非営利団体のリーダーなら誰もが経験したことがあるだろう。善意に満ちた寄付者が、受益者の役に立つと信じて物資の入った段ボール箱を抱えてオフィスにやってくる。あなたは感謝を伝え、税務申告用の領収書を渡す。しかし心の中では、冬物コートが山積みになったクローゼットや、1万本の歯ブラシが入った箱がデスクの下で8カ月も眠り続けることになると分かっている。
こうした現物の寄付は真摯な思いやりから生まれるものだが、寄付された品を効果的に保管し、輸送し、配布するための設備やインフラ、物流体制を備えていない非営利団体は少なくない。課題は、寄付者の善意を損なうことなく、この現実をどう伝えるかにある。
現物寄付の規模
2013年のやや古い調査では、米国の寄付者は非営利団体に対し、食品、日用品、中古衣料、その他の物品を含む現物寄付を年間およそ580億ドル拠出しているとされた。ボランティアやその他のサービスが残りを補っている。
企業による現物寄付は、より広い「現金以外の寄付」カテゴリーの一部であるため、把握が難しい。Giving USAは、企業の慈善活動全体を2024年におよそ444億ドルと推計しており、2023年から9.1%増加した。
企業はまた、税制上のメリットを得るために売れ残り製品を寄付することもある。年末の寄付シーズンと税制優遇の双方に影響され、非営利団体の収入の30%〜40%が第4四半期に集中することも珍しくない。
現物寄付が抱える課題
人々が現物寄付を選ぶ最も一般的で重要な理由の一つは、自分の支援が直接的な効果をもたらす姿を想像できることである。利便性を重視し、手元にある物品を必要としている人々に届けたいという動機を持つ寄付者もいる。善意は疑いようがないが、国内支援を行う団体にとって現物寄付には明確な課題がある。非営利団体には保管スペースが必要であり、仕分けと在庫管理を担うスタッフ、配布のための車両も求められる。こうした間接費を予算化している団体はほとんどない。
国際的な文脈では、これらの課題はさらに大きくなる。関税や輸入税が寄付を高コストにし、通関の遅れによって生鮮品が無駄になる可能性もある。多くの国には米国とは異なる厳格な規制があるため、ほぼどんな現物寄付であっても、さまざまな理由で入国を拒否され得る。
文化的なミスマッチのリスクもある。保守的な地域に流行の服を送ったり、サイズの合わない靴を届けたりするケースだ。こうした状況は、寄付者、非営利団体、受益者のいずれにとっても不満の種となる。
現物寄付より効果的な代替策
寄付の意思を別の方向へ導くには、国際的な状況でも有効な明確な代替案を示す必要がある。次の選択肢なら、物品ならではの課題なしにインパクトを生み出せる。
• 現金寄付を、より大きく持続可能なプロジェクトの一部として位置づける。 たとえば、私たちの成功事例のひとつは女性起業家を支援するプログラムだ。500ドルの寄付は、特定の女性が人生を変える事業を始めるために必要な起業・ビジネス研修を受ける手助けとなる。
• 現地調達を検討する。 アルメニアのような国では、有利な為替レートと輸送費や関税がかからないことにより、米ドルの価値は大きく伸びる。ベッド、自転車、食器、洗濯機は需要が高く、現地で調達するほうが大幅に安い。
• 現金を、具体的で目に見える品目に充当するよう指定する。 たとえば20ドルで、職業訓練校の学生にリュックサックと教科書を用意できる。私たちは毎年クリスマスのウィッシュリストも維持しており、子どもたちが希望する特定の品目に現金寄付を直接ひも付け、現地で購入している(ほとんどの子どもが自転車を欲しがる)。
• サービス提供を支援する。 寄付者は健康診断、予防接種、職業訓練、法的サービスの費用を負担できる。こうした現物支援は輸送費がかからず、ニーズに直接応える。私たちは避難を余儀なくされた医療従事者向けに継続医学教育(CME)の研修と認定取得を定期的に支援しており、テクノロジー系カレッジでは米国拠点のボランティアによるオンライン研修も提供している。
これらの選択肢は、明確に説明すれば寄付者の共感を得やすい。寄付の善意が直接的で測定可能な成果を生み出すことを示しつつ、国際輸送に伴う非効率を減らせるからだ。
「現金優先」への転換を寄付者と話し合う
善意を別の形へ導くのは決して簡単ではなく、配慮と繊細さが必要だ。寄付者が物品を申し出たときは、まず感謝を伝え、その機会を教育へとつなげることが重要である。
ひとつの方法は、現金と現物のインパクトを比較して示すことだ。たとえば寄付されたコート200着の輸送に5000ドルかかるかもしれないが、同額があれば現地製のコート500着を購入でき、地元の仕立て屋も支援できる。もう一つの方法として、団体の能力について透明性を持って説明することがある。倉庫スペースが足りない、仕分けをするスタッフがいないと説明すれば、寄付者の視点が変わることは多い。
現金以外の代替案は、寄付者の熱意を維持する助けにもなる。交通費の補助、スタッフ出張の航空マイル、翻訳サービスの資金提供を提案してみるとよい。私たちはまた、現金寄付を活用して現地での募金イベントも支援している。
寄付者を不快にさせずに「ノー」と言う4つの方法
• 話の枠組みを変える。 寄付者の善意を認めたうえで、現金ベースの寄付のほうがより大きなインパクトを生み得ることを示す。
• 具体的な比較を示す。 現物寄付が想定外のコストを生んだ例を共有し、現金ベースの解決策なら、より多くの人に、より迅速に届くことを伝える。
• 選択肢を用意する。 現物寄付を即座に拒むのではなく、プログラム基金への拠出、研修の支援、現地調達の費用負担などの代替案を提案する。
• 組み合わせ寄付を提案する。 輸送や保管などの物流コストを賄うため、現物寄付に加えて現金寄付も行うよう勧める。
寄付への感謝
非営利団体は人々を助けるために存在しているのであり、倉庫を管理するためではない。現物が特定のニーズに対する解決策となる場面もあるが、使途を限定しない現金は、ほとんどの場合、より良く、より速く、より持続的な成果をもたらす。
非営利団体のリーダーとして、私たちは感謝と導きを両立させる術を学ばなければならない。現物寄付に「結構です」と伝えることは、扉を閉ざすためではない。むしろ、支援者を教育する対話を開き、より賢く、より効率的で、より大きなインパクトを生む支援者になってもらうための方法と考えるべきだ。
現金寄付は、非営利団体がニーズにリアルタイムで対応し、地域経済を強化し、善意が目的を果たすことを確かなものにする。明確なコミュニケーションは、寄付の精神を尊重しつつ、資源を最も必要とされる場所へ導く助けとなる。



