私が大手国際製薬企業のCEOになるまでの道のりは、決して一直線ではなかった。今でも、ときに自分でも腑に落ちないことがある。しかし新著『The Detour CEO』のためにリサーチを進めるなかで、創業者ではない人々がどのようにしてその役職に就いたのかについて、興味深いことが分かった。
調査によると、S&P 500企業のCEOの85%は、4つの役職のいずれかから昇進している。CFO、COO、事業部門CEO、またはビジネスユニットディレクターだ。私にとって特に興味深かったのは、これらの職務は大きく異なるように見えても、4つすべてに「専門性」としての商業的な洞察力が求められている点だった。
つまり、広く浅くを知る必要がある。少なくとも、広く浅くを学ぼうとする意欲が求められる。
学ぶ意欲
CEOになる可能性を得る前提として、学ぶ意欲が必要だ。それは、自ら事業をゼロから立ち上げる場合であっても同じである。
書類上は申し分なく見えながら、最終的にCEO職を務めきれなかった人々を見ると、いくつかの傾向がある。
- ミッションと一体化できなかった。
- 自分の主要なスキルや知識に焦点を絞りすぎていた。
そして、この2つの傾向は結びついている。企業のミッションに心からコミットしていないCEOは、知識を広げようという意欲を持ちにくい。業務運営の卓越性にこだわりすぎるあまり、企業文化が悪化していることに気づけないCOO出身のCEOがいる。製品のポジショニングには卓越していながら、製造に必要な期間とコストを考慮しないCMO出身のCEOもいる。
すべての分野の専門家になる必要はない。しかし専門家やスペシャリストに囲まれ、彼らの話に耳を傾ける必要がある。
新任CEOの多くは、最初の部分は得意だ。専門家を周囲に置く。しかし、専門家は外で勝手にうまくやっているはずで、自分は邪魔をしないほうがいいと考えてしまう。学ぶ意欲のあるCEOは、彼ら全員と対話し、学び、その学びを一つの領域から別の領域へと波及させる「接着剤」となる。
価値を付加することを考えよ。毎日。
結局のところ、肩書が何であるかは重要ではない。インターンであれCEOであれ、やるべきことは1つだ。
「今日、どこで価値を付加できるか?」と自問すること。そして一日の終わりに「価値を付加できる領域を探したか? 付加した価値の目的は何だったか?」と問い直すことである。
1つの仕事が次の仕事につながるはずだという、いわゆる出世の階段という考え方に陥るのは簡単だ。しかしそれは、権利意識を生み、今いる場所への感謝を失う道でもある。今いる場所で学び、価値を付加しなければ、前には進めない。
それは、道の終点ばかりに執着するあまり、交差点の赤信号を見落とす運転手のようなものだ。衝突し、その過程で自分も他人も傷つける。
本当の道は特定の肩書を経由することではなく、価値を付加し続けることにある。今、この瞬間に。自分がいる場所で。そうすれば道は自ら切り開かれる。その先がCEOの椅子に至るかどうかは、自分で決められることではない。自分の務めは、今いる場所で最善を尽くすことだ。
レストランのシフトマネジャーからCEOに至るまで、私が経験したあらゆる仕事は、形は違えど結局この2つの選択に帰着していた。学ぶこと、そして価値を付加することだ。
それが自分にとってどういう姿になるのかに関心があるなら、対話を続けたい。そしてこれが役に立ったなら、チームにも共有し、毎日どのように学び、価値を付加していくかを戦略的に考え始めてほしい。



