起業家

2026.03.01 15:00

東京で起業した日本最大級の再エネ開発者、テキサスで全米最大の「AI向け電力拠点」構築に挑む

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日本政府の再生可能エネルギー政策に商機を見出し、日本最大級の開発業者へと成長

フランクリンは、かつて石油産業の中心地として栄えたカリフォルニア州ベーカーズフィールドの出身だ。彼の祖父と父は、全米有数の産油量を誇ったカーンリバー油田で働いていた時期があり、一時は日量1000バレルを生産する油井を所有していた。自宅はその油田を見下ろすパノラマ・ブラフスの近くにあった。「夜になると、まるで街のように見えていた」と彼は振り返る。

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カリフォルニア大学バークレー校で経済学の学位を取得し、同大学のロサンゼルス校(UCLA)でMBAを修了した後、フランクリンはエジソン・ミッション・エナジーやジャコ・オイル、BPの太陽光発電部門でキャリアを積んだ。

彼にとっての大きな転機は、2011年に地震と津波が福島第一原子力発電所を襲い、メルトダウンを引き起こしたことだった。この事故を受け、日本政府はエネルギー政策の方向性を大きく見直し、多くの原子炉を停止した。2012年7月には電力会社に対して再生可能エネルギーによる電力を市場価格より高い固定価格で長期間買い取ることを義務づける制度を導入した。

2012年、妻と3人の幼い子どもを伴って東京に移住

ここに商機を見出したフランクリンは、2012年に妻と3人の幼い子どもを伴って東京に移住し、当初は2人のみのオフィスでパシフィコ・エナジーを創業した。やがて、岡山県の山間部に建設された久米南メガソーラーのような大型案件を手がけるようになり、ゼネラル・エレクトリックや三菱東京UFJ銀行、三井住友信託銀行主導のシンジケートなどから資金支援を受けた。野村証券やゴールドマン・サックスの支援を得て、2017年に1億4200万ドル(約220億円)、2019年に2億6600万ドル(約412億円)の太陽光発電ファンドを組成。20件以上の太陽光プロジェクトを展開するパシフィコは、日本最大級の開発業者へと成長した。

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米国に戻った後も日本で築いた関係を維持し、テキサスでの新たな構想に目を向ける

フランクリンは、2019年に米国へ戻った後も、日本で築いた関係を維持し続けた。住友や三菱UFJを説得し、カリフォルニア州とマサチューセッツ州で展開する計27メガワットの太陽光および蓄電プロジェクトに対し、9000万ドル(約139億5000万円)の出資と融資を取り付けた(これら施設は2025年、独立系発電事業者クリーンキャピタルに売却された)。「2023年までには、AIデータセンターの拡大が加速していることは明らかだった」とフランクリンは語る。こうして彼は、テキサスでの新たな構想に目を向けた。

他事業の資金調達や売却などで苦戦する一方、GWランチでは日本側が出資に関心を示す可能性

もっとも、フランクリンとパシフィコにとってすべてが順風満帆だったわけではない。韓国沖で認可を受けた3ギガワット規模の洋上風力発電プロジェクトについては、いまだ資金の確保に苦戦している。日本の太陽光発電資産の売却をめぐっては、KKRやマッコーリーなどの潜在的な買い手が当初提示された10億ドル(約1550億円)の価格に難色を示したと報じられ、売却額の見通しを引き下げざるを得なかった。

フランクリンは、テキサス州で進めるGWランチの初期段階の資金を賄うために資産を売却する必要はないと語る。また、日本で築いた人脈が、桁違いに大規模なこの計画に当然のように出資してくれると見込んでいるわけでもないという。だが、彼はこの構想を説明し続けており、日本側が関心を示す可能性は十分にある。

日本のエネルギー大手による、米国の天然ガス関連資産の取得動向

大和証券のマサユキ・ナガノは、日本のエネルギー大手のJERA、東京ガス、石油資源開発(JAPEX)などが、すでに米国の天然ガス関連資産の取得に150億ドル(約2.3兆円)超を投じていると指摘する。直近では三菱商事が、非上場のガス生産会社イーソン・エナジー・マネジメントのシェールガス生産事業を75億ドル(約1.2兆円)で買収することで合意した。2025年7月、トランプ政権との関税協議の中で、日本企業がトランプ大統領の2期目の任期終了までに米国へ5500億ドル(約85.3兆円)を投資することで外交当局が合意した。また、トランプ大統領は先日、オハイオ州、テキサス州、ジョージア州におけるエネルギーおよび鉱物関連プロジェクトに対する360億ドル(約5.6兆円)規模の初期投資計画を発表した。

すでに排出許可を取得済み、ガスが豊富に供給される立地で地元からの強い反対もない

加えて、GWランチはすでに排出許可を取得済みで、ガスが豊富に供給される立地にあり、地元からの強い反対もないという条件を備えている。「こうした規模のプロジェクトを実行できる場所はそう多くない。これほどの電力を1カ所で確保できるのは、極めてまれだ」とフランクリンは述べている。

フランクリンは、パシフィコのこのプロジェクトに対する具体的な投資額や、非上場の同社における自身の持ち分の詳細を明らかにしていないが、彼の成功ぶりはうかがえる。彼の家族財団は、故郷ベーカーズフィールドに1300万ドル(約20億円)を投じて水泳施設を建設し、現在居住するカリフォルニア州オレンジ郡サンフアン・カピストラーノでは、地域の美化事業にも資金を提供している。

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翻訳=上田裕資

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