昨年10月、記者団から北京冬季五輪での出来事に関して問われた娘のアリサは「私、何かのドッキリ番組に出ているの? この世界は現実なの?」と疑問に思ったと証言した。さらに冗談交じりに、このスパイ事件は映画の題材にでもなりそうだと語った。「私を格好いいヒーローみたいに描いてくれなくては。ただ監視されて何もしなかった子どもでいるわけにはいかない。父の物語こそが主役であるべき。だって父の話は本当にすごいんだから」
アリサがミラノ冬季五輪で勝利したことについて、中国メディアは大きく取り上げず、詳しい内容も報じなかった。中国国営新華通信は19日、アリサが「圧倒的なフリースケーティング」で金メダルを獲得したと報じたが、記事にはアリサ自身のコメントは一切含まれておらず、同選手の家族が中国出身であることにも触れられていなかった。中国国営人民日報もアリサの勝利について、ごく簡単に言及したのみにとどめた。
アリサは今回の冬季五輪で、個人戦と団体戦の2つの金メダルを獲得した。これは2002年以来となる米国の女子シングルの金メダルとなった。
アリサは2022年の北京冬季五輪で6位に入賞し、その数週間後に開かれた世界選手権で銅メダルを獲得した。その後、短期間の引退を経てフィギュアスケート界の頂点に返り咲いた。世界選手権後に引退を表明した当時、わずか16歳だったアリサは、燃え尽き症候群を理由に挙げた。同選手はインスタグラムに、自身のスケート人生に「満足している」と投稿。人生の次の段階へ進む準備ができているとコメントした。
引退後、アリサはヒマラヤ山脈のハイキングやスキーなど他の活動に打ち込んだが、それによってスケートへの復帰願望が強まったと語っている。アリサは2024年、米NBCスポーツに「スキーは本当に楽しい。もしかしたらスケートも楽しいかもしれない。もう一度滑ってみて感覚を確かめてみよう」と感じたと述べた。それがきっかけでコーチに連絡を取り、練習を再開したという。アリサは自らの意思で引退から復帰し、父親には復帰に関与しないよう求めつつ、コーチ陣を自ら選び、競技用の音楽や衣装にも自ら意見を述べるようになった。
多くの解説者が、ミラノ冬季五輪でのアリサの滑りはリラックスして楽しげだったと称賛した。1998年長野冬季五輪で金メダルを獲得した米国のタラ・リピンスキーは、アリサの演技中に「プレッシャーを背負わずに競技する方法を教えられた」と解説。「とてもリラックスして、完全に自分らしさを発揮している」とたたえた。


