なぜ誰もがコストコを愛するのか?
私は毎年冬をフロリダの小さな村で過ごしている。住民は決して家計のやりくりに苦しんでいるわけではない。にもかかわらず、地元のコストコの倉庫型店舗で食料品から何から買いそろえる人が驚くほど多いことに、最近目を見張った。ロティサリーチキンや上等なワイン、あるいは目を引く何かを手に取っていると、通路で町の知り合いの誰彼に出くわす。
節約志向の中間層と、ワインは高級ワインショップで、チキンは高級デリで買えるような層の双方を、同じディスカウント小売がどうして引きつけられるのか。
明らかにコストコは何かを正しくやっている。純売上高は昨年8.1%増の2699億ドルに伸び、多くの小売チェーンより力強い成長だ。たとえばウォルマートは世界で約1万750店を運営する一方、コストコは倉庫型店舗が914拠点にすぎない。ウォルマートの時価総額は約1兆ドルでコストコの2倍超、売上高も約3倍近い。だがコストコの投下資本利益率はおよそ2倍で、売場面積当たり売上(+211%)と従業員1人当たり売上(+180%)でも大きく先行している。
通説では、コストコは会員にとって「お得」だということになる。合理的な価格で高品質の商品が手に入り、特に拡大を続けるプライベートブランド「カークランド」を選べば、その価値はいっそう高まる。そして価格以上の価値に加え、新商品を次々と見つけられることが簡単で、しかも楽しい。だからこそ、コストコの買い物客の92%が毎年会員資格を更新し、できる限り頻繁に利用するのも不思議ではない。
だが私は、この通説だけでは不十分だと考えている。コストコには、さらに大きな物語がある。そして小売とは無関係な業界のリーダーにとっても、より大きな学びがある。
強い企業文化の力
私はロン・バクリスと話したことはない。彼は最近、コストコCEOとして2年を迎え、同時に社員として43年を祝った人物だ。しかし私は彼を知っている気がする。というのも、会社の力強く持続する企業文化をつくり上げた創業者ジム・シネガルを知っていたからだ。バクリスは歴代でわずか3人目のCEOであり、シネガル(1983〜2011年)、クレイグ・ジェリネック(2012〜2023年)に続く。この事実だけでも、S&P 500のCEOが平均して3〜5年で退任に追い込まれる時代において異例である。さらに異例なのは、バクリスが倉庫でのフォークリフトオペレーターとして出発し、複数の管理職を経てトップに上り詰めたことだ。
ウォール・ストリート・ジャーナルになぜ長年コストコにとどまったのかと問われたバクリスは、金銭的な見返りやリーダーとしての機会よりも、企業文化について語った。「父がこう言ったのを覚えている。『素晴らしい会社で一番下の仕事を引き受けろ。あとは自分次第だ』と。私はそれを肝に銘じた。よし、ここは素晴らしい会社だ。自分に何ができるか見てみよう、と」
私は、バクリスがコストコの企業文化に全面的かつ明確にコミットしていなければ、トップの座に就くことはなかったと考えている。採用面接や入社後数カ月なら文化への支持を装うこともできるかもしれない。しかし40年にわたってそれを演じ切れるほどの名優は存在しない。
シネガルは、従業員を大切にする重要性を強調することで、独自の企業文化を築いた。離職を減らし、人々を動機づけ、顧客体験の改善を続ける最善の方法だと考えたからである。彼の言葉を借りれば、「良い人材を採用し、良い仕事を与え、良い賃金を払えば、たいてい何か良いことが起こる」。1980年代にコストコを築く過程で、他社から迎えたリーダーの給与を2倍、時には3倍にしたことで評判になった。そして今日に至るまで、コストコの従業員はウォルマートの従業員より平均で27%高い賃金を得ている。さらに、多くの企業が医療や退職給付でコスト削減を追求する時代に、手厚い医療・退職給付も提供している。
しかし、コストコの年間離職率が例外的に低い理由──約8.5%で、他の小売では最大60%にもなる──を問われた際、バクリスが強調したのは、給与や福利厚生だけの問題ではないという点だ。「組織の文化の問題だ。誰にでも機会がある……そして、その機会が私たち全員に開かれていることを人々は理解している。私たちは単なる仕事ではなくキャリアを提供している。定着は会社の成功の核心だ」
より良い報酬とより良い扱いは相互に結びついている。可能な限り低い賃金しか払わないなら、「人を本当に大切にしている」と主張するのは難しい。逆に、高賃金の会社であっても、無礼で、時に虐待的ですらあるマネジメントで悪評が立てば、人材は定着しない。平均以上の忠誠心を求めるなら、従業員のウェルビーイングへの配慮を企業文化のあらゆる側面に織り込む必要がある。
内部昇進の力
従業員を大切にすることは、シネガルのもう1つの中核原則とも交差する。可能な限り社内から昇進させることだ。企業文化が一貫して良い成果を生み出しているなら、すでにその文化の中で成功し、それを守ることにコミットしている人材でリーダー職を埋めるのは賢明である。そうしたリーダーは、すべての従業員を価値あるチームメンバーであり未来のリーダー、ひょっとすると未来のCEOと見なす可能性がはるかに高い。バクリスの言葉を借りれば、「会社を動かしているのが誰か見ればいい。私たちは皆、現場から上がってきた」。そうしたリーダーは、損益計算書上の単なるコストとしてスタッフを扱い、節約のために1セントまで搾り取ろうとはしない。
もちろん、外部から新しいリーダーを採用し、新たな戦略や戦術を導入する必要がある局面もある。企業文化があまりに壊れていて、外部のCEOが経営陣を総入れ替えして完全に再起動しなければならない場合もある。だが、多くの企業が短期的な逆風に直面したときでさえ、根本的には良い企業文化を堅持するよりも、その道を選びすぎている。
資本主義の最良のかたち
突き詰めれば、企業文化は価値観の表れである。リーダーとして、顧客、従業員、パートナーを本当に尊重しているなら、あなたと同僚が下すあらゆる意思決定は、より明確になる。だが注意が必要だ。文化を、朽ちかけた家に塗る新しいペンキのように扱ってはならない。新任の従業員として長く価値観を装えないのと同じく、リーダーとしても価値観を長く装うことはできない。
厳しく、常に変化する業界で数十年にわたり印象的な成果を上げてきたコストコは、マルチステークホルダー資本主義の最良の例の1つであり、私が強く提唱してきた理念でもある。マルチステークホルダー戦略の要素──顧客を満足させ、従業員を大切にし、パートナーと公正に向き合う──は、第二次世界大戦の終結から1970年代にかけて、かつては標準だった。そうした企業の株主は通常、力強い成長と収益性を享受していた。そしてその過程で、この資本主義の最良のかたちは、広く共有された繁栄と上方移動にとってのロケット燃料となった。
悲劇的なことに、1980年代に広がった「株主第一」の発想への大転換が、そうした前向きな潮流を損なった。だが近年、マルチステークホルダー資本主義は、デルタ航空、ホーム・デポ、コストコなど、多くのロールモデルに導かれる形で復活しつつある。大企業でも中小企業でも、彼らに学び倣うのは遅すぎない。
組織図のどこにいるとしても、ジム・シネガルが築き、ロン・バクリスが守り続けている種類の企業文化を、あなたも育て始めることができる。そうすればおそらく、43年後に誰かが、あなたが2026年に築き始めた驚くべき組織を振り返ることになるだろう。



