米国勢調査局が19日に発表したデータによると、米国のモノの貿易赤字は5年連続で1兆ドル(約156兆円)の大台を超えた。ドナルド・トランプ米大統領がその抑制に尽力してきたにもかかわらずだ。
翌日には米連邦最高裁が、トランプによる取り組みの要だった国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税について、大統領の権限を逸脱しているとして違憲の判決を下した。判事9人中、6人が支持し、3人が反対した。
過去最大の1兆2400億ドル(約193兆円)という2025年の巨額赤字には、米国民の生活を織りなす幾つものストーリーが関係している。米国民と世界中の人々にとって貿易がどれほど大事なものかを浮き彫りにするそれらのストーリーには、次のようなものがある。
・米国の肥満人口が、「ウゴービ」や「オゼンピック」といったGLP-1受容体作動薬と呼ばれる減量薬を受け入れているというストーリー
・グーグル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフトといった米テック大手の経営者らが、AI(人工知能)向けコンピューターハードウェアに途方もない額の投資を行っているというストーリー
・トランプが2025年4月2日、世界に対する貿易戦争を宣言して以来のその混沌とした関税政策から、携帯電話は適用除外になってきたというストーリー
・今年見直しを控える米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)をはじめとする自由貿易協定(FTA)の恩恵と力のストーリー
米国のモノの貿易赤字は新型コロナウイルス禍の最中の2020年には9014億8000万ドル(現在の為替レートで約140兆円)で、以降は1兆ドルを上回っている。ただ、なかには米国の貿易赤字が縮小した国もある。
わかりやすいストーリーはもちろん、過剰な関税の力にまつわるものだろう。
ほかには石油をめぐるストーリーもあるし、戦争絡みのストーリーもある。
米国の貿易相手国・地域のうち、2020年以降に米国の貿易赤字が最も増えたのは台湾だ。その額はわずか5年で302億2000万ドル(現約4兆7100億円)から1165億4000万ドル(約18兆1500億円)へと385.7%増加した。この赤字増加分だけでも、米国の2025年の上位15カ国を除くすべての国・地域との貿易総額を上回っている。



