リーダーシップ

2026.02.22 22:14

ガバナンス軽視が招く代償:中小企業が知るべきコンプライアンス違反の隠れたリスク

stock.adobe.com

stock.adobe.com

ゲイリー・ガルスチャンはRockwell Capital Groupの創業者兼CEOであり、会計・税務サービスの専門家である。

advertisement

私の仕事の範囲で、コーポレートガバナンスを無視するつもりでいる事業オーナーに出会うことはほとんどない。実際に目にするのは、賢く意欲的な創業者たちが「それは後回しにできる」と信じている姿だ。

彼らの関心は顧客、キャッシュフロー、採用、そして生き残りに向いている。ガバナンスは抽象的に映り、上場企業やベンチャーキャピタルの支援を受けるスタートアップ、あるいは法務部門を抱える組織のものだと感じられる。中小企業にとっては、往々にして将来の課題と見なされがちである。

社内側から企業に助言してきた年月を経て私が学んだのは、ガバナンスは静かに破綻するということだ。そして誰かの注意を引く頃には、すでに高い代償を支払わされている。

advertisement

コンプライアンス違反は、危機になるまで危機の顔をしていない

多くの中小企業が、ある日突然、派手な規制当局の操業停止に直面するわけではない。むしろコンプライアンス違反は、微妙で、積み重なっていく形で現れる。

例えば、形式上は「回っている」ものの、精査に耐えない財務記録である。例えば、重大な意思決定が非公式に行われ、文書化も承認もないことである。例えば、オーナー、経営陣、そして事業そのものの境界が曖昧になっていることである。

売上が伸びているとき、こうした問題は見過ごしやすい。しかし私は、それが最悪のタイミングで表面化するのを見てきた。監査の最中、資金調達の話し合い、パートナー間の紛争、あるいは売却の可能性が出た局面である。

私が関わったある創業者は、10年近くかけて収益性の高い会社を築いた。ようやく買収の機会が訪れたとき、取引は頓挫した。事業が強くなかったからではなく、ガバナンスの基礎が弱かったからだ。重要な契約は古いまま。持分の記録は不明確。取締役会による監督も、よく言って非公式という程度だった。

買い手が手を引いたのは、罰金や違反が理由ではない。不確実性はリスクを生み、リスクは価格、スケジュール、そして信頼を変えてしまうからだ。

ガバナンスとは、書類仕事ではなく「選択肢」を確保することである

中小企業のリーダーは、ガバナンスをコンプライアンスコストや事務負担と結び付けがちだ。だが実際には、良いガバナンスは選択肢を広げる。

ガバナンスが健全であれば、企業は遅くなるどころか、より速く動ける。資金調達の話は容易になる。戦略的パートナーシップは円滑になる。リーダー交代の混乱は小さくなる。創業者が常に関与しなくても存続できる、引き継ぎ可能な事業になる。

ガバナンスがなければ、成長は脆くなる。あらゆる重要な意思決定が少数の個人に依存する。あらゆる移行が脆弱性を生む。外部との対話のたびに、説明と後始末が必要になる。

私は創業者によくこう伝える。ガバナンスとは事業を支配することではない。事業に自分が支配されないようにすることだ。

規制当局は、リスク方程式の一部にすぎない

規制の執行だけに目を向けると、より大きな全体像を見誤る。多くのステークホルダーは、規制当局よりもはるか前にガバナンスを評価している。

銀行は融資の前に内部統制を評価する。保険会社はリスクの価格設定にあたりコンプライアンス体制を精査する。大口顧客、とりわけエンタープライズ顧客は、オペレーションの成熟度を示すサインを探す。投資家や買収者は、ガバナンスの質をリーダーシップの規律の代理指標として扱う。

私は、利益が出ていないからではなく、内部の構造が疑問を生んだために資本へのアクセスを失った企業を見てきた。基本的なガバナンスの明確化を待つ相手方によって、契約が遅れたケースも見てきた。

こうした場合のコンプライアンス違反のコストとは、勢いを失うことだ。

創業者主導の企業は、とりわけ脆弱である

創業者主導の企業は、ガバナンスに特有の課題を抱える。スピードと直感が初期の成功を駆動するが、その同じ特性が、構造とのバランスが取れなければ安定性を損ない得る。

すべてが1人を通ると、意思決定は不透明になる。役割が明確でなければ、説明責任は弱まる。監督が非公式であれば、盲点が増える。

私が関わる最も有能な創業者は、やがてこの変化を認識する。ガバナンスは持続可能性のための安全装置であると理解するのだ。それによって、企業は鋭さを失わずに成熟できる。

実務上、これは官僚主義をつくるという意味ではない。意思決定を文書化し、権限を明確にし、受託者責任を尊重し、精査に耐えうるプロセスを構築するということだ。

本当のコストは、ストレス下で姿を現す

ガバナンスの破綻は、条件が完璧なときにはほとんど問題にならない。問題になるのは、何かがうまくいかないときだ。

私は、圧力下で問題を修正するために巨額を費やす企業を見てきた。記録の再構築、契約の再交渉、適切に文書化されなかった意思決定の弁明である。競争やイノベーションではなく、回避できたはずの内部の後始末に、リーダーシップチームが何カ月も気を取られる例も見てきた。

精神的な負担も同様に現実だ。創業者は、自分が無防備になり、受け身になり、苛立ちを抱える。そして多くの場合、こうした問題は回避できたと気づくのが遅すぎる。

中小企業のリーダーはいま、これに取り組むべきである

理論ではなく実務経験に基づけば、最も大きな違いを生む行動は3つある。

1. 必要になる前にガバナンスを整える。 取引、監査、紛争が変化を強制するまで待つのは、最も高くつく道である。

2. 支配と明確性を切り分ける。 意思決定権限を保持しながらも、透明性と説明責任をつくることは可能だ。

3. 経験ある監督を迎え入れる。 アドバイザー、独立取締役、あるいは経験豊かな財務パートナーといった外部の視点は、小さな問題が構造的リスクへと変わるのを防ぐ。

ガバナンスは、リーダーシップの意思決定である

最終的に、コーポレートガバナンスは、リーダーが自社の将来をどれほど真剣に捉えているかを映し出す。

コンプライアンス違反は技術的な失敗であると同時に、市場、パートナー、ステークホルダーが素早く読み取るシグナルでもある。許容できる誤差が小さい中小企業は、その影響をより早く、より強く受ける。

ガバナンスが適切に機能していれば、それは背景へと退く。無視されれば、結果を規定する存在になる。そしてそれこそが、あまりにも多くの企業が手遅れになってから思い知る「見えないコスト」なのである。

ここで提供する情報は、投資、税務、または財務に関する助言ではない。自身の具体的な状況に関する助言については、資格を有する専門家に相談すべきである。

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事