さらにダボスから報告、社会実装の視点
ここからは、ダボスの「Imagination in Action」で行われた注目インタビューのコメントをいくつか紹介しておきたい。そこで私の同僚で、MIT CSAIL(コンピュータ科学・人工知能研究所)の所長ダニエラ・ラスが、Google Reaerchの責任者ヨッシ・マティアスと将来について語り合った。(注記:筆者は、スイスの会場で開催されるAIの無料カンファレンス「Imagination in Action」の運営を手伝っている)。
「グーグルの研究部門で働く素晴らしい経験の1つは、基盤となるインフラからモデル、そして優秀な人材に至るまで、技術スタックのすべてを備えていることです。そしてもちろん、動機付けとなる要素もあります」とマティアスは語った。「当社の製品のうち約8つが月間アクティブユーザー20億人を抱えています。つまり、AIを活用し、それらすべての製品で実際に体験を提供する方法を見出す、非常に大きな機会があるということです」。
科学者が研究上の問いを立てるツールとしてAIを活用し、科学的発見を加速
「私が非常にワクワクしている分野の1つは、AIを使って科学的発見そのものを加速させる方法です」とマティアスは語った。「ここでの前提は、AIが今や科学者が研究上の問いを立てるためのツールになりつつあるということです」。
マティアスは「AI co-scientist」(AIコサイエンティスト)と呼ばれるツールに言及した。これは研究者の問いを支援するツールである。
「これはエージェントベースのシステムで、文献検索を行い、仮説を生成し、それらを検証してランク付けし、科学者にフィードバックすることができます」と同氏は、Imperial College(インペリアル・カレッジ)で細菌の研究に取り組む同僚の仕事を紹介しながら語った。「その同僚とこのツールをどう体験しているかを話し合ったとき、返ってきた答えは『これは素晴らしい共同研究者だ』というものでした」。
同じツールは、肝線維症(肝臓が硬くなる疾患)やドラッグリパーパシング(既存薬の新たな用途の発見)など、幅広いテーマの研究にも活用できるとマティアスは示唆した。
「AIのエージェントシステムを使って科学的発見を支援する未来について考えるとき、私が思い描くのはこういうことです。すべての研究者が、大学院生やポスドクであっても、自由に使えるバーチャルラボ(仮想研究室)を持てるようになる。ある意味、科学者の仕事のレベルが引き上げられ、より大きな問いを立てられるようになるのです」とマティアスは語った。


