リーダーシップ

2026.02.24 13:22

なぜ「助けを求められるリーダー」は強いのか

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2020年3月のことだ。アーリントンで最も愛されているレストランの1つ、J. Gilligan's Bar and Grillのオーナーの不安に満ちた表情を、私は今でも忘れられない。そこはアイリッシュパブで、想像のとおり、セント・パトリックス・デーは年間最大のイベントである。

アーリントン市長として私は、新型コロナの新たなロックダウンにより店を閉めなければならないと告げた。彼の生計を断ち切るように感じられた。

だがその日の夕方、車で店の前を通ると、驚くべき光景が広がっていた。何ブロックにもわたって車が列をなし、テイクアウトを受け取っていたのだ。オーナーは即席の路上受け渡し拠点をつくり、SNSで助けを求めていた。地域の人々が大勢で応え、近所の住民が食事を買いに駆けつけ、私のチームも彼のアイデアを市内に広げた。

彼の謙虚な呼びかけは、自身のビジネスを救っただけでなく、数え切れないほどの人々に適応する勇気を与えるムーブメントを巻き起こした。その夜、私は強烈な教訓を得た。リーダーシップとは、すべての答えを持つことではない。助けを求める謙虚さを持ち、周囲を巻き込むことなのだ。

リーダーが助けを求めることをためらう理由

助けが必要だと認めるのが難しいのは、リーダーとして自信と自立を示そうとしがちだからである。

キャリアの初期、私は助けを求めることが弱さや無能さの表れと受け取られるのではないかと考えていた。しかし今では、意見を求めないことのほうがはるかに大きなリスクだと気づいている。

研究によれば、「愚かに見えるのではないか」という恐れは的外れだ。助言を求めても、人はあなたを低く評価しない。むしろ、より有能だと見なす傾向がある。なぜか。誰かに助言を求めることは相手を立て、相手の洞察を重んじていると示すからである。

「自分にはすべての答えがあるわけではない」と言うには勇気が要るが、人はその誠実さを尊重する。それでも、多くのリーダーはここでつまずく。コントロールを手放したり、功績を分かち合ったりすることを恐れるのだ。

私は、プロジェクトに自分の刻印を残したいがために同僚の関与をためらう幹部を見てきた。皮肉なことに、その消極姿勢が成功を制限する。私の経験では、プライドに固執すれば孤立するだけだが、周囲を招き入れれば信頼が生まれ、成果は加速する。

謙虚さが集団の力を解き放つ

私にとっての転機は、どんなリーダーも1人では成功できないと気づいたことだった。慈善家アンドリュー・カーネギーはこう述べている。「他の人々の助けを借りれば、自分1人でやるよりも良い仕事ができると気づいたとき、あなたの成長において大きな一歩を踏み出したことになる」

アーリントン市長に就任してから私は、エンジニア、事業者、NPOのリーダー、市民など多様な人々を同じ部屋に集め、率直に意見を求めることを習慣にした。そうするたびに、結果はより良いものになった。

異なる視点は私の思い込みに挑み、1人では決して見つけられない解決策を掘り起こした。年月を重ねるうちに私は学んだ。最高のリーダーが、最高のアイデアをすべて持っているわけではない。どこから来たものであれ、最高のアイデアを見いだし、推進するのである。

ときには、自分の案よりも別の誰かの提案を支持することもあった。そうすることで、より良い結果につながっただけでなく、チームに彼らの貢献が重要であること、そして私たちが共通の目標のもとに団結していることを示すことができた。つまり、協働は力を何倍にも増幅させるのだ。

研究もこれを裏づけている。平均以上の多様性を持つ企業は、多様性の低い同業他社に比べ、イノベーションからの売上が45%多かった。リーダーが「見落としていることは何か。提案はあるか」と問いかける姿勢は、あらゆる声が重要だという合図になる。

問いかけ、耳を傾けることで導く

では、これをどう実践すればよいのか。

第一に、助言を求めることを日常の習慣にすることだ。メンター、現場の従業員、分野の専門家、さらには批判的な立場の人まで、幅広い輪から意見を取りに行く。私は個人的に、難しい意思決定に直面したときに連絡する、信頼できる助言者の「キッチン・キャビネット(非公式の相談役グループ)」を維持している。元市長、ビジネスリーダー、家族までさまざまだ。彼らは私が見落としている盲点をしばしば指摘してくれる。

第二に、チームが安心して発言できる環境を育てることだ。私は会議で積極的にアイデアを求め、自分の考えに異議を唱える人を評価するようにしてきた。

最後に、リーダーシップはチームスポーツだと忘れないこと。新しいプロジェクトを立ち上げるときも危機に対処するときも、他者を招き入れ、ともに解決策をつくり上げよう。より良い結論に到達できるだけでなく、関わる全員が成功への当事者意識を強める。

真実を言えば、リーダーシップはそもそも1人で登り切るものではない。必要なときに助けを求めることで、むしろ権威と影響力は強まる。人は、自分たちを信頼し、才能を引き出してくれるリーダーのもとに結集したいのである。

forbes.com 原文

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