企業や個人がAIを安全に導入し、生活を豊かにできるようにするには?
以下は、ダボスで開催された「Imagination in Action」イベント内での、アンソロピック対外関係責任者サラ・ヘックの発言だ。筆者は、専門家や各国首脳らが集まる重要な会合の期間中、スイスでこの無料のミニ会議の運営に携わっている。目の前の技術がもたらす影響を考え続けるためだ。
「私たちはフロンティアモデルを開発するだけでなく、AIが人類にとって良い結果をもたらすようにすることにも注力している企業です」。スタンフォード大学デジタル経済ラボのエリック・ブリニョルフソンとの対談において、彼女はそう述べた。「それがアンソロピックの使命の一部です。AIに関わる政策課題を、最も広い意味で考えています」。
彼女はこう説明した。
「AIを安全に展開し、企業や個人がこの技術を生産性の向上や生活の改善に使えるようにするにはどうすべきかという点から考えています。また、AIの分野で米国をどう位置づけ、民主主義国家が主導できるようにするにはどうすべきかも考えています」。
経済全体にわたる複数の指標を追跡し、過去の10倍に達するAIの拡散速度を確認
ヘックとブリニョルフソンは、Anthropic Economic Index(アンソロピック経済指数)について話した。これは、将来の経済で人間が何をし、AIをどう使って仕事を補助(増強)するのかを理解するための研究プロジェクトである。
ヘックは、こうした取り組みはすべてオープンソースとして公開していると述べた。
「このデータを見てくれる人たちのコミュニティが必要です」と彼女は語った。
彼女はまた、「economic primitives」(経済を捉える基本単位)と呼ぶものの使用にも言及した。
「私たちは、補助や自動化だけでなく、教育でどう使われているか、業務でどう使われているか、個人用途でどう使われているかといった点まで含めて、経済全体にわたるいくつかの指標を追跡しています」と彼女は述べた。「直近のレポートで最も興味深かった点の1つは、AIの拡散速度でした。とりわけ米国全体での拡散速度です」。
その速度は、過去の技術と比べて実に10倍だという。初期のGPTモデル、そしてその後に登場したモデルでも、利用者数が増えるペースに人々が驚いたことを考えれば、それも納得がいく。
「導入の進み具合には、高所得国と低所得国で差が見られます」と彼女は付け加えた。「これは私たちがかなり懸念している点の1つです。AIが誰にとっても役に立ち、その結果として富の格差を広げないようにしたいのです」。
また、彼女は意思決定プロセスにも触れ、AIの進歩を熟慮しながら進めることが助けになると述べた。
「多くの政策立案者や企業幹部が、手探りで進めています」と彼女は語った。「政府のデータの多くは公表までに時間がかかり、粒度も粗いのです」。


