一方で、今回の調査は雇用のパターンに変化が生じている実態を浮き彫りにした。米国の労働者の45.9%が中小企業に雇用されていることを踏まえると、この変化が持つ意味は大きい。調査結果によると、2023年1月以降、中小企業の雇用は9.9%増加したのに対し、AIの影響を強く受ける職種での雇用増は3.4%に留まっている。
まず、若年労働者が業務を習得する過程で担当していた日常業務を、雇用主がAIに担わせるようになった結果、22~28歳の雇用者数が減少した。例えば、事務アシスタント、カスタマーサービス、ソフトウェア開発者などの職種における採用は減少傾向にある。
一方、40〜64歳の経験豊富な労働者は、判断力やチームメンバーとのプロジェクト調整スキル、さらにAIツールを使いこなしてビジネス価値を創出する能力を備えていると見なされ、採用においてより大きな成功を収めている。
「AIの恩恵が均等に行き渡っているわけではない。現時点では、AIは若年労働者により大きな影響を及ぼしており、彼らがそのしわ寄せを受けているのは確かだ」とチェンバレンは指摘する。
経営のあり方を変える新指標「AIエクスポージャー」
ガストの調査では、OpenAIとペンシルベニア大学の研究者が開発した手法を用いて、各中小企業のAIエクスポージャーを分析した。この手法は、職務における中核業務をAIによってどれほど迅速に完結できるかを0〜100%の尺度でスコア化し、企業全体の平均値を算出するものだ。例えば、ある職務に10の中核業務があり、そのうち2つをAIによって50%速く完了できる場合、AIエクスポージャー・スコアは20%となる。これは、業務全体の10分の2がAIによって加速可能であることを意味する。
調査対象となった中小企業におけるAIエクスポージャーの平均は17.4%で、米国全体の平均を上回った。この水準にある企業の平均像は、従業員数8.6名、月商17万2360ドル(約2700万円)となっている。
AIエクスポージャーが高い分野としては、コピーライティング、会計、カスタマーサービスなどが挙げられた。一方、配管や電気工事、歯科医療など、手作業の技能を要する職種ではスコアは低かった。
AIエクスポージャーが最も高かったのは、従業員数1~4人の企業で、平均は16.7%だった。これに対し、従業員20~49人の企業では16%となっている。この差の一因として、小規模な組織には専門サービス業に携わる個人事業主が多く含まれる傾向にあることが一因だ。より規模の大きな企業では、様々な職種が存在する場合が多い。
しかし、本調査が指摘するように、AIの影響を最も受けやすい職種であっても、必ずしも人間がAIに取って代わられるわけではない。
ある職種のAIエクスポージャーが高いということは、その従業員の日常業務がAIの影響を受ける可能性が大きいことを意味する。AIが業務を補完して生産性を高める場合もあれば、全てが自動化され、人間が代替される可能性も含まれる」と報告書は述べている。「重要なのは、AIエクスポージャーが高いことは、必ずしもリスクや職務の消滅を意味しないという点だ。それは単に、そのタスクにAIが関連しているということを示しているに過ぎない」。


