ニューヨークのクイーンズ育ち、金融の世界に魅了された原点は父デズモンド
1970年代に米国へ移住したジャマイカ人の両親のもとに生まれたクラークは、ニューヨークのクイーンズで育った。母はセント・ジョンズ病院の管理者として働き、父はタクシー運転手として働きながら不動産事業も手がけていた。クラークは、自身が金融の世界に魅了された原点が父デズモンドにあると語る。
「私の父は、さまざまな家族がマイホームを購入できるよう支援し、アメリカンドリームの実現を後押ししていた。私はキッチンのテーブルでその姿を見ながら、取引をどう組み立てるかを学んだ」とクラークは振り返る。
彼女の家族はまた、ポップカルチャーを通じて絆を深めていった。著名なダンサーのアルビン・エイリーの公演に毎年足を運び、日曜には家でボブ・マーリー、グレゴリー・アイザックス、マシェル・モンターノの曲を大音量で流していた。
クラークのアートへの関心は、1997年までにすでに金融の世界へと移っていた。ジョージタウン大学の最終学年に在学中、モルガン・スタンレーでインターンを経験したことが、その後の進路を決定づけた。金融学の学位を取得した彼女は同社にアナリストとして入社。その後数年で退社し、ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得した。2009年に再びモルガン・スタンレーへ戻り、クレジット部門のマネージングディレクターに就任。8年後には、エンターテインメントやメディア、スポーツ向けのストラクチャード・ソリューション部門を率いる立場に就いた。
「私の起業家としての学びの多くはモルガン・スタンレー時代のものだ」と彼女は語る。特に、音楽カタログ事業を手がける「プロジェクト・テンポ」での経験が大きかったという。
映画制作会社と約47億円のパートナーシップを結び、ファンドにスポーツの要素を追加
クラークは現在、音楽にとどまらず、映画やテレビのカタログにも目を向けている。そこには『ガールフレンズ』『マーティン』『リビング・シングル』『グッド・タイムズ』『フレンズ』といった長年親しまれてきたテレビドラマが含まれる。彼女は、ビリオネアのデビッド・スチュワードを父に持つデビッド・スチュワード2世が創業した映画制作会社ライオン・フォージ・エンターテインメントと3000万ドル(約47億円)規模のパートナーシップを結んだ。イッサ・レイのマネジメント会社カラー・クリエイティブにも出資している。次の目標は、ファンドにスポーツ分野を組み込むことだという。
クラークは数年前、BETの買収には敗れたが、ある意味で「プライベートエクイティ版のBET」ともいえる会社を築きつつある。「不可能だと決めつけないことが大切だ」と彼女は言う。「自分はこの枠の中の存在だと思い込めば、本当にその枠を超えることはできないのだから」。


