北米

2026.02.25 15:00

米国のインフレ鈍化が続く理由──投資家が今知るべき「統計上のズレ」と中期債への投資機会

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米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げのタイミングは、日本を含む世界市場の動向を左右する最大の関心事である。その判断指標となる米国消費者物価指数(CPI)は、一見すると順調なインフレ鈍化を示している。

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しかし、米国経済の実態を読み解く上で避けて通れないのが、仕組み上避けられない時間のズレといえる、政府統計特有の「構造的なタイムラグ」である。特にCPIの約3分の1を占める住居費は、実際の市場価格が反映されるまでに半年から1年の遅れが生じる性質を持つ。これは米国の専門家の間では常識だが、一般の投資家が見落としがちな死角となっている。

本稿は、この統計上のズレを背景に、2026年の米インフレが公式発表以上に急速に沈静化する可能性を分析したものだ。1300万件もの膨大な最新価格を追う民間指標「Truflation(トゥルーフレーション)」と、政府統計の乖離から見える真実を浮き彫りにする。公式発表の裏側にある「数字のメカニズム」を理解することは、今後の金利動向や市場の先行きを予測する投資家にとって、不可欠な視点となるだろう。

米労働省発表のインフレ統計により、追加の金融緩和の確率が高まる

米労働省が2月13日に発表した1月のインフレ統計は、投資家に安心材料を与える内容だった。消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.4%となり、2025年5月以来の低水準を記録するとともに、多くのエコノミストの予想も下回った。この結果を受けて米国債利回りは低下し、フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、追加の金融緩和が行われる確率がこれまでより高く織り込まれ始めた。

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しかし、機関投資家が注視する別のデータは、インフレ率が今後低下する可能性を示している。背景にあるのは政策ではなく、統計の算出方法そのものだ。この仕組みを理解することは、日々の食料品価格を気にする消費者にとっても、連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを見越して運用方針を考える投資家にとっても重要だ。

1月のインフレ率を押し下げた最大の要因はエネルギー価格だった。ガソリン価格は、前月比3.2%下落し、全体の指数を大きく引き下げた。食品とエネルギーを除いたコアインフレ率は前月比で0.3%、前年比で2.5%の上昇となったものの、過去12カ月の伸び率は2021年3月以来の低水準だった。

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翻訳=上田裕資

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