようにすることを助言している。 - Jessica Hawthorne-Castro(Hawthorne Advertising)
20. アルゴリズム駆動のフィード内でのネイティブなブランド存在
コンテンツ消費は過去5年間で、それ以前の50年間よりも大きく変化した。しかし本当の変化はオーディエンスの期待にある。人々はもはやブランドを目的地として訪れることはない。彼らが期待するのは、ブランドがアルゴリズム駆動のフィードの中に、適切なフォーマットで、適切なタイミングでネイティブに現れることだ。 - Pierce Kafka(Kafka Media Group)



