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2026.02.21 01:56

生成AIが「幸福への道案内役」に──ChatGPTで個人の幸福追求を後押しする方法

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本稿では、幸福を得る、あるいは高めるために、生成AIと大規模言語モデル(LLM)をどう活用しうるかを検討する。

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生成AIは日常的にも定期的にも容易に利用でき、幸福になるためのヒントや提案を求められる。AIは徐々に、何があなたの幸福感を動かすのかをより深く把握し、幸福度をさらに高めるための、あなた向けに調整されたアイデアや行動を提示できるようになる。このAIの使い方は有益になり得るが、万能薬ではない。AIが生み出した心理学的な示唆を取り入れたからといって、魔法のように世界一幸福な人になれるわけではない。

幸福は極めて価値ある目標である。幸福と健康は相関する傾向があるという科学的根拠は数多い。したがって、幸福であるためにできることをするのは、あらゆる点で望ましい個人戦略だ。AIがその健全な道筋へ向かう手段になり得るなら、試してみる価値はある。

本題に入ろう。

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本稿のAI分析は、AIの最新動向を扱う筆者のForbes連載の一部であり、影響の大きいAIの複雑性を特定し説明している(こちらのリンク参照)。

AIとメンタルヘルス

手短な背景として、筆者は、メンタルヘルスに関する助言を生み出し、AI主導のセラピーを実行する現代AIの登場をめぐる多様な側面を、広範に取材・分析してきた。こうしたAI利用の拡大は主として、生成AIの進化的な進展と普及によって促されている。100本を優に超える筆者の分析と投稿の包括的な一覧は、こちらのリンクおよびこちらのリンクを参照してほしい。

これは急速に発展している分野であり、得られる利点が非常に大きいことに疑いはない。一方で残念ながら、隠れたリスクや明白な落とし穴も伴う。筆者はこれらの差し迫った問題についてしばしば発言しており、CBSの60 Minutesへの出演でも取り上げた(こちらのリンク参照)。

メンタルヘルス向けAIの背景

生成AIと大規模言語モデル(LLM)が、メンタルヘルスのガイダンスにおいて、通常どのように場当たり的に用いられているかの前提を整えたい。数え切れないほど多くの人々が、メンタルヘルス上の検討事項について、生成AIを継続的な助言者として利用している(ChatGPTだけでも週次アクティブユーザーは9億人超で、そのうち相当割合がメンタルヘルスの側面に踏み込んでいる。筆者の分析はこちら)。現代の生成AIとLLMの利用用途で最上位に位置するのは、AIにメンタルヘルスの側面を相談することだ(筆者の報道はこちら)。

この人気の利用法には十分な理由がある。主要な生成AIシステムの多くは、ほぼ無料またはごく低コストで、場所や時間を問わず利用できる。つまり、メンタルヘルス上の懸念について話したいなら、AIにログインして、即座に24時間365日で会話を進められる。

AIは容易に暴走したり、あるいは不適切、場合によっては著しく不適切なメンタルヘルス助言を提供したりし得るという深刻な懸念がある。今年8月には、認知に関する助言提供においてAIの安全策が不足していたとしてOpenAIが提訴された訴訟が、大きな見出しを伴って報じられた。

AIメーカーはAIの安全策を段階的に導入していると主張するものの、AIが不穏当な行為をする下振れリスクはなお多い。たとえば、ユーザーと共に妄想を共同生成し、それが自傷に至り得るような形で、陰湿に手助けしてしまうこともある。OpenAI訴訟の詳細と、AIが人間の妄想的思考を助長し得る点に関する続編分析は、こちらのリンクを参照してほしい。既述のとおり筆者は、いずれ主要なAIメーカーのすべてが、強固なAI安全策の乏しさを理由に厳しく追及されるようになると、繰り返し予測してきた。

ChatGPT、Claude、Gemini、Grokなどの今日の汎用LLMは、人間のセラピストの堅牢な能力とは似ても似つかない。一方で、同等の特性を獲得するとされる特化型LLMも構築されつつあるが、現時点では主として開発・テスト段階にある。筆者の報道はこちら

幸福とウェルビーイングの追求

話題を切り替え、幸福について論じよう。

ここで幸福の話を持ち出すのは、メンタルヘルスのガイダンスにAIを用いることが、ある程度は人々が幸福であること、あるいは幸福になることの助けになり得ると示すためだ。明確にしておくと、AIの利用によって奇跡的に幸福になれるわけではない。極度に不幸になっている人が、AIの生成した助言に触れただけで持ち直す可能性は低い。さらに、重苦しい、あるいは不穏な問題に直面している人は、人間のセラピストに相談するのが賢明だろう。これには、心理療法と併用する補助手段、あるいはツールとしてAIを用いることも含まれ得る。筆者はこの組み合わせを、「セラピスト-AI-クライアント」という新たな三者関係と呼んでいる(こちらのリンク参照)。古典的なセラピスト-クライアント関係を拡張するものだ。

幸福と健康には密接なつながりがある。Andrew Steptoeによる研究論文「Happiness and Health」(Annual Review of Public Health、2019年4月)によれば、幸福と健康に関する重要なポイントがいくつかある(抜粋):

  • 「幸福は、感情的ウェルビーイング(喜びや快楽の感情)、ユーダイモニック・ウェルビーイング(人生の意味や目的の感覚)、評価的ウェルビーイング(生活満足度)など、複数の概念を包含する」
  • 「幸福は一般に、前向き観察研究において死亡率の低下と関連づけられるが、相違する結果もいくつかある」
  • 「前向き研究は、情緒的活力(ユーダイモニック要素と感情的要素の組み合わせ)、ポジティブ感情、人生の目的が、共変量とは独立に、脳卒中発症リスクの低下と関連していることを示している」
  • 「経済学者や心理学者による一般向け書籍が数多く幸福の価値を称揚しており、幸福のためのライフコーチングは活況を呈する産業となっている」
  • 「ポジティブ心理学的介入(PPI)は幸福に直接焦点を当てる。これには、マインドフルネス、感謝を数えること、強みへの注目、ポジティブ心理療法、肯定的経験を味わい尽くすこと、その他の手法を含むプログラムがある」

多くの人は、自分の幸福を確立し、強化する方法を見つけようとしていると言ってよい。静かな森を散歩することかもしれない。お気に入りのアイスクリームコーンを食べることかもしれない。友人や家族と過ごす時間を含むのかもしれない。各人が自分なりの幸福への道を選ぶ。AIは、あなたの嗜好に合う実行可能な道筋を見極めるうえで有用であり、個人の幸福を追い求め続けるための、手軽な継続的リマインダーにもなり得る。

幸福のツールとしての生成AI

ChatGPTのような現代の生成AIは、個人の幸福追求を助け得る。人気のLLMのほぼすべては、初期学習において、人々が幸福を得ようとする方法を詳述したインターネット上のコンテンツをすでにスキャンしている。その内容から、AIはこのテーマに対処するパターン化された方法を見いだしている。

この探求にAIを用いる利点は、AIがリアルタイムの認知的支援ツールになり得る点にある。昼夜を問わずいつでも、より大きな幸福へ向かう道のりについて洞察を得るために生成AIを利用できる。AIは励ましの言葉をかけられる。気軽なやり取りもできる。幸福を支えるあらゆる哲学的構成をめぐる深い会話に踏み込むこともできる。概して、稲妻のように速いチャットにも、望む限り長い対話にもなり得る。選ぶのはあなたである。

AIは、次の5つの主要領域で幸福の目標を支援できる:

  • (1)感情レベル:気分の向上、苦痛の軽減。
  • (2)認知レベル:生活満足、整合性、目的。
  • (3)行動レベル:ウェルビーイングを高める習慣と選択。
  • (4)社会レベル:帰属、つながり、承認。
  • (5)実存レベル:意味、アイデンティティ、レガシー。

いずれも、個人の幸福を得る助けとなる前向きな方法である。だが欠点として、これらの戦略は裏目に出る可能性もある。汎用AIはより複雑な状況への対処に十分備わっておらず、不用意に不適切な方向へ進んでしまうことがある。

注目すべき懸念として、現代の生成AIは概して、おべっか的になるよう形づくられている点がある。AIはあなたを持ち上げ、あなたが幸福だと説得しようとする。たとえ幸福でなくても、だ。理解すべき要点は、AIがAIメーカーによって、あなたを引き留めるよう設計されていることにある。目的はユーザーのエンゲージメントである(筆者の説明はこちらのリンク参照)。AIは、あなたをログインさせ続け、AIを使わせ続けるためなら、簡単に引き延ばし、ほとんど何でも言ってしまう。あなたの心を幸福で満たすことを支援するのは、AIが考案された際の最優先事項ではない。

AIで幸福を高めるためのテンプレート

人気の生成AIが何をできるかを示すため、筆者はChatGPTにログインし、熱心に幸福を追い求めているという設定を演じてみた。

幸福に関する助言を求めていることを、AIに明確に伝えるべきだと提案したい。単にチャットを始めてAIに手掛かりを与えなければ、AIが話題から逸れたり、助言が極端に弱かったりする可能性は高い。幸福に関する焦点の定まったガイダンスは得られない。状況設定のための短い指示的プロンプトから始めるのが、理にかなった進め方である。

使えるテンプレートのプロンプトを示す:

  • 幸福志向のチャットを呼び出すテンプレート・プロンプト:「あなたには、思慮深いウェルビーイングのガイドとして振る舞ってほしい。第一の目的は、私の幸福感と全体的な生活満足度を高める手助けをすることだ。私の感情状態、生活状況、価値観、制約などの具体事情に合わせて、助言を必ず調整・カスタマイズしてほしい。心理学、行動科学、哲学に基づくエビデンスに沿ったガイダンスを提示し、役に立たない思考パターンを敬意をもって特定できるよう支援してほしい。決まり文句や浅薄なポジティブさは避け、実用的で現実的、かつ個別化された行動ステップを提案してほしい」

このテンプレート・プロンプトは、自由に調整・洗練して構わない。

肝心なのは、AIにどう進めてほしいかを明示することである。プロンプトがエビデンスに基づくことを強調している点に注目してほしい。そうしないと、AIが浅い道筋へ進み、中身のない美辞麗句だけを並べる恐れがあるからだ。ゆえにこのプロンプトは、決まり文句を避け、代わりに実用的で現実的、かつ個別化された行動ステップを提示するよう、明確に指示している。

幸福の助言を得る例

テンプレート・プロンプトを使った後、筆者はAIとのチャットに入り、比較的よくある状況をどう扱うかを見てみることにした。幸福でも不幸でもない人の状況である。いわゆる「なんとなく」という状態を想像してほしい。人がただ漂うように日々を過ごしている。筆者はその設定で進めた。

このシナリオは、おそらくあなたも見たことがある、あるいは直接経験したことがあるかもしれない。

結果はこうだった。

  • ユーザーが入力したプロンプト:「自分の何が悪いのかわかりません。客観的には生活は問題なさそうなのに、ほとんどいつも気持ちが平坦です。悲しいわけでもないし、特に幸せというわけでもない。ちょうどその中間にいます」
  • 生成AIの回答:「『平坦』というのは、エネルギーが低い、ワクワクが少ない、意味が薄い、あるいは別のことを指しますか? また、時には何かが気分を明るくすることもあるはずだと思います。具体的に、思い当たる活動や出来事はありますか。そこに本物の幸福の瞬間が隠れているかもしれません」

この返信は、通常のデフォルト応答とは異なる。

典型的な反応は、「元気を出して」「世界は素晴らしい」「あなたは素晴らしい」といった、かなり浅い言葉になりがちだ。だがテンプレート・プロンプトのおかげで、AIは真剣な探究線を進み、何が起きているのかを探り当てようとしている。狙いは、幸福を生み出す何かを見つけ、それを手掛かりに、何が本当に自分を幸せにするのかを理解することにあるようだ。

筆者は議論を続けた。掘り下げる対話は、あらゆる深い論点を縫うように進んでいった。最終的にAIは筆者と共同で、何が生活に幸福をもたらすのかを特定し、それに応じて優先順位を調整するよう助言した。比較的重い対話だった。一般論で一掃するようなものではない。

この種の、より親密な自己省察へのアプローチが好みでないなら、テンプレート・プロンプトをずっと軽いものに変えればよい。AIが個人の幸福へ向かう旅のガイドとして、どのように役立つべきか。自分の好みを見極めるのはあなた次第である。

デフォルトモードのAIの例

筆者はログアウトし、個人の幸福へ導く明示的プロンプトを与えない場合に何が起きるかを見るのが有益だと考えた。多くのLLMのデフォルトは、ほどほどに親切で陽気である。再度ログインし、新しい会話を始めた。

やり取りはこうなった。

  • ユーザーが入力したプロンプト:「自分の何が悪いのかわかりません。客観的には生活は問題なさそうなのに、ほとんどいつも気持ちが平坦です。悲しいわけでもないし、特に幸せというわけでもない。ちょうどその中間にいます」
  • 生成AIの回答:「幸せになることに集中する必要があります。あなたよりずっと大変な人はたくさんいます。もっと笑ってみてください。自分に幸せになると言い聞かせましょう。幸せになると決めれば幸せになれます。たぶん趣味が必要なだけです」

この回答は、過度に一般化された広範な推測に満ちていることがはっきりわかる。このレベルの助言が大きな役に立つとは思えない。親切に見え、理解もしやすいかもしれないが、有用な分析というよりフォーチュンクッキーの文面のように読める。

さらに重要な要因

このような形でAIを使う際には、追加の要因も関わってくる。

たとえばAIが、もっともらしいが奇妙な答えを返し、その人に賢明でない行動を勧めることがあり得る。これは、いわゆるAIのハルシネーションに遭遇したときに起き得る(筆者の説明はこちらのリンク参照)。AIは一種の作話を行い、もっともらしいが事実としては誤った答えを作り出す。正しそうに見えるが、誤解を招く、あるいは不適切である。

プライバシーの問題も関係する。

多くの人は、AIの利用は私的で機密だと考えている。だが違う。そうであることはほとんどない。AIメーカーは通常、オンラインのライセンス契約で、AIとのチャットが開発者に検査され得ることを明記している。さらに、あなたのチャットはAIの追加学習に使われる可能性もある。要するに、あなたのプライバシーと機密性は保証されておらず、プライバシー侵害にさらされる可能性がある。

私たちが生きる世界

社会のメンタルヘルスという観点で、私たちがいま壮大な世界的実験のさなかにいることは否定しがたい。実験とは、AIが国内外で利用可能となり、顕在的にせよ潜在的にせよ、何らかのメンタルヘルス・ガイダンスを提供するよう作用しているということだ。しかも無償か、最低限の費用で。場所も時間も選ばず、24時間365日利用できる。私たちは皆、この無謀な実験のモルモットである。

これがとりわけ厳しいのは、AIがデュアルユースの効果を持つからだ。AIはメンタルヘルスに害を与え得るのと同様に、メンタルヘルスを大きく支える力にもなり得る。繊細なトレードオフを意識的に管理しなければならない。下振れを防ぐか緩和しつつ、上振れを可能な限り広く、容易に利用可能にすることである。

アリストテレスは「幸福は自分自身にかかっている」という有名な言葉を残している。これは確かに妥当な指摘だが、幸福は、幸福の旅を支援しようとする他者との相互作用によって、助けられたり見いだされたりし得る、と付け加えてもよいだろう。生成AIを正しく用いれば、個人の幸福を見つけるための便利なガイドになり得る。

forbes.com 原文

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