ServiceNowは過去最高の四半期決算を発表した。サブスクリプション収益は21%増の34億7000万ドルに達した。AI製品の売上は前年同期比で2倍以上となった。既存顧客の更新率は98%だった。それでも株価は急落した。2月初旬にAnthropicがClaude Coworkツールを投入して以来、エンタープライズソフトウェア株から約1兆ドルが消し飛んだパニックに巻き込まれたのである。
ServiceNow株は高値から約45%下落し、投資家が敬遠する他のソフトウェア企業と同列に扱われている。だがウォール街では、この銘柄は誤って値付けされているという声が強まりつつある。BTIGはServiceNowを反発候補として名指しし、バークレイズのレポートは、既存システムからの移行には数週間ではなく数年を要すると主張した。
問題は、ServiceNowがAIディスラプションの物語の「被害者」なのか、それとも恩恵を受ける位置にいる数少ない企業の1社なのか、という点だ。
ロボットのための人事部をつくる企業
「SaaS終末論(SaaSpocalypse)」を駆動する恐怖は単純だ。AIエージェントが仕事をこなせるなら、なぜソフトウェアのサブスクリプションに金を払う必要があるのか。だがこの捉え方は、決定的に重要な二次的問題を見落としている。企業が部門をまたいで数十、数百のAIエージェントを展開したとき、誰がそれらを管理するのか。誰がタスクを割り当てるのか。誰が正しく動いているかを監視するのか。営業用エージェントが、法務用エージェントが秘匿すべきデータを引き出していないと、誰が保証するのか。
ServiceNowが埋めようとしているのは、その空白だ。同社は昨年5月の年次カンファレンスでAI Agent Fabricを立ち上げ、「AI Control Tower」と呼ぶものも併せて発表した。これはデジタル労働力のための管理レイヤーと考えるとよい。Agent Fabricは、ServiceNow自社のエージェントに加え、他ベンダーのエージェントや、Microsoft、Google Cloud、Cisco、Adobeといったパートナーのエージェントが、オープンなプロトコルを用いて相互に通信し、タスクを協調できるようにする。Control Towerは、人間の管理者に単一のダッシュボードを提供し、すべてのエージェントが何をしているかを監視し、その影響を追跡し、逸脱を抑える。
ここで役立つ比喩がある。ServiceNowはAIエージェントになろうとしているのではない。エージェントが動くためのオペレーティングシステム(OS)になろうとしているのであり、デジタルであること以外は通常の労働力と変わらない「人員」に対する人事部門や組織図を担おうとしているのだ。
売り文句を裏付ける数字
財務面の根拠は、株価が示唆する以上に強い。ServiceNowは第4四半期のサブスクリプション収益34億7000万ドルを報告し、ガイダンスを150ベーシスポイント上回った。通年のサブスクリプション収益は128億8000万ドルで、21%増となった。近く計上される契約収益を示す指標である流動残存履行義務は、25%増の128億5000万ドルに伸びた。
より重要なのはAI関連の指標である。AIエージェントツールを含むServiceNowの製品スイート「Now Assist」は、前年と比べてネット新規の年間契約額を2倍以上に増やした。ネット新規の年間契約額が100万ドル超の取引は前年同期比40%増となり、四半期だけで244件を数えた。年間500万ドル超を支払う顧客は600社を超え、前年から20%増えた。ビル・マクダーモットCEOはアナリストに対し、ServiceNowは「この変化へのゲートウェイであり、企業においてAIを遍在させる意味(セマンティック)レイヤーとして機能する」と語った。
同社は、2026年のサブスクリプション収益を155億3000万〜155億7000万ドルと見込み、ほとんどのソフトウェア企業が減速し始める規模において年率およそ20%の成長を示している。営業利益率は32%まで拡大する見通しだ。
顧客が簡単には離れられない理由
これが一般の人々にとって実務的に重要なのは次の理由からだ。自社のITヘルプデスク、人事オンボーディング、カスタマーサービスの振り分け、セキュリティ運用をServiceNowのプラットフォームで回している企業では、これらプロセスのデータがすべてそこに蓄積される。すべてのチケット、すべてのワークフロー、すべての承認経路だ。そして、そのデータこそがAIエージェントを有用にする源泉である。保険金請求を処理するAIエージェントは、請求の履歴、保険契約の条件、顧客記録にアクセスする必要があるが、これらはすべてServiceNowの内部に存在する。
そのシステムを引き剥がしてAIスタートアップへ移行することは技術的には可能だが、費用は莫大でリスクも高い。何年もかけて運用をServiceNowのプラットフォーム中心に組み上げてきた企業ほど、それを置き換えるよりも、その内部にAIエージェントを展開する可能性がはるかに高い。この「データの重力」こそが、市場がAI不安に包まれる中でもServiceNowの更新率が98%で維持されてきた理由である。
価格体系の変化も注視に値する。ServiceNowは、AIエージェント機能をより高い価格帯で束ねるプレミアム層(Pro Plus、Enterprise Plus)を展開している。ユーザー数ごとの課金ではなく、AIが何を達成したかに基づいて価値を取り込むモデルへと、比重が移りつつある。AI Value Frameworkにより、顧客はAIエージェントが生み出した生産性向上の時間を正確に追跡でき、ServiceNowはそのデータをプレミアム価格の正当化に使える。
リーダーシップへの賭け
ビル・マクダーモット氏は契約を少なくとも2030年まで延長し、市場が自社のような企業の生存可能性に疑念を抱くまさにその瞬間に、長期コミットメントを示した。マクダーモット氏は以前SAPを率い、同社のクラウドソフトウェアへの移行を指揮した。ServiceNowでの報酬は業績連動の色彩が強い。12月23日にSECに提出された契約延長により、同氏は2030年末までCEO、共同CEO、またはエグゼクティブ・チェアマンとして務めることができ、報酬は同業他社に対する会社の業績に連動する。
同氏はプラットフォーム拡充のための投資も積極的に進めている。ServiceNowは、サイバーセキュリティ企業Armisの77億5000万ドルでの買収を発表し、AI企業Moveworksについても約30億ドルの取引を成立させた。いずれも、エンタープライズの「コントロールタワー」としてのプラットフォームの足場を拡大する狙いがある。ジーナ・マスタントゥオーノCFOはアナリストに対し、これらの買収は自社のオーガニック成長の「加速」を意味し、それに取って代わるものではないと述べた。
パニックの中の機会
市場はServiceNowを、セクター全体のパニックにおける「巻き添え損害」として扱っている。アナリストの目標株価は引き下げられ、たとえばジェフリーズは買い判断を維持しながらも目標を230ドルから175ドルへ下げた。サブスクリプション収益が約160億ドルに達しようとしており、年率20%で成長し、更新率は98%、AI収益は倍増している企業としては、事業と株価の乖離は際立っている。
リスクは現実に存在する。AIエージェントが従来型のワークフローソフトウェアの必要性を本当に消し去るなら、ServiceNowのプラットフォームは存在意義を失う。だがより可能性が高く、そして決算データが裏付けるシナリオは、AIエージェントには稼働するためのプラットフォームが必要であり、ServiceNowがそれらを管理するインフラを構築している、というものだ。この淘汰局面を生き残る企業は、AIから逃げる企業ではない。AIを管理する企業である。
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