リーダーシップ

2026.02.22 21:41

元Navy SEAL隊員が実践する、部門横断チームへの感情知能(EQ)研修の展開法

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まったく異なるチームを率いる数百人のリーダーに対し、質の高いリーダーシップ研修をどのように展開すればよいのか。

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人材開発リーダーへの数十件のインタビューを通じて、この問いは常に最も一般的な課題の上位に挙がっている。

家族経営の飲料卸売会社Hayden Beverage Companyは、この課題を独自の方法で解決した。同社は約625人の従業員を擁し、営業、倉庫業務、配送、経営管理など、要求が厳しくスピードの速い職務に従事している。これらすべての部門にわたって、定着率とエンゲージメントを高める一体感のある企業文化を構築することは、決して容易ではない。

この取り組みを主導しているのが、リーダーシップ開発ディレクターのアンソニー・ベイカーである。26年間勤務した元海軍特殊部隊(Navy SEALs)隊員で、自身のリーダーシップコンサルティング会社の創業者でもあるベイカーは、2020年にHayden Beverageに参画し、リーダーシップ開発の仕組みをゼロから構築した。彼は「このポジションは飲料卸売業界では珍しく、学習する組織として人材に継続的に投資するHaydenの姿勢の表れです」と語った。過去5年以上にわたり、彼は140人以上のリーダーを、緊密に連携する部門横断型のコホートを通じて研修し、個別にコーチングしてきた。会社全体にわたるリーダーのチームを構築してきたのである。

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彼がどのようにそれを実現したのか、そしてその過程で何を学んだのかを紹介する。

実務での応用を前提に設計されたリーダーシッププログラム

ベイカーはこれまでに16回のリーダーシッププログラムを実施し、新任リーダーからディレクターまで、組織全体で140人以上のリーダーを育成してきた。各チームは意図的に少人数(通常8人)に抑えられ、意図的に部門横断型で構成されている。

「営業、配送、倉庫、オフィスのリーダーを全員同じ部屋に集めます」とベイカーは説明した。「部門間には自然な摩擦やコミュニケーションのギャップが生じることがあります。彼らを一堂に集めることで、相互理解を深め、新たな関係を構築できるのです」

プログラムの構成は一貫しているが、要求水準は高い。週1回、3時間のセッションを8週間にわたって行い、各セッションの間に実務での応用を求める。ベイカーはまず企業の価値観とリーダーシップの原則から始め、その後、毎週新しいリーダーシップのテーマを導入する。コミュニケーション、意思決定、パフォーマンス管理、対立管理、そして感情知能(EQ)である。参加者はセッション中にチーム演習やロールプレイに取り組み、次のセッションで振り返りを行う前に、学んだことを自分のチームで実践する。

「これは机上の学びではありません」とベイカーは言う。「リーダーたちはワークショップを受け、実際に試してみて、戻ってきて何がうまくいき、何がうまくいかなかったかを話し合います」。このワークショップ→実践→ワークショップというサイクルが、プログラムを実務に根ざしたものにしている。

ジョブシャドーイングで共感を育む

このリーダーシップ開発プログラムで最も実践的な要素の一つが、セッション間に行われるジョブシャドーイングである。コホートのリーダー全員が、自分の職務とはかけ離れた役割で時間を過ごす。倉庫マネージャーは営業担当者に同行し、オフィススタッフは配送チームと一緒に働く。

「この同行体験では必ず『なるほど』の瞬間があります」とベイカーは言う。「それぞれの仕事がいかに大変か、そして意思決定が会社全体にどう波及するかを実感するのです。そしてこれが、その後の関わり方を根本的に変えます」

例えば、営業チームは、締め切り間際や直前の注文が倉庫チームや配送チームにどのような波及効果をもたらすかを理解するようになる。「会社がどのように機能しているか、そして自分がより大きな組織の中でどのような役割を果たしているかを学び始めるのです」と彼は説明した。このつながりの認識が、実体験に基づく共感を生み出し、Haydenでの仕事の進め方を根本から変える可能性を持っている。

優れたEQワークショップの7つの要素

16回のコホートを通じて、ベイカーはアプローチを磨き上げてきた。彼が不可欠だと考える7つの要素を紹介する。

  • 具体的な経験に踏み込む:なぜEQを重視すべきかを説得しようとするのではなく、ベイカーはシンプルなエクササイズを用いる。参加者はペアになり、職場で冷静さを失った瞬間と、そこから学んだことを共有する。ベイカー自身も自らの失敗を語り、軍でのリーダーシップ経験や、これまでのプログラムで会社について学んだことと関連づけることが多い。
  • EQ自己評価を活用する:これにより、各リーダーは感情知能について、強みと改善点を表す具体的な行動レベルまで掘り下げて理解を深めることができる。例えば、評価によって、感情が高ぶると意思決定のコントロールを失いがちであることが明らかになるかもしれない。
  • EQがより良い意思決定に役立つことを強調する:ベイカーがプログラムでよく使うフレーズの一つが「感情より事実」である。「感情は大切です」とベイカーは言う。「しかし、感情に意思決定を支配させてはいけません」。自分の感情を認識し理解することで、感情が意思決定を狂わせないようにする方法を深く掘り下げる。
  • 「感情の伝染」という概念を導入する:研究によると、リーダーの気分はウイルスのように作用し、チームメンバーはリーダーの感情を察知する。ベイカーはこの概念を「リーダーが天気を持ち込む」というフレーズで紹介する。「イライラしながら来れば、チームはすぐにそれを感じ取ります」とベイカーは言う。「冷静であれば、それも広がります」
  • トリガーログをつける:トリガーログでは、感情的な反応を引き起こす状況をそれぞれ記録する。「気づきがすべてです」とベイカーは言う。「自分のパターンを追跡し、紙の上で見ることで、それを変え始めることができます」
  • 弱さを見せる:「ワークショップを通じて、私がうまく対処できなかった時のことを話します。軍隊での話、仕事の話、家族の話もあります」とベイカーは言う。「クラスのリーダーたちに心を開いてもらいたいなら、まず私から始めなければなりません」。さらに「CEOを筆頭に、私たちは弱さと謙虚さの重要性を大切にしています」と続けた。
  • 家庭での例と結びつける:状況対応型リーダーシップをはじめとする多くのリーダーシップモデルは、職場環境でしか使えない。しかしEQは、どこでも使えるスキルセットである。ベイカーは仕事以外の生活につながる例や振り返りを必ず取り入れる。これによりEQの価値を示すとともに、人々が家に帰ってEQを見て実践することで、学びが定着しやすくなる。

これらすべての要素に共通するテーマとは何か。感情知能は、対立やプレッシャー、意思決定、そしてチーム間に広がる感情の波及といった「現実の瞬間」に根ざしてこそ定着するということである。

リーダーシップの教訓

部門横断的な協働の改善を目指すL&Dリーダーにとって、ベイカーのアプローチは一つの青写真を提供する。小規模で部門横断型のコホートを構築すること。セッション間の実務での応用を重視すること。そして感情知能を活用して、リーダーが自分の行動が自部門以外の人々にどのような影響を与えるかを理解できるようにすることである。

ケビン・クルーズは、感情知能研修会社LEADxの創業者兼CEOである。ニューヨーク・タイムズのベストセラー作家でもあり、最新刊は『Emotional Intelligence: 52 Strategies to Build Strong Relationships, Increase Resilience, and Achieve Your Goals』(感情知能:強い人間関係を築き、レジリエンスを高め、目標を達成するための52の戦略)である。

forbes.com 原文

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