台湾との貿易赤字の急拡大もたらしたのはAIと対中関税の組み合わせであり、後者は調達先のシフトを引き起こした。台湾は、米オープンAIの「ChatGPT」、米パープレキシティの「パープレキシティ」、米アンソロピックの「クロード」、米グーグルの「ジェミニ」といったAIプログラムがユーザーの問いに答えるために必要とするコンピューターハードウェアの構築で、その計算能力の多くを供給する支配的な地位を築いている。
2020年から2025年までに、米国の貿易赤字の増加幅が台湾に次いで大きかったのはベトナムだ。5年間で155.76%(1085億2000万ドル=約16兆9000億円)増え、1781億8000万ドル(約27兆7500億円)に拡大した。
ベトナムは、トランプがその「懲罰的関税」から携帯電話やコンピューター、一部のコンピューター部品を適用対象から除外する「カーブアウト(切り離し)」措置を講じたことで、たいへん大きな恩恵にあずかった。米国民の携帯電話好きは言うまでもない。
2025年、米国とメキシコのモノの貿易額は5年連続で増え、メキシコは米国にとって最大の輸出先に浮上した。30年あまりにわたってその座にあったカナダと入れ替わった。とはいえメキシコの場合、2国間貿易総額に占める米国の輸出額の比率という動きの少ない指標は38.72%に低下しており、米国の平均である38.94%を下回っている。
メキシコが平均をわずかに下回ったという点には、輸入というストーリーが関わっている。台湾と同様に、メキシコも米国にコンピューターを供給している。コンピューターはいまや米国の最大の輸入品目になっており、金額ベースでは倍増している。消費者からの需要や従来型の需要も一因だが、ここでもAI投資に目を向けるべきだろう。メキシコから調達する利点は、USMCAの締結国として輸入品の大半が関税を免除されることだ。
アイルランドとの米国の貿易赤字は5年で2倍超(588億2000万ドル=約9兆1600億円)増え、1142億ドル(約17兆7600億円)に膨らんだ。


