ヘルスケア

2026.02.24 13:00

AIの力を借りて、慢性腎臓病の早期発見・治療管理に注力する企業Carna Health

Shutterstock

Shutterstock

AIによる医療の進歩については、LLM(大規模言語モデル)の現状が議論される各種カンファレンスなどでもよく耳にする。しかし、ニューラルネットワークの能力を土台にして具体的にどのような変化が生まれているのか、もう少し掘り下げて知ることも大切である。結局のところ、AIが単独で「医療に革命を起こす」わけではない。むしろ、臨床医、保健医療制度の運営担当者や病院経営者などのマネジメント層が依然として主導権を握るツールやソリューションを設計する能力を、AIが提供するのだ。

慢性腎臓病は、世界の死因の第5位になるとの予測

こうした取り組みの一端が示されたのが、1月にダボスで開催されたImagination in Actionのイベントだ。American College of Cardiology(米国心臓病学会)のチーフ・イノベーション・オフィサー(CIO=最高イノベーション責任者)であるアミ・バットが、Carna Health(カーナヘルス)のサルバトーレ・ヴィスコミに対し、同社の成果についてインタビューを行った。(注:筆者はImagination in Actionの運営に携わっている。これはスイスのダボス会議に合わせて開催される、AIに関する無料カンファレンスだ)。

まずヴィスコミは、Carna Healthが慢性腎臓病の早期発見と治療管理に注力しているヘルスケア企業であることを述べ、世界の人々にどのように貢献しているかを説明した。

「慢性腎臓病は、世界の死因の第5位になると予測されています。理由の1つは認知度の低さです。世界的に専門医が不足しています。医療資源も足りていません。だからこそ、AIが役に立てるのです」。

予測分析とスキル向上

ヴィスコミは、この分野のイノベーションに必要な要素として、予測分析とスキル向上(アップスキリング)の2つを挙げた。

「この病気が十分に理解されていない地域が世界には数多くあります。……誰が発症リスクを抱えているのか、さらに病気が進行するリスクがどの程度あるのかを特定することが非常に重要です」と同氏は述べた。

スキル向上については、次のように語った。

「利用できる人材を最大限に活かすということです。かかりつけ医、薬剤師、看護師……専門医がいない地域では、彼らのスキルを引き上げ、治療が必要な患者をケアできるようにするのです。腎代謝疾患のこの領域を考えると、政府レベルでの取り組みが不可欠です」。

幸いなことに、同社はこうした課題に取り組むことを後押しする政府の推進役──問題解決を訴える政府高官──の存在を見いだしているという。

「これを国家的なプログラム、国家的な優先課題にしたいのです。予防の恩恵を受けるのは政府だからです。政府は透析の費用を負担しています。透析を受けられなければ、残念ながら人は亡くなります。ですから、私たちは各国の大統領、副大統領、保健大臣、財務大臣と面会してきました。彼らがいわば私たちの推進役です」。

次ページ > 携帯電話1台で

翻訳=酒匂寛

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事