米国時間2月20日、金と銀の価格はそろって上昇した。特に銀は約9%高と急騰し、アナリストはその背景として、イランとの緊張激化、20日朝に発表された予想を下回る経済指標、そして米最高裁がドナルド・トランプ大統領の関税を無効としたことに伴う不確実性などを挙げている。
米東部時間20日午後3時40分の時点で、銀の価格は約9%高の84.43ドルと、過去1週間以上における最高値を付けた。
また、金の価格も同時点で約2%高の5108.40ドルとなっている。
米国とイランとの緊張激化
トランプ政権は20日、イランに対して限定的な攻撃を検討していると述べ、それによって引き起こされた米国とイランとの緊張激化が、金や銀の価格を押し上げていると複数のアナリストは指摘している。一般に世界的な緊張が高まると、安全資産への需要が増えるためだ。
FXEMの市場調査マネージャー、アブデルアジズ・アルボグダディはウォール・ストリート・ジャーナルに対し、イランへの攻撃の脅威は「世界市場に地政学的リスク・プレミアムを埋め込み続けている」と述べ、これが金と銀価格の上昇を後押ししていると語った。
インフレがなお高止まり
金と銀の価格を押し上げているもう1つの要因は、20日朝に発表された経済データである。2025年第4四半期のGDP成長率が1.4%と市場予想を下回り、2025年12月の個人消費支出(PCE)物価指数が前月比0.4%上昇と、インフレがなお高止まりしていることを示したからだ。
RJOフューチャーズのシニア市場ストラテジスト、ボブ・ハーバコーンはロイターに対し、このデータは経済が「転換点に近いことを示唆している」と述べ、「依然として米国経済には多くの未知な部分と不確実性があり、それが金の価格を下支えしている」と付け加えた。
米最高裁、トランプ関税に違法判決
20日早朝、最高裁はトランプが2025年夏にほぼすべての貿易相手国に対して課した包括的な関税について、彼がその権限を持っていなかったとの判断を下した。米国の大統領が国家緊急時に独自の経済政策を行うことを可能にする国際緊急経済権限法(IEEPA)には、関税賦課の権限は含まれていないとの判断である。トランプはその後、行政命令で10%の新たな関税を課す意向を示したが、これらの関税の有効期間は、議会が延長しない限り150日に限定される。
最高裁判決と金銀の価格動向
一部のアナリストは、トランプ関税が無効となれば金や銀の価格は下落するように思えると述べている。というのも、関税とそれが引き起こした不確実性は、2025年に貴金属価格を急騰させる主要因だったからである。しかし現在のところ、最高裁の判決によって生じた不確実性が、貴金属価格の上昇を助けているとみられている。
市場関係者のタイ・ウォンはロイターに対し、「トランプ大統領が自分のおもちゃを片付けて家に帰るとは思えない。彼は他の法令を用いて関税を再び課そうとするだろう。それがボラティリティを促進する」と述べた。
TDセキュリティーズのコモディティ戦略グローバル責任者であるバート・メレックはブルームバーグに対し、今回の判決は、政府が輸入業者に対して1750億ドル(約27兆1200億円)を超える還付を行うことを余儀なくされる可能性があることを示唆しており、これが「予算を圧迫する」だろうと述べた。また、このことが「政府の資金調達に金融政策が利用されるとの憶測を増やす可能性がある」と述べ、将来の利下げ観測が貴金属価格を押し上げる可能性を示唆した。



