経済・社会

2026.02.23 17:49

米国防衛産業への批判が的外れな理由

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米国で、防衛産業ほど定期的に批判の的にされるビジネスセクターは他にないかもしれない。とりわけ、いわゆる「ビッグファイブ」(5大プライムコントラクター)――ボーイング、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマン、レイセオン、ゼネラル・ダイナミクス――に向けられる批判は根強い。

実際、先月もトランプ大統領は防衛産業を批判し、装備品の生産速度が遅すぎること、既存のハードウェアの保守が不十分であることを指摘した。さらに、自社株買いや配当を一定の条件下で制限するなど、請負業者の優先順位を投資家へのリターンから生産と性能へとシフトさせることを目的とした大統領令を発令した。

防衛産業批判は、ワシントン(ベルトウェイ)の中ではほとんど一種の「家内制手工業」のように存在しており、その論点は驚くほど多様だが、いくつかの繰り返されるテーマに収れんする。とりわけ批判者は、プライム各社が戦闘員を十分に支援していない、革新性が足りない、コストを抑えられない、製造能力が不足している――特に、中国との近い将来の紛争の可能性を踏まえると――と主張する。

筆者は国家情報長官代行および副長官を務め、さらにノースロップ・グラマンで宇宙・サイバー・情報領域の戦略開発担当副社長を務めた経験がある。その立場から、こうした主張にしばしば強い違和感を覚え、いくつかはより深い分析の対象となるべきだと考えている。

以下、掘り下げる価値のある主張をいくつか挙げたい。

「防衛産業は戦闘員を見捨てた」という主張

これは誤りである。この主張は、何らかの包括的な防衛改革案を正当化する文脈でしばしば持ち出されるが、果たして事実だろうか。

考えてみてほしい。米軍が大規模な戦闘において技術的に劣勢だったのはいつが最後か。第二次世界大戦の北アフリカ戦線の初期だろうか。少なくとも、ベトナム戦争、イラク・アフガニスタンでの戦争、20年に及んだ対テロ戦争、近年のイランおよびベネズエラでの軍事行動では、そうではなかった。実際、後者の行動では、トランプ大統領が米軍の「クラス最高」の技術を公に称賛している。

さらに筆者は、かつて大統領向けのブリーフィングを行い、複数の政権にまたがってホワイトハウスの上級安全保障会議に数百回出席した情報コミュニティ代表でもあった。その経験から、米国の卓越した情報・軍事能力が、国際危機の局面で米国の指導者に巨大な意思決定上、そして戦闘上の優位をもたらしていることを目の当たりにしてきた。

確かに、中国による台湾侵攻と米国の介入を想定したウォーゲームにおいて、米軍が極めて大きな課題に直面することは疑いない。しかし、そのようなシナリオで米国が苦戦し得る理由は、防衛産業に単純に帰せられるものとは別に、数多く存在する。戦場までの膨大な距離と圧縮されたタイムラインの問題がある。同盟国が参加できるのか、参加する意思があるのかという問題もある。もちろん、中国の実際の軍事能力も不確実だ。中国が最後に経験した軍事紛争は約50年前の短期間の中越戦争であり、現代戦における中国軍の実効性を測るのは難しい。

米国の防衛産業に話を戻すと、このような紛争を効果的に支える能力は、事前に決まっているものではない。多くのウォーゲームが前提とするように固定的なものでもない。むしろ、現在および近い将来の調達判断によって圧倒的に形づくられる。

「防衛産業はイノベーションができない」という主張

本当にそうだろうか。筆者はここ数年、伝統的なプライムコントラクターに対してこの批判が繰り返し投げかけられるのを聞いてきた。しかし、それは同産業が示してきた驚くべき技術的成果を前にしてもなお、である。

例えば、台湾のメーカーTSMCが世界で最も先進的なマイクロチップを製造していることは一般に認められている。だが、世界最速のマイクロチップを製造したのは、筆者の元勤務先であるノースロップ・グラマンだ。1秒当たり1兆回のサイクルで動作し、平均的な携帯電話に搭載されるチップより1000倍高速である。

あるいは、2022年に打ち上げられたNASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を考えてみたい。主にノースロップ・グラマンが製造し(国内外のパートナーから強力な支援を受けた)、地球から100万マイル離れた太陽周回軌道を回る。望遠鏡の口径はハッブル宇宙望遠鏡の2倍超で、テニスコートほどの大きさの展開式サンシールドにより華氏マイナス370度で稼働し、いまや宇宙の起源に関する驚くべき洞察を生み出している。

また、宇宙分野のイノベーションという点でも、現在の防衛プライムが12人の米国人を月面に送り込んだことに一定の功績があることは想起されるべきだ。宇宙配備のミサイル警戒、宇宙配備の情報収集、宇宙配備の気象観測、宇宙配備の測位、宇宙配備の通信を発明したのも同様である。

さらに近年、防衛セクターはロボティクス、自律システム、レジリエント(強靭)通信など、他分野でも重要な成果を挙げている。そしてこれらは公開されているイノベーションに過ぎないことを忘れてはならない。プライムの業務の多くは機密であり、他にも重要な技術的ブレークスルーが含まれていることは疑いようがない。例えば、世界の大半が米国のステルス技術の進展の程度を理解したのは、第一次湾岸戦争で公に投入されたときだった。

アンドゥリルやスペースXのような防衛ビジネスの新規参入企業が、その革新性で高い評価を受けるのは正当である。しかし、この領域のどの企業にとっても、プロトタイプから大規模製造へ移行することは難題となる点を忘れてはならない。また、各参入企業はいずれ、需要シグナルの変化、重大なセキュリティ制約、高度なサイバー防護要件、限られた数の下請けサプライヤーへの依存、政府による国際販売機会への制約など、同様の課題に直面する。

イノベーションに関するもう1点として、防衛産業は、将来の戦場での成功の鍵がソフトウェアだと見なされるようになる中でも、ハードウェア「しか」生産しないという批判を常に受けている。しかし、防衛プライムが相当のソフトウェア開発能力を有していることはさておき、これは二者択一の話ではない。将来の同格国同士の紛争で成功するために、米国には高度な軍用ハードウェアと世界トップクラスのソフトウェアの両方が明らかに必要となる。

したがって、現代の戦場を形づくる要因としてソフトウェアの役割を強調するのが流行だとしても、ゼレンスキー大統領がロシアとの存亡をかけた戦争のために軍事支援を求める際、彼が主に求めているのは情報支援の強化、先進的な弾薬、長距離ミサイル、防空システムであり、アルゴリズムではないことを思い出すべきである。

「防衛産業はコストが高すぎる」という主張

これもまた根強い批判であり、通常は生産コストの高さと長い開発サイクルが強調され、それが他の重要な防衛優先事項への投資を圧迫しているとされる。

遅延やコスト超過に見舞われる特定の防衛プログラムに対して批判の余地があることは疑いない。だが、国防総省が防衛プライムに対して支出を増やし続けているという見立ては正確だろうか。

第一次世界大戦で米国はGDPの22%を国防に費やした。第二次世界大戦では45%、冷戦期は7%である。今日ではおおむねGDPの3%だ。これは、制御不能な防衛調達を示すトレンドラインではない。また、典型的な防衛契約の利益率は約10%であり、商業セクター、特にテックセクターの利益率が常にそれより高いことと比較しても特筆に値する。

最近の大統領令でも言及されたもう一つの批判が、自社株買いと株主への配当の問題である。これはしばしば、重要な研究や設備近代化への投資から資金をそらしていると描かれる。しかし、プライム各社には、将来への投資(研究開発および設備投資)と株主への現金還元(配当および自社株買い)を両立させる受託者責任があることも忘れてはならない。

プライムが競争力のあるリターンを提供できなければ、投資家は資本を別の場所(おそらくセクター外)へ移す可能性が高い。そうなれば企業が使える資金は必然的に減少し、最終的には研究開発の負担が皮肉にも政府側へより多く戻ってしまう。

さらに付言すると、防衛コストを抑える提案として近年勢いを増しているのが、今後は固定価格契約のみを付与するという案である。これは定型的な量産契約には適切だが、最先端で初号機となる開発の取り組みに関与する防衛企業にとっては極めて困難だ。

「防衛産業は製造能力が不足している」という主張

防衛セクターへの最後の批判は、重要物資の生産を急増させる能力、特に消費量の多い精密誘導弾、標準的な砲弾である155mm弾、さらにはTNTのような重要な爆発物すら欠いている、というものだ。しかし筆者は、多くの場合の課題は製造能力でも重要なサブコンポーネントへのアクセスでも、労働力の技術的専門性でもなく、顧客側からの安定的で一貫した需要シグナルの欠如にあると主張したい。

近年の米国の国家安全保障上の優先順位がいかに劇的に振り子のように揺れてきたかを見れば、国防総省の要求がほぼ絶え間なく変化する中で、製品を備蓄し製造することがどれほど難しいかは理解できるはずだ。ここ25年あまりだけでも、国防総省の要求は現実の課題に対応して変化してきた。20年に及ぶ対テロ戦争を遂行する能力の重視から、イラクとアフガニスタンでの激しい戦闘へ。アジアへの軸足移動と中国との準同格の潜在紛争(宇宙を含む)から、今日の麻薬流入対策と西半球への再注目へ――という具合である。

これに加えて、国防総省と情報コミュニティの多くのプログラムが持つ「開始と停止」を繰り返す性質、部隊設計アーキテクチャの変化、連邦予算配分の乱高下と周期的な政府閉鎖、過小評価されていた新型コロナウイルス感染症の影響、そしてこれらすべてがサプライチェーンに与えた負荷がある。特定の防衛関連領域で不足が生じるのは驚くべきことではない。

しかし、それは本当に産業側だけの責任なのか。それとも、持続的な戦略的優先事項の設定、大規模な調達改革(ピート・ヘグセス国防長官が最近提案したようなもの)、同盟国の能力のより良い活用、そして政府・産業リーダー・商業セクターが、実務経験を持つ深い専門家同士による定期的な高位協議を含む真のパートナーシップを結ぶこと――これらを組み合わせることで、より効果的に対処できる問題ではないのか。

よりバランスの取れた議論へ

防衛産業に関する神話が容易に反証できるのだとすれば、なぜそれが根強く残っているのか。

第一に、これらの神話には、ここ数十年のある時点ではそれぞれ一定の真実が含まれていた――あるいは含まれていた時期があった――ため、理解可能な足場を与えてしまっている。時に、計画が拙く、設計が粗く、運営がまずく、予算設定も不適切なプログラムが注目を集め、セクターに悪い印象を与えてきた。防衛産業は、批判に反論したり、主要顧客(国防総省と情報コミュニティ)に責任の一端を指摘したりすることを通常避けるため、批判者にとっても格好の標的である。さらに、最も高コストで注目度の高いプログラムの多くは信じがたいほど複雑で、しばしば機密でもある。そのため、業界は直面する課題に対して、軽妙で非機密の回答を示す能力が制約される。

それでも、米国がこれまでになく多くの世界的脅威、とりわけ先端技術のエコシステムにおける脅威に直面するいま、より成熟し、筋道だった防衛産業に関する議論、そして最終的には包括的な戦略の必要性は、かつてなく高まっている。実際、政府の上級リーダー、産業の専門家、メディア、学術コミュニティが、この問題に本気で向き合う準備が整うまで、セクターと軍の欠点をめぐるうんざりする議論は、これまでと不気味なほど似た響きを持ちながら延々と続き、結局は古い神話が新しい神話に置き換わるだけだろう。

forbes.com 原文

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