AI

2026.02.22 10:52

AIエージェントが買い物を代行する時代──エージェンティック・コマースに抵抗できるか

AdobeStock

AdobeStock

AIエージェントのChatGPTとGeminiは、Eコマースへと向かう動きを示す一連の発表を行っている。

advertisement

エージェンティック・コマースは多くのブランドや小売企業の議題に上がっている一方で、普及のスピードは依然として不透明だ。すでに明らかなのは、購買意思決定の在り方を再定義しうる可能性である。AIエージェントが買い物客を支援する段階から、買い物客の代わりに行動する段階へ──発見、トラフィック、コンバージョンを掌握する存在へと移行するにつれ、力はブランドからAI主導の仲介者へと移り始める。eBayやAmazon(アマゾン)のような巨人が反発するなか、ある問いが浮かび上がる。エージェンティック・コマースに抵抗することは、受け入れることよりも失うものが大きいのだろうか。

AIチャットからエージェンティック・コマースへ

Google(グーグル)やWalmart(ウォルマート)といった業界リーダーは、インターフェース内や加盟店向けにエージェンティック・コマースを統合する動きを明確に加速させているが、現実には多くの小売企業がまだ検討・探索の段階にある。AI搭載のグローバルコマースソリューションプラットフォームSwapのCMO(最高マーケティング責任者)であるフアン・ペジェラノ=レンドンはこう説明する。「典型的な普及曲線を見れば、明らかにまだ初期段階だ。ただし今年は転換点になると思う。とりわけ年後半に、これらのツールがより利用しやすくなり、時代の空気や消費者行動のなかにより深く埋め込まれていくときだ」

同社は最近、シリーズCラウンドで1億ドル(約150億円)の資金調達を発表したばかりだ。ペジェラノ=レンドンは、エージェンティック・コマースが実験段階から日常的な利用へと急速に進化すると見ている。消費者が大規模言語モデル(LLM)に慣れていくにつれ、エージェンティック・コマースも自然に広がる。とりわけ、コマースのユースケースに特化して設計されていることを踏まえればなおさらだ。

advertisement
「いま見えているのはツールの急増であり、どれが抜きん出るのか、あるいは本当に定着するのかには大きな不確実性がある。分かりやすく言えば、Googleは1日に何十億件もの検索クエリを処理している一方、ChatGPTは直近の第4四半期データで、買い物関連のクエリが1日あたり約5000万件だと報告している。相対的に見ればまだ小さいが、成長は速い」


小売企業は、Eコマース戦略の一環としてAIを理解し、採用したいという切迫感を持っている。8000人の消費者と400人の小売業幹部を対象にしたMetapack主導の調査によれば、「競争優位性を維持するためにAIと新興技術を採用すること」が、2026年に事業パフォーマンスへ影響しうる要因として小売企業が挙げた第1位だった。これは、消費者が日常生活のなかでエージェントに慣れ、依存度を高めていくなかで、AIがもたらす機会と複雑さの両方を浮き彫りにしている。今後数年で、会話型AIはより自律的な小売エージェントへと進化し、買い物客に助言するだけでなく、補充、配送、決済といった自動化タスクを買い物客の代わりに実行すると見込まれている。

支配:エージェンティック・コマース導入がもたらす最大の脅威

あらゆる破壊的技術と同様、エージェンティック・コマースが導入企業にどのような影響を与えるかには不確実性が残る。しかし、いくつかのリスクはすでに明白だ。「明らかなのは、取引に至るまでの時点では、LLMがデータを握っているということだ。チェックアウトが発生するまで、事業者は消費者がどうやってそこに到達したのか、なぜ自社ブランドが表示されたのか、どんな意図が購買につながったのかを把握できない」とペジェラノ=レンドンは語る。

購買までの導線に関する可視性の喪失は、ブランドにとってとりわけ深刻である。注文がChatGPTやGemini、あるいは他のLLMによるものとして帰属されることはあっても、事業者は取引以前に何が起きていたのかについて、ほとんど分からない。

多くの点で、エージェンティック・コマースは「新しいGoogle検索」になりつつある──ただし透明性ははるかに低い。ここで重大になるのが、顧客データの所有権をめぐる問題だ。小売企業がこれほど価値の高い洞察を手放す覚悟があるかどうかは、まだ分からない。すでに自社の立場を明確にするための断固たる措置を講じている企業もある。2月20日、eBayは同意なしにAIエージェントが同社サイトとやり取りすることをブロックし始める。

Amazonも同様の立場を取り、AIエージェントによる同社サイトのスクレイピングを認めないと発表した。こうしたツールはAmazonの購買プラットフォームを迂回し、同社が最も重視する資産──顧客データ、ロイヤルティ、広告収益──を脅かす。2月5日のAmazonの第4四半期決算説明会で、CEOのアンディ・ジャシーは、AIエージェントが買い物の目的地として位置づけられることで、深刻な競争相手になりつつあると認めた。また、次のようにも述べた。「こうした水平型のエージェントには、あなたの購買履歴が何もない。商品詳細をかなりの割合で間違える。価格もかなりの割合で間違える」。Amazonは市場支配力ゆえにAIエージェントをブロックできるかもしれないが、より小規模な小売企業にその余裕はない可能性が高い。

現実には、Eコマース体験にエージェンティック・コマースが組み込まれていない未来は、いまや考えにくい。「AIはいずれ目に見えないものになり、すべてにAIが搭載されるようになる。エージェントも同じ道をたどると思う。いずれ、エージェントをブロックすることは資産ではなく負債になる」とペジェラノ=レンドンは見ている。

この進化を受け入れる側と、それに抵抗する側の間で、明確な分断が生まれつつある。SwapのCMOは前者に属する。「勝つのは、最も制限の少ないプレイヤーだ」と彼は言う。「企業が望むと望まざるとにかかわらず、エージェントはやって来る。短期的には障壁を設けることが防御に見えるかもしれないが、将来の機会を狭めてしまう」。ブランド想起がAIアルゴリズムの影響をますます受けるなか、AIでの可視性を最適化することに焦点を当てた新たな領域が立ち上がりつつある。抵抗する小売企業は一定のコントロールを保てるかもしれない──しかし、その代償はどれほど大きいのか。

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事