リーダーシップ

2026.02.21 18:11

リーダーたちへ:AIはあなた(そしてあなたの会社)を「いまの自分以上の自分」にする

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私たちは、ほんの数年前とはまったく異なる世界に生きている。ビジネスは顧客を惹きつけ、つなぎ止める方法を急速に再発明している。AIがこの変革を加速させているが、スピードが上がった以上の意味では、本質は変わらない。私たちはこれまでも、顧客の最新の期待や要求に追いつくために変わり続ける必要があった。

近著Beyond Distinction: How Leaders Transcend the Turbulence of an AI-Transformed Worldを刊行したスコット・マッケイン氏は、いまの時代におけるリーダーシップとAIに関して、この1冊を最重要級の書に位置づけるだけの示唆を共有している。私は新著について語り合うため、Amazing Business Radioでマッケイン氏にインタビューした。以下は、その対話のハイライトである。

変化か、乱気流か

マッケイン氏は、「変化」と「乱気流」の違いを説明する。たとえば、何度も下ったことのある川をラフティングで進んでいると想像してほしい。途中で急流に遭遇することは分かっている。その急流が「変化」であり、経験に基づいて切り抜け方を学んできたはずだ。いっぽう「乱気流」とは、飛行中に空は晴れているのに、突然飛行機が大きく揺れ、どこから来たのかも分からない。それでも、なんとか乗り切ることはできる、という状態に近い。

マッケイン氏はロレックスを例に挙げる。ロレックスは、パテック フィリップやオーデマ ピゲ(AP)といったブランドが主要な競合だと考えていた。だが、Apple Watchが競合と見なされるとは想像していなかった。しかし現実には競合になっている。いまや多くのロレックス所有者がApple Watchを身に着けているのが見受けられる。この変化は緩やかなシフトではない。まさに乱気流だ。

乱気流を乗り越えるには、特別な思考法が求められる。マッケイン氏はこれまで、クライアントに対し「自社が何者であるか」を明確にすること、そして同じくらい重要なこととして「何者ではないか」も明確にすることを常に助言してきた。さらにいまは、「どこへ向かうのか」も明確でなければならない、と付け加える。彼は問いかける。「私たちは何になり得るのか。どこへ行けるのか。未来をどう見るのか」。そして、会社の価値観は変えられないのだと、クライアント(そして読者)に念押しする。どんな乱気流に遭遇しようとも、それが未来のビジョンを導く羅針盤となるからである。

プロアクティブなCX

従来の「プロアクティブ」な顧客サービス、あるいはCXとは、顧客がこちらに連絡してくる前に、問題について顧客へ先に働きかけることを意味する。さらに望ましいのは、顧客が問題の存在を知る前に修正してしまうことだ。マッケイン氏が語るプロアクティブなCXは、顧客自身が気づく前に、ニーズや期待を予測することにある。たとえばAppleのスティーブ・ジョブズは「見せてあげるまで、人は自分が何を欲しているのか分からない」と言った。彼の仕事は、顧客に直接尋ねることなく、顧客が自分で気づく前にそれを見抜くことだった。マッケイン氏はまた、ヘンリー・フォードの有名な言葉にも触れた。「顧客に何が欲しいかと尋ねたら、もっと速い馬が欲しいと言っただろう」。

受け身の戦略は敗北への道

プロアクティブの反対は、リアクティブ(受け身)である。プロアクティブとは、ジョブズやフォードが理解していたように、顧客が気づく前に欲しいものを予測し、提供することだ。リアクティブとは、市場や競合がすでにやっていることに基づいて意思決定することである。相手がすでにやっているなら、こちらはすでに遅れている。典型的な反応は追いつこうとすることであり、実際にそうしている企業やブランドもあるように見える。彼らがリーダーになることはない。ただ追随し、遅れないようにするだけだ。長期的には、それは敗北への道である。マッケイン氏は、耳の痛い真実を指摘する。「常に受け身モードにいるということは、すでに負けている、すでに後れを取っているということだ」。

AIは「いまの自分以上の自分」を作る

インタビューの締めくくりに、マッケイン氏はAIの使い方を考える上で、新著の中でも最重要の示唆の1つを共有した。彼はこう言った。「AIは、あなたを"いまのあなた以上のあなた"にする」。彼は、モチベーションの大家として知られる故ジム・ローン氏の、金銭に関する例えを引いた。「お金は、いまの自分以上の自分にするだけだ」。つまり、慈善的な人なら、お金はさらに慈善的に振る舞うことを可能にする。邪悪な人なら、お金はさらに卑劣になる手助けにもなり得る。では、これがAIにどう当てはまるのか。

顧客に献身する企業であれば、AIはより良い顧客体験の創出を助ける。いっぽう、マッケイン氏の言葉を借りれば「顧客ロイヤルティを気にせず、業務から1セントたりとも無駄にしないほど徹底的に効率化すること」にコミットするなら、AIはそれも可能にする。

彼の指摘は的を射ている。リーダーである私たちは、AIをどのように使うのかを自ら選ばなければならない。

結びに

マッケイン氏が語る乱気流は、これから来るものではない。すでにここにある。Beyond Distinctionで彼が描くように、問いは「AIがビジネスを変革するかどうか」ではない。変革は起こり得る。真の問いは、組織のビジョンと価値観に駆動される選択である。AIを活用して顧客との関係を深め、ニーズを先回りして捉えるのか。それとも、ロイヤルティを犠牲にしてコスト削減に使うのか。

AIが生み出す乱気流は、機会であると認識すべきだ。正しいマインドセットと、顧客中心の価値観へのコミットメントがあれば、AIは顧客に「また来よう」と言わせる体験の創出を後押しできる。

forbes.com 原文

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