働き方

2026.02.23 09:26

レジリエンスという名の罠──なぜ優秀な人ほど燃え尽きるのか

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レジリエンスとは、困難な時期を乗り越え、障害をかわし、物事を前向きに捉えるために培うものだ。「ストレスを受けた後に回復する能力」と定義されてきた。慢性的なストレスや過負荷に耐え続け、決して崩れないことの言い換えであるはずがない。

現代のプロフェッショナル、特に女性にとって危ういのは、レジリエンスを「決してペースを落とさず、過負荷について声を上げないこと」と再定義してしまうことだ。レジリエンスが「とにかく押し切れ」という思考に傾けば、燃え尽きは避けられない。

燃え尽きに関する2016年の画期的な研究では、燃え尽きが弱さや課題に対処できないことの症状ではないことが明らかになった。むしろそれは、対処に必要なリソースがないまま長期のストレスにさらされることによって自然に生じるものなのだ。

仕事(そして人生)の要求水準が高い一方で、圧力に対抗するための回復時間を取らない、あるいは与えられないと、私たちは消耗し始める。自分に「私はレジリエントだ」と言い聞かせることもできるし、周囲が励ますために同じ言葉をかけることもある。だがそれはレジリエンスではなく、罠である。

必ずしも外部からの要求だけが原因とは限らない。セルフケアを伴わないまま自分に高い期待を課せば、どれほど有能でも、いずれ精神的にも感情的にも消耗する時が来る。

実のところ、この「レジリエンスの罠」に最も陥りやすいのは、高い成果を出すプロフェッショナルである。彼らは沈黙のうちに苦しみがちだ。高い達成者は、とりわけ脆弱である。めったに立ち止まらないからだ。より多くを引き受け、より多くを抱え込み、求める助けは少ない。これこそが、高負荷環境で燃え尽きに陥りやすくする要因である。

感情労働と見えない負荷

感情労働という概念は、社会学者アーリー・ホックシールドが1980年代初頭に著書『The Managed Heart』で主流に押し上げた。多くの人がすでに感じていながら言語化できなかったもの、すなわち職場や家庭で期待に応えるために、自分の感情を管理しつつ、同時に他者の感情にも気を配るという仕事を名指したのである。

職場におけるレジリエンスの罠という観点では、感情労働は最大級の原因の1つだ。感情労働が消耗を招くのは、まさにそれが目に見えないからである。職務記述書に「職場の機能不全を皆の分まで吸収し、笑顔を装い、押し切ることが求められます」と書かれていることはない。だが採用されれば、実質的にそれを期待されることがある。たとえば、乗客から不当な扱いを受けても笑顔を保たねばならない客室乗務員のように。

レジリエンス神話に屈しているなら、周囲の人々の感情的な重みを無意識に背負っている可能性が高い。残念ながら、他者の感情的負荷を引き受けても、それが誰かに認識されることはほとんどない。評価面談に表れにくく、うまくこなせるほど、代償に気づかれにくくなる。

この見えない負荷は、とりわけ暗黙に期待されながら認められない場合、情緒的消耗と燃え尽きに結びつく。私たちは、リーダーや高い成果を出す人一般に対して、プレッシャー下でも冷静で、感情面で頼れ、事実上の「最高対立解消責任者」であることを求めがちだ。

本来の職務に加えてそれを担うのは、負担が大きい。むしろ、崩れないほうが不自然だろう。

沈黙の忍耐がもたらす生理学

あなたが引き受けた見えない負荷を認める当事者が実は1人いる。それは、あなたの身体だ。ただし身体は、その奉仕に感謝はしない。むしろ罰する。

アロスタティック負荷(慢性的ストレスが長期にわたり身体に及ぼす影響)に関する1998年の研究は、十分な回復時間を確保しないと、認知機能、感情の調整、そして全体的な身体的健康が損なわれることを示した。

仮に、身の回りの人々の感情労働を背負い、自分が現実的に処理できる以上の仕事を吸収しながら、終始それについて黙っていることこそレジリエンスの実践なのだと理屈づけたとしても、あなたはレジリエントどころではなくなるだろう。記憶力も意思決定も、以前のようにはいかないと感じるはずだ。

リーダーにとって、これはとりわけ重要である。あなたの役割は、健全な判断、感情の調整、戦略的思考を明確に求めるからだ。さらにここで厄介さが増す。高い機能を保つプロフェッショナルは、神経系が枯渇した後でさえ長く踏ん張れてしまう。レジリエンスの名のもとに、生理学的に何が起きているかを無視しながら、「すべて問題ない」と自分を納得させられるのである。

「あなたはレジリエントだ」と言われるのは心地よい。しかし同時に、その姿を保ち続けるための追加のプレッシャーにもなり得る。自分や他者を失望させたくなくて、さらに引き受けてしまうことさえある。高い成果を出す人ほど、レジリエンスを理由に走り続けやすい。

心理学ではこのサイクルを「報酬を伴う自己放置」と呼ぶ。自分の限界を無視することによって、まさに称賛が与えられる状態である。

燃え尽きずに有効性を保つ方法

目標は、前進をやめることではない。レジリエンスの意味を定義し直すことだ。

1. 自分が本当に責任を負うべきことを明確にする

自分がやっていることをすべて書き出し、そのリストに載るべきではないものが何かを見極める。引き受けるつもりはなかったのに、いま背負っている責任が紙面で明確になれば、1日がどのように乗っ取られているかが見えてくる。さらに、自分が抱え込んでいる相手や事柄のうち、最終的な意思決定の裁量が自分にないものをメモしておくことだ。たとえばチームの士気を管理しようとしているのに、誰の業務量も変える権限がないなら、それは逃がし弁のない感情労働である。

2. どこに(誰に)関与するかを選ぶ

どこに、あるいは誰に自分を差し出すかを選別できるほど、精神的エネルギーを温存できる。起こり得るあらゆる問題に対して、常時待機し、必ず立ち会う必要はない。自分自身、時間、頭脳、そして自分の仕事量を守り、本当に必要なときにこそ関与できるようにする。これは燃え尽きを遠ざけるという意味で精神衛生上も健全であり、同時にリーダーシップの実践でもある。

3. 回復を「ご褒美」ではなく「必須条件」として扱う

私たちは回復に対して機能不全な関係を持っている。回復を、道中で必要なものではなく、ゴールの後に与えるものとして捉えがちだ。プロジェクトが終わるまで何週間も自分を飢えさせないのと同じで、週の途中にある回復の時間まで自分から奪うべきではない。回復は任意ではないし、飾りでもない。前に進み続けるために必要な、生理学的な要請なのである。

リーダーに問うべき別の問い

アメリカ心理学会による2021年の「仕事とウェルビーイング」調査では、従業員の約60%が、仕事に関連するストレスによって心理的な負担を経験しており、とりわけ情緒的消耗と燃え尽きが顕著だった。研究が示したのは、精神的負担を減らすのは個人の対処法ではなく、支援的なリーダーシップとより健全な職場構造だということだ。したがって視点を「押し切ることこそレジリエンスだ」から「どうすれば皆を支える環境をつくれるのか」へと移さねばならない。そしてそれは常に、リーダーの机から始まる。


forbes.com 原文

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