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2026.03.04 13:15

開港20年の神戸空港 波乱の歩みと「再評価」の現在地

台北に向け離陸するエバー航空(撮影:2026年1月16日)

1990年代になると、航空機の騒音は技術進歩により大幅に軽減される。すると神戸市の議会や経済界などから、神戸沖にも空港が必要だという考え方が再び浮上。しかし泉州沖での空港建設を進めていた運輸省の反応は、冷ややかだったようだ。当時の神戸市が自らの財源と責任で市営空港として整備したいと訴えても、要請書を投げ返されたことすらあったと当時の幹部職員は語っている。

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さらに1995年、阪神・淡路大震災が発生。復旧・復興を優先すべきという住民たちによる空港建設反対の運動が激化する。2年半後の神戸市長選挙でも大きな争点となり、空港建設を進める当時の現職市長が勝利した。

2030年には国際定期便が就航

それから10年。2006年2月16日、ついに「神戸空港」から第1便の旅客機が飛び立つことになる。ただ、関西、伊丹、神戸の3空港の活用を官民で話し合う「関西3空港懇話会」で、神戸空港は神戸周辺の航空需要に応える「関西・伊丹を補完する空港」として位置づけられ、発着回数と運用時間の制限が設けられた。そして国際線の運用は関西国際空港に限定される。その後はリーマンショックと呼ばれる世界的な景気後退で航空市場が伸び悩んだ時期が続く。

2016年4月、関西国際空港と伊丹空港は、オリックスと仏ヴァンシ・エアポートが出資する「関西エアポート株式会社」によるコンセッション方式と呼ばれる民間主体の運営に移行。その頃からこれら両空港の旅客数は手堅く増加していった。

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国際線用の第2ターミナル
国際線用の第2ターミナル

神戸空港の運営権も2018年に神戸市から関西エアポートへ譲渡。これが歴史の分岐点となった。3つの空港を競合関係として捉えるのでなく、一体運用することで関西全体の旺盛な航空需要を支えるべきであるということになる。

それには神戸空港の活用も選択肢だとする考え方が、関西経済界を中心にじわりと拡大していったのだ。それが2025年4月からの国際チャーター便、2030年4月を目標とする国際定期便の就航につながる。

神戸空港は、開港直後に274万人(2006年度)だった旅客者数は、2025年には406万人に増加(国際線の41万人を含む)。地方自治体が設置した空港のなかでは、堂々の全国1位だ。搭乗率も大半の路線で80パーセントを超えている。

この空港が選ばれる理由はアクセスの良さにある。神戸・三宮からだと20分、大阪・梅田からでもJR神戸線の新快速とポートライナーを乗り継ぐと45分ほどで空港のチェックインカウンターにたどり着く。

国際線のチェックインカウンター
国際線のチェックインカウンター

知られてはいないが、1974年に関西での新国際空港の候補地を答申した国の航空審議会で、管制運航、建設や環境条件などを含めた総合評価での軍配は泉州沖に上がった。だが「利用の便利さ」という項目だけは、神戸沖が首位であった。

ただ、そんな紆余曲折など、今は昔の話だ。国際定期便の運航が予定される神戸空港は、2030年に向けて新たな駐機場整備やターミナルビル拡張の検討が始まった。関西全体の発展に向けて活用されていく姿を脳裏に浮かべているのは、きっと私だけではないはずだ。

文・写真=多名部 重則

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