働き方

2026.02.23 10:32

組織図の時代は終わった──「リキッド・ワークフォース」という働き方

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パンデミックは、仕事との関係を見つめ直すきっかけを私たち全員に与えた。月日がたつにつれ、硬直した枠組みではなく柔軟な枠組みの中でも生産性を保てる(ときに以前より高められる)ことがわかった。ワークライフバランスは「あればうれしい」以上のものになった。失っていたことすら気づかなかった自由を、私たちは少し取り戻した。

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いま求められているのは、企業側が硬直から流動へと移行することだ。ハイブリッドワークや柔軟な勤務時間にとどまらず、「役割」そのものを変える必要がある。2016年にアクセンチュアのレポートで初めて提唱された「リキッド・ワークフォース(液状の労働力)」は、従来の組織図を白紙に戻す概念である。このモデルでは、仕事は職位ではなくスキルに基づいて割り当てられる。硬直した職場の役割を根本から見直す発想だ。

「私がリキッド・ワークフォースについて語るとき、それは固定された役割ではなく能力を中心に仕事を組み立てる企業を指している」と、DoceboのCEO、アレッシオ・アルトゥッフォは言う。「リキッド・ワークフォースの構造では、固定の組織図にすべてを当てはめるのではなく、その時点で適切なスキルを持つ人に仕事を割り当てることで企業は対応する。

「仕事は、職務記述書の中にきれいに収まるタスクとしてではなく、変化する優先順位や解くべき課題として現れる」

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リキッド・ワークフォースは現行モデルからの急進的な転換なのか。答えはイエスだ。それはキャリアと組織の双方にとって前進の道となり得るのか。これもイエスである。ただし、仕事の捉え方を基礎から変えることに前向きであるなら、という条件がつく。

フリーランスやギグワークを超えて

「リキッド・ワークフォース」という言葉は、社員をフルタイムで雇用するのではなくプロジェクトごとに人を雇うフリーランス/ギグのモデルを言い換えたものに聞こえるかもしれない。だが実際にはまったく異なる。

「フリーランスやギグワークは、基本的に人をどう契約するかの話だ」とアルトゥッフォは言う。「リキッド・ワークフォースでは、組織がオペレーティングモデルを変える。人は依然としてフルタイムの社員である場合もあるが、固定的な肩書ではなく、その人の能力と生み出す成果によって知られるようになる」

「仕事はより自由に流れ、その結果として企業の対応力も高まる」

リキッドな仕事はどう流れるのか

リキッド・ワークフォースの構造では、新しいプロジェクトやタスクが、卓越した成果を出せる最適な個人に割り当てられる。そのためには、常に進化する従業員のスキルセットを継続的に把握しておく必要がある。従業員のスキルをリアルタイムで可視化する仕組みの大きな要素がAIであるのは、驚くべきことではない。

「真のモビリティはタイミングがすべてだ」とアルトゥッフォは言う。「仕事の変化は、ほとんどのHRシステムが追いつける速度を上回っている。スキルデータがサイロ化している、あるいは年1回しか更新されないのなら、マネジャーが目にする前にすでに古くなっている」

アルトゥッフォは、日々の仕事の中でスキルが見え、測定できるときにのみリキッド・ワークフォースは機能すると考えている。「スキルプラットフォームがプロジェクト業務、学習活動、キャリアの関心を継続的に分析すれば、スキルが合致した瞬間に、短期プロジェクトや社内の役割に適した従業員を浮かび上がらせることができる。それは定期的な更新や正式なプロセスではなく、日常業務を通じてリアルタイムで起こる。

「それによって、スキルが現れた途端に新しいプロジェクトや横方向の異動へと促すなど、システムがその場で反応できるようになる」

リキッドな働き方が不可避である理由

技術の進歩は、それを効果的に活用するための新たなスキルを継続的に求める。したがって、何らかの形でリキッドな仕事が不可欠になっていくのは避けがたいように見える。「経営層の大多数が、自社はAI主導の労働力の混乱に備えられていないと答えている以上、ワークフォース・プランニングは転換しなければならない」とアルトゥッフォは言う。

「それに加えて、労働力の高齢化は、多くのシステムが想定していた以上の速さで進んでいる。2030年までに60歳以上は14億人に達する。つまり、重要な知識が企業から流出するスピードが、企業が補充できるスピードを上回っている。

「これが、従業員のマネジメント方法を本当に変えざるを得ない状況を生んでいる」

そして、その変化は迅速でなければならない。「年次の人員計画ではもはや足りない」とアルトゥッフォは言う。「組織には、絶え間ない変化を前提に設計されたシステムが必要だ。そこではフルタイムの役割が柔軟で、リアルタイムの事業ニーズに合わせて調整できる。唯一の方法は、スキルのシグナルが発生した瞬間に注意を向けることだ。企業には、いまの世界に合わせて構築されたシステムが必要なのである」

リキッド・ワークフォースの魅力

リキッド・ワークフォースは、組織と個々の貢献者の双方に利点をもたらす。働く側にとっては、学びがもはや汎用的なものではなく、実際の役割、プロジェクト、変革の優先事項に結びつくようになるとアルトゥッフォは言う。「職務記述書で人を箱に入れてしまうのではなく、移動性を可能にするシステムから働き手は恩恵を受ける」と彼は述べる。

「このモデルでは、単一の職位で定義されるリスクが、増え続ける経験とスキルの組み合わせへと置き換わるため、人は力を発揮しやすい」

これは、目立つプロジェクトに携わるための職位はないがスキルは持っている可能性があるZ世代の働き手にとって、とりわけ有益になり得る。また、次の機会に備えるためにどのスキルを伸ばすべきかも示してくれる。

企業にとっては、仕事をよりリキッドにすることが機動力と定着を促す。「企業がこうした流動性を生み出すと、組織の知が社内にとどまり、事業と同じ速度でシフトできる労働力を築ける」とアルトゥッフォは言う。

流動性のもう1つの利点は、学習と能力開発が仕事のスピードで進められることだ。「多くの企業は、スキルギャップを認識してから行動に移すまでの間に勢いを失う」とアルトゥッフォは言う。「欠けているのは、スキルの洞察、学習、そして人をどう配置するかを結びつけるクローズドループだ」

例えば、スキルインテリジェンスが重要領域での不足を検知したとする。この不足が社員の年次評価(そもそも取り上げられるかどうかも含めて)で対応されるのではなく、モデルは即座に的を絞った学習を推奨し、社員が仕事の中でそれを適用することで進捗を確認できる。

「それによって、リーダーは事業の変化に合わせて素早く人材を再配置できる。そこで初めて、スキルが仕事の進め方を実際に形づくる」とアルトゥッフォは言う。

静的な計画から、継続的な実行へ

「リキッド・ワークフォースへの移行とは、最終的には静的な計画の状態から継続的な実行の状態へと移ることだ」とアルトゥッフォは言う。「多くの組織がAIによる混乱と労働力の高齢化に対応するために巨額投資をしているが、その投資はしばしば、分断されサイロ化したシステムに閉じ込められ、リアルタイムの変化の速度に追いつけないために失敗する」

真の流動性は、企業がスキルをダッシュボード上のデータポイントとして扱うのをやめ、学習と、実際に誰に仕事が割り当てられ、どのように成果を出すのかを結びつける共通言語として使い始めたときに生まれる、と彼は言う。

スキルに基づく採用はここ数年、企業が正式な資格よりも候補者のスキルに焦点を当てる意向を表明する中で注目を集めた。リキッド・ワークフォースは、その流れにおける次の論理的ステップである。重要なのがスキルだけになり、職位がキャリアの道のりにおいて決定要因というより付随物へと変わるなら、急速に変化する環境の中でも進化し競争力を保てる可能性は、はるかに高まる。

forbes.com 原文

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