現在の仕事で使われているスキルの40%は、2030年までに変化する──世界経済フォーラムが1000社以上を対象に実施した調査の報告書には、そう書かれている。実際、こうした変化はすでに進行中であり、どの業界でもAI(人工知能)によってタスクやワークフロー、期待値が再定義されている。
ここで問われるのは、あなたの職務が変わるかどうかではない。変化が起きた時のためにどう備えておくか、ということだ。
社会の変化に対して適切であり続けるには、何年も学校で学ぶことや、逆に、即座に自分を一新させることが必要とされるわけではない。必要なのは、目的意識と好奇心、そして積極的に適応しようとする姿勢だ。
以下では、変化が絶え間なく生じる職場で必要な、5つの準備を紹介しよう。
1. AIリテラシーを身に着ける
AIを使って効率的に仕事を進めたいとき、プログラマーになる必要はない。とはいえ、AIツールがどう機能するのか、どんなところで不備が生じるのか、どうすれば戦略的に活用できるのかについて理解する必要はある。
米ハーバード大学生涯教育部門(DCE)のプロフェッショナル&エグゼクティブ・デベロップメント科において、ビジネスリーダーに対してAI戦略を指導するマーク・エスポジト博士は、AIの主要な制約の一つについてこう説明している。
「生成AIの主な制約の一つに、私たち人間には文脈を容易に理解できても、AIにはその文脈を生成できないことがある」とエスポジト博士は話す。「また、核心から少しでも外れた質問をすると、AIから得られる情報が、不正確や虚偽になる可能性は非常に高くなる。これがハルシネーション(AIの幻覚)だ」
AIリテラシーは、以下のような点で重要となる:
・AIモデルの機能とその制約について理解する。
・正確な情報を得るために効果的なプロンプトを書く。
・AIからの答えを評価し、誤りなどのハルシネーションを見抜く。
・AIが付加価値をもたらす場合と、人間の判断が不可欠な場合を見極める。
結局のところAIは、使い手である人間次第ということだ。
2. 陳腐化するスキルではなく、長く通用するスキルを身につける
特定のツールやプラットフォームでしか使えない技術能力は、たちまち時代にそぐわなくなる可能性がある。一方で、長く通用するスキルも存在する。
AIを活用した人材アセスメント(評価)プラットフォームを提供するPlum(プラム)の共同創業者でもあるケイトリン・マクレガー最高経営責任者(CEO)は、ポッドキャスト番組「Recruiting Future」で、長く使えるスキルと廃れやすいスキルについて、次のように明確に定義している。
「ソフトスキルは、あれば望ましいけれども必ずしも必要ではない、とみなされがちだ。しかし実際のところ、長く通用するスキルとは、1つの仕事や業界に限定されない特性や行動、能力であり、役割や業界を問わず価値がある」
マクレガーは、テクノロジーや職務設計が変化しても持ちこたえるスキルの例として、イノベーション力、コミュニケーション力、チームワーク、実行力を挙げている。これに対し、特定のプログラム言語やプラットフォームに限定されたハードスキルは、業界の変化に伴って陳腐化していく可能性がある。
長く通用するスキルは、業績と離職率を予測するための強力な要素だ、とマクレガーは主張する。そうしたスキルを持つ人は、変化する労働需要に適応できるからだ。
今から強化すべき、長く通用するスキルには次のようなものがある:
・複雑な問題を解決する力と、批判的思考力
・適応力と、学習機敏性(learning agility:未知の課題に対応できる柔軟な能力)
・コミュニケーション力と協調性
・戦略的思考力
・感情的知能
AIがますます多くの定型化された日常業務を担うようになるなか、こうした人間ならではの能力が、優れた業績を上げる人材の差別化要因としてますます重要になっている。



