10年前、NYUは、学力の高い志願者にとって「滑り止め」として都合のいい大学だと広く見なされていた。コロンビア大学のような超難関校と並べつつ、比較的質の高いバックアップとして出願リストに加えられることが多かった。
それがいまや、最も競争の激しい大学群の一角に確固として位置づけられている。
2013年、NYUの合格率は30%強だった。2025年までに、カレッジ・オブ・アーツ・アンド・サイエンス、ロリー・マイヤーズ看護学部、NYUスターン・スクール・オブ・ビジネスなど、最も人気の高い学部のいくつかは、志願者の5%未満しか合格させなくなった。NYU全体の合格率も、およそ7.7%まで低下した。
参考までに、ハーバード大学の合格率は2013年に5.8%だった。端的に言えば、現在のNYUスターンは、10年余り前のハーバードよりも選抜が厳しく、競争はなお激化している。
では、NYUが「入りやすい強豪校」から、超選抜的なグローバルブランドへと変貌した背景には何があるのか。
グローバルブランドの浸透──マンハッタンのキャンパスにとどまらない
NYUは、エリート大学のなかでも最も攻めた国際的ブランド拡張を実行してきた。
多くの大学が地域に根差したままである一方、NYUは上海とアブダビにキャンパスを構え、世界各地の主要な学術・ビジネス・文化の中心にその名を浸透させる「グローバル大学」として意図的に立ち位置を築いた。NYUは、従来の国内の大学市場をはるかに超えて、認知、威信、そして憧れを獲得している。
この国際的プレゼンスは需要を劇的に押し上げた。アジア、欧州、中東の家庭にとって、NYUはもはや単なる優れたニューヨークの大学ではない。国際的な認知を備えた、最上位クラスの大学として捉えられている。世界的な可視性の向上が、出願者数、選抜の厳しさ、ブランドの威信に直結している。
こうしたサテライトキャンパスは、現地での成果も際立つ。NYUアブダビは、アラブ首長国連邦政府の支援を受け、2010年に設立されたキャンパスとしては異例となる22人のローズ奨学生を輩出している。
経済の中枢へのダイレクトアクセス
高等教育において立地は常に重要だったが、投資対効果(ROI)を重視する入試環境が定着した現在、その重要性はかつてないほど高い。
NYUは、世界金融、テクノロジー、コンサルティング、メディア、起業の中心地に位置し、学生は日常的に、世界で最も魅力的なインターンシップ、プロフェッショナルネットワーク、卒業後の機会へと近接できる。
対照的に、多くの名門大学は、つながりの薄い環境に立地している。例えば、ジョンズ・ホプキンス大学があるメリーランド州ボルチモアは、犯罪や都市の衰退と結びつけられてきた。また、イェール大学があるコネチカット州ニューヘイブンは、国内でも特に経済的困窮が深い地域の1つだ。学術面で卓越している一方で、その地理的環境は即時の職業的パイプラインが限られる。
家庭が学術的威信と並べてキャリアの成果を重視する傾向が強まるなか、NYUの高報酬の仕事への近さは大きな競争優位となった。とりわけ、安全性、インフラ、国際的な接続性を評価する海外の家庭にとって、その価値は大きい。
NYUスターンの「ハロー効果」
名門大学が頂点へと上り詰める際、魅力の高い特定領域を席巻することが多い。NYUにとっての強みは、ビジネスと金融である。
学費が上昇するにつれ、家庭は成果志向を一段と強めてきた。金融ほど予測可能なリターンを提供するキャリアは多くない。ゴールドマン・サックスの投資銀行アナリストの定型的な採用パイプラインから、プライベートエクイティやヘッジファンドへ直結しうる、ブラックストーンのような企業での長期的な複利的キャリアまで、金融はエリート級の成果へ至る道筋が異例なほど明確だ。
NYUスターンは、世界でも最も強力な学部ビジネスの「登竜門」の1つとして台頭し、主にペンシルベニア大学ウォートン校と競い合っている。全国的に見ても学部の名門ビジネスプログラムは多くないため、スターンはハイファイナンスを志向する学生の巨大な需要を吸収してきた。
その成功は大学全体を押し上げた。スターンの評価が急伸するにつれ、NYUの志願者層は学力面でも強化され、あらゆるスクールで選抜性が高まった。
事実上、スターンはNYUのブランド加速装置になった。ペンシルベニア大学におけるウォートンと同様である。
NYUはいま、このスターンの成功モデルをSTEMでも再現しようとしている。クーラント研究所 数学・コンピューティング・データサイエンス校の設立により、AI、データサイエンス、定量分野における第2の威信エンジンを構築し、MIT、カリフォルニア工科大学、スタンフォード大学といった世界最高峰のSTEM機関に対して積極的に競争を挑んでいる。
NYUに合格するための助言
NYUは超難関クラブへの参入が新しく見えるかもしれないが、入試戦略はいまや最競争的な大学と同型になっている。
NYUが明確な第一志望ならEarly Decisionで出願することだ。
NYUはイールド(合格者のうち入学する割合)を重く見る。Early Decisionは全面的なコミットメントを示し、合格可能性を大きく高める。入学者の相当部分は、Regular Decisionが始まる前に、2回のEarly Decision(EDIとEDII)を通じてすでに確保されている。本稿執筆時点で、私たちの受講生はEDIで2030年入学のNYU合格を55件得ており、EDIIの結果を心待ちにしている。
学内転部のルートを戦略的に考えることだ。
NYUスターンのようなプログラムは、アイビーリーグの多くの学校より選抜が厳しい。しかしNYUは入学後の学内転部を認めている。負荷の高い科目、とりわけ微積分、経済学、統計学で高い成績を収めれば、高校卒業直後の出願でははるかに難しかった扉が開く可能性がある。競争は依然として厳しいが、カレッジ・オブ・アーツ・アンド・サイエンスなど他学部からの高度な志願者が検討する、正当な戦略である。
NYUに足を運び、情熱を感じさせることだ。
NYUは、キャンパス訪問、オンラインセッション、問い合わせ、プログラム参加などの「示された関心(demonstrated interest)」を積極的に追跡しており、いずれも本気度のシグナルとなる。志願者が過密な環境では、NYUが最優先だと明確に示せる学生が実質的な優位を得る。なぜNYUで学びたいのか(単に「ゴシップガール」ではなく)という、真に説得力のある理由を持つことが重要だ。
結論
NYUの躍進は、この10年にわたる巧みで戦略的なリーダーシップの結果であり、意図的なブランド構築、世界的需要、戦略的ポジショニング、そして強力なキャリア成果が組み合わさって生まれた。
かつて信頼できる滑り止めだった大学は、いまや最も競争の激しい大学の1つとなり、ハーバード大学やプリンストン大学のような長年の名門と同等の入試強度で運営されている。
いまNYUを目指す家庭は、かつてアイビーリーグに向けてのみ求められたのと同じ真剣さ、戦略性、長期的計画をもって臨むべきである。



