欧州

2026.02.22 10:00

トゲに覆われた「ヤマアラシ戦車」、ウクライナとロシアが仕留め方を編み出す

ヤマアラシ風の追加装甲をまとったロシア国家親衛隊第116旅団の戦車。T-72戦車を改造したものとみられている。通信アプリ「テレグラム」への投稿から

ヤマアラシ装甲に対して、両軍はいずれも、異なる種類のドローンの連携を強化することで適応している。現在よく用いられている戦術は、最初のFPVドローン攻撃でヤマアラシ構造を損傷させるか不安定化させるか、あるいは部分的に除去し、続いて、より重い弾薬を搭載したドローンでさらに攻撃するというものである。こうした段階的攻撃はヤマアラシ仕様の限界、つまり、単発の軽攻撃に最も有効で、重層的あるいは繰り返しの攻撃には弱いという点を突くことで、撃破成功率を高めている。

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注目すべき動向のひとつは、ドローンに装着する弾薬として爆発成形侵徹体(EFP)の使用が増えていることである。EFPは成形炸薬を用いて高速度の金属弾を形成し、かなりのスタンドオフ距離があっても装甲を貫通できる。従来の成形炸薬と異なり、EFPは弾着角度にあまり影響されず、目標からやや離れた位置で起爆しても破壊力を発揮する。

ソーシャルメディアに投稿された動画によれば、ロシア側は光ファイバー式ドローンに装着可能なEFPを開発したとみられる。この弾薬により、ドローンは突起物に接触した時点で爆発しても、その下の車両装甲に打撃を与えることが可能な侵徹体をつくり出せる。

ヤマアラシ戦車の脆弱性を突く

ヤマアラシ戦車は亀戦車よりも大幅に軽量な代替策として考案され、ドローンに対する防護を図りつつ装甲車両としての機動性が損なわれないようにする工夫だった。しかし、車両全体を覆うタイプの追加装甲に比べれば軽量だとはいえ、ヤマアラシ型もまたかなりの重量増を伴う。

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こうした追加重量は速度や機動性を低下させるだけでなく、動力伝達系の部品に設計限界を超える負荷をかけるため、整備面の問題も引き起こす。ロシア軍のある戦車乗員は、ヤマアラシ装甲を追加した戦車について、過剰重量が原因で駆動系が故障し、10kmも走行できなかったケースもあると報告している。

重量増や、かさばる形状は、ドローンだけに頼らない手段でも突くことのできる新たな脆弱性を生み出す。たとえば、ヤマアラシ風装備で重量がかさんだ戦車は、架橋作戦でも困難が増し、浮橋などで渡河する際の成功率も下がると予想される。重量が重くなると対戦車壕からの脱出能力も低下すると考えられ、こうした従来型障害物の有効性が高まることになる。さらに、不整地の走破性も損なわれるおそれがあり、とりわけ、もともと接地圧が制約要因になる軟弱な地盤ではそのおそれが強い。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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