2. 認知スタイル:体内時計の処理システム
最大限の生産性を得ようとするとき、「いつ作業するか」だけでなく「何をするか」も同じくらい重要だという点を忘れてはならない。
専門誌『NeuroImage』に2020年に掲載された研究が示すように、認知心理学では思考を大きく2種類に分類する。
・収束的思考:論理分析や校正、問題解決などに使われる思考で、1つの正解に絞り込むときに役立つ
・発散的思考:複数の可能性や新たな連想を生み出すのに必要な推論のようなものを含み、ブレインストーミングや芸術的活動、イノベーションに不可欠だ
直感に反するように思えるかもしれないが、創造性は「調子がピークを過ぎた時間帯」で高まることもある、ということはあまり知られていない。注意力がやや低下しているときは抑制の制御が弱まり、結果としてかけ離れたことを連想することができる。一方、長時間集中し続ける必要がある分析系のタスクは覚醒度が高いピーク時に行う方がうまくいく傾向にある。
この意味で、最も生産的な時間帯は日々のタスクが求める思考の種類によっても変わる。夜型の人は夜遅くに最も独創的なアイデアを生み出せるかもしれないが、細部に注意する編集作業は体内時計的に早い時間に行う方がいい成果につながるかもしれない。ここに認知スタイルの理解が加わるとさらに成果が上がる。
例えば、体系的な問題解決や精密さに自然とひかれる人もいれば、自由な探索や発想を好む人もいる。どちらが優れている、ということはない。ただ、それぞれが異なる精神状態を求めているだけだ。タスクの種類が認知スタイルや生体リズムと合っていないと、作業はストレスを生むものになる。
3. 環境の好み:体内時計の構造システム
生産性において見落とされがちな3つ目の要素は「どこで、誰と働くか」だ。人と環境の適合に関する長年にわたる研究で、人は構造と自律性に関する心理的ニーズと環境が一致しているときに最も良い成果を出すことがわかっている。
例えば、協働的な空間や外部への説明責任、段階的な締め切りがある環境でやる気が湧き起こる人もいる。逆に、極めて社交的な環境では認知的にキャパシティーオーバーになり、自分1人でこなす静かな環境でこそ最高の成果を出す人もいる。これは内向型か外向型かの違いと考える人もいるかもしれないが、現実には目の前のタスクにベストな状態で取り組むためにどういう構造が必要かということを反映している。
社交的で明確な構造を好む人は会議やチームワーク、外部からフィードバックを受ける一連のプロセスで勢いを得るかもしれない。対照的に、自律志向の人は深い集中状態に入るために邪魔の入らない時間と自分のペースを必要とする可能性が高い。
環境が自分に合わない場合、たとえばかなり自律的に考える人が細かいところまで管理されたり、社会的な目的意識が強い人があまりに孤立すると、概日リズムや認知スタイルが最適でもパフォーマンスが落ちることがある。
生産性のこの最後の要素を理解すると意図的に設計することが可能になる。職場を完全にコントロールすることは難しくても、些細な部分なら調整できる。社会的エネルギーが高い時間帯に協働タスクを入れたり、認知負荷が高い作業では1人の時間を確保したり、構造化された仕事を一定の時間帯にまとめたりできる。


