従業員リソースグループ(ERG)は何十年も前から存在してきたが、いまやダイバーシティ&インクルージョンの取り組みにおける次なるイノベーションの波になりつつある。最近、ERGリーダーシップ・アライアンスのCEOであるアリッサ・ドヴァーにインタビューし、ERGが1960年代の社交サークルから洗練されたビジネスエンジンへと進化してきた過程を議論した。ドヴァーが改めて思い出させてくれるのは、あらゆるERGの中核には職場における根源的な人間の欲求、すなわち「帰属意識」があるということだ。
「帰属意識が重要である理由には、1940年代のマズローの欲求階層説にさかのぼる脳科学的な根拠があり、それがビジネスパフォーマンスにも影響を与えるのです」とドヴァーは説明する。従業員が帰属意識を感じれば、パフォーマンスは向上する。ドヴァーは、先進的な組織がガバナンス、データ、インターセクショナリティを通じて帰属意識を体系化している実態を語った。
ガバナンスの力
初期のERGは、しばしば非公式の社交クラブとして運営されていた。だが今日、その構造の欠如は法的・運用上のリスクとなる。真に成功するためには、ERGにはガバナンスという背骨が必要だ。これはマイクロマネジメントの話ではない。公平性の話である。
明確なルールがなければ、予算やリーダーシップの機会は公正に配分されない、とドヴァーは強調する。「ガバナンスは監督レベルにも、グループレベルにも必要です。公平性を実現するにはガバナンスが欠かせないのです」
組織が、リーダーの選出方法から任期に至るまでを含む正式な方針を整備すると、ERGは脇役のプロジェクトから、人材育成のパイプラインへと格上げされる。この構造は、エグゼクティブスポンサーにとっての心理的安全性も提供する。彼らの多くは支援に意欲的である一方、踏み込みすぎることを恐れている。明確な期待値を定めることで、過去の混乱した仕組みに左右される不安を抱かず、リーダーが真摯に関与できるようになる。
具体的に、ドヴァーは以下を推奨している。
- 明確なガバナンスの確立:重要な用語、構造、活動を定義する正式なポリシーガイドを導入し、各グループの個別ニーズに配慮しながら一貫性を保つ。
- ステークホルダーの役割の明確化:ERGリーダーシップチーム、エグゼクティブスポンサー、一般メンバーの役割を含む社内エコシステムを明確に定める。
- ボランティアリーダーシップの専門化:ERGリーダー職を、業務外の追加負荷としてではなく、人材育成のパイプラインとして扱う。
- 戦略セッションの実施:年次または半年ごとに戦略・ロードマップセッションを開催し、各ERGの1〜3年の具体的目標を設定する。
重要な指標
経営幹部に注目してもらいたいなら、ビジネスの言語、すなわちデータで語らねばならない。長い間、私たちはボランティアのERGリーダーにビジネスへの影響を示すことを求めながら、それを可能にするツールを与えてこなかった。
ドヴァーは、人事データとERG参加状況を統合する動きが強まっているのを見ている。その統計は無視できないものだ。ERGリーダーシップ・アライアンスの調査と業界トレンドによれば、「健全なERGに参加している人は、エンゲージメントが10%以上、場合によっては15〜16%高い傾向が見られます」
エンゲージメントスコアにとどまらず、組織はいま以下の点も追跡している。
- ERGメンバーと非メンバーの定着率の差
- 事実上リーダーシップ開発プログラムに参加しているERGリーダーの昇進スピード
- ERGの提唱活動が影響を与える採用トレンド
「個々のリーダーにそのデータを求めるのはやめてください。彼らは持っていないのですから」とドヴァーは警鐘を鳴らす。代わりに、監督の役割を担うマネージャーが分析支援を提供し、これらのグループがいかに収益に貢献しているかを示さなければならない。ERGを経費項目ではなく戦略的投資として扱えば、ROIは否応なく明らかになる。
インターセクショナリティと現代の労働組合
2026年における最も刺激的なトレンドは、インターセクショナリティへの移行だ。人間は単一の属性でできているわけではない。従業員は単一のレンズだけで世界を経験しているのではない。例えば職場の黒人女性は、人種とジェンダーを同時に(おそらく他の交差するアイデンティティも含めて)経験しながら立ち回っている。
現代のERGは、壁を取り払い、イベントや取り組みを共同主催することでサイロを解体しつつある。この協働アプローチは、ドヴァーが「形成されつつある現代の労働組合」と呼ぶものに似ている。過去の対立的な労働組合とは異なり、これらのグループは従業員と雇用主の間をつなぐ橋として機能する。集団的トラウマを消化したり、文化的節目を祝ったりする場を提供しながら、同時にプロフェッショナルとしてのスキルも育む。
この動きの世界規模について、ドヴァーは示唆に富む見解を共有する。「現在、世界で5億人がERGに参加しています。企業の95%がERGへの何らかの支援を続けているのは、その重要性を理解しているからです」
ニューロダイバーシティ、信仰にもとづくグループ、ファイバーアートに至るまで、インターセクショナリティを受け入れることは、組織が職場における「全体としての人」を認めることにほかならない。このホリスティックな視点こそが心理的安全性の文化を築き、従業員はただ出社するだけではなく、活躍できるようになる。
- 「マジック・ミドル」に働きかける:推進派や反対派だけに焦点を当てるのではなく、説得可能だが確信が持てない層(例:中間管理職)に向けて戦略を設計する。
- インターセクショナルなアライシップを実践する:メンバーが複雑で重なり合うアイデンティティを持つことを認識し、画一的なプログラムを避ける(例:女性ERGが異なる人種や年齢の女性のニーズにも対応できるようにする)。
- ERG間のパートナーシップを育む:他のERGとつながり、提唱活動をよりインターセクショナルにするための連携方法を探る。
- パフォーマティブなアライシップを超える:取引的な個人行動から、客観的な採用・昇進プロセスの構築など、構造的変化の創出へと移行する。
- ロールモデル化+ストーリーテリングを採用する:インクルーシブな行動のロールモデル化とストーリーテリングを併用し、組織内で共感可能で広がりやすい実践にする。
ERGにとっての魔法の杖は、巨額の予算でも、派手な年次サミットでもない。必要なのは、すべての従業員が「見てもらえている」と感じられるようにするための、一貫性があり、ガバナンスに支えられ、測定可能なコミットメントである。ドヴァーの言葉を借りれば、「私たちは皆、この取り組みにおけるアライです。帰属意識をプロフェッショナルに扱えば、全員が勝者になるのです」
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