サリス・トーマスはWiproのゼネラルマネジャー兼事業責任者として、Wiproの自動車分野(Wipro Automotive)におけるR&D事業を率いている。
立ち止まることを拒む世界において、リーダーや経営幹部は、経験や権威、過去の成功だけに頼って存在感と競争力を保つことはできない。現代のリーダーシップには、継続的に適応し、先を読み、変化の中でも力を発揮できるチームを築く能力が求められる。さらに、情緒的成熟、成長志向のマインドセット、そして組織の内外にいる人々と強くつながる力も必要だ。
この新たな現実の中で一貫して成果を出すには、リーダーが、スピード感を持って学び、適応し、周囲を鼓舞することを可能にする習慣を育み、戦略を取り入れなければならない。複数の業界と地域にまたがる私の経験を踏まえ、今日の世界で存在感を保ち、成功するための6つの本質的な方法を示したい。
1. 謙虚さを強みと捉える
謙虚さは、戦略的なリーダーシップの資質である。職場においてそれは、エゴに頼らずに導き、自分の限界を認識し、他者の貢献を尊重する力を指す。この特性を体現すれば、他者のアイデアのための余白をつくる、自分が誤っていたことを認める、新たな証拠が現れたときに方針転換に前向きでいる、といった方法を通じて、より強いチームを築ける。謙虚さは、学びやフィードバックの受容に積極的になるため、意思決定も向上させる。複雑なビジネス環境では、プライドに足を引っ張られずに、より速く意思決定するスキルを身につけられるため、謙虚であることが競争力の維持につながる。
2. 仕事の喜びを見いだす
仕事の毎日が容易で完璧というわけではない。しかし、目的意識を感じられると、自分が取り組むことに向けたエネルギーが高まる。リーダーが自身の役割を心から楽しんでいると、特に困難な局面で、楽観性、レジリエンス、一貫性をもたらす。この種の情熱はチーム内にも組織全体にも伝播し、変化の速い環境では真の競争優位となる。
仕事における喜びや目的意識を生む要素は多い。たとえば、新しく興味深い責任を担うことや、新たな専門領域を探求することなどである。動機が薄れたり、役割への没入感がなくなったりしているなら、次の機会に備える時期が来たサインかもしれない。役割の再定義でも、チームの異動でも、あるいは新しい組織への転職でも、思慮深い変化は再び火をともしてくれる。
3. 生涯学習者であり続ける
優れたリーダーは、学びを生涯にわたる鍛錬として捉え、知識、視点、行動を継続的にアップデートしている。また、成功であれ挫折であれ、あらゆる経験が価値ある情報をもたらし、各判断、関係性、結果を振り返る機会になることを理解している。テクノロジーの進展、業界のディスラプション、組織変革、新たな役割などは学びの引き金になり得る。しかし、生涯学習者であることに本気でコミットするなら、本を読む、メンターや同僚と関わる、業界の変化を観察する、市場環境の推移を追う、といった形で知識を探しにいくべきだ。チームや顧客からフィードバックを得ることも、古い前提を手放し、新しい思考法を取り入れる助けになる。
4. 好奇心を受け入れる
好奇心は、知識の鮮度が急速に失われる世界において、存在感を保つ燃料となる。このマインドセットは、成果、行動、顧客ニーズの背後にある「なぜ」への理解を深める。その結果、リーダーシップのアプローチは、単に結果を管理するものから、新たな機会を能動的に発見するものへと変化する。
好奇心を育むリーダーは、より深い問いを立て、多様な視点を求め、未知の領域を探究する。この問いの習慣によって、新たに生じる機会や脅威を見つけやすくなり、漸進的改善を超えたイノベーションを起こし、不意を突かれることを避けられる。取り入れ始めるための問いをいくつか挙げたい。
・現状において、私が手放すべき学び(アンラーン)とは何か。
・前四半期に、私を驚かせた顧客行動は何だったか。
・AIが継続的にもたらす影響に備えて、私はチームをどう準備させているか。
5. 信頼できるネットワークを築く
成功を独力で達成できることはまれである。業界や機能をまたいで意図的に関係性を築けば、より広い視野と、新たな変化へのより迅速な洞察を得られる。信頼する仲間との協働は、判断されることへの恐れなく、考え、アイデア、意見、フィードバックを率直に交換することを通じて、キャリアの成長を支える。効果的なネットワーキングとは、取引的な見返りを求めるのではなく、信頼、相互性、長期的価値に根差した関係に、意識的に投資することを意味する。これは、とりわけ混乱の時期に重要であり、こうしたつながりが、より速い学習、より強いパートナーシップ、より機動的な対応を可能にする。
6. 仕事に「楽しさ」を取り入れる
適切に取り組めば、楽しさを生むことは成果のドライバーになり得る。共に働くことを楽しめるチームは、コミュニケーションが円滑になり、より自由に協働し、より長くモチベーションを維持できる。リーダーとして、祝福やユーモアのある前向きな環境を育めば、心理的安全性を強化し、エンゲージメントを高め、燃え尽きを減らせる。
たとえば「Technology Day」のようなテーマ付きのミーティングを開催し、学習とイノベーションを促すこともできる。小さな祝福(マイクロ・セレブレーション)は達成者を認める助けとなり、士気を高め、良いカルチャーを促進する。仕事のゲーミフィケーションは、具体的で意味のある行動を定義し、ポイントやデジタルバッジを付与することで、どの機能でも実施できる。オフィス空間を、楽しさや創造性を引き出しやすいものにするというシンプルな取り組みでも、大きな効果がある。人材の定着が重要となる世界において、楽しい職場文化は「あればよいもの」ではなく、不可欠な要素である。
どのような状況でも持ちこたえるリーダーとは、時代を超える人間的資質に基づいて戦略を組み立てる人である。これらの戦略を一貫して実践すれば、学びが速く、適応が早く、より高い有効性で競争できる組織づくりに寄与できる。レジリエンスと現代的な思考を示すことで、いかなる経済環境においても存在感を保てるだろう。



