リーダーシップ

2026.02.21 01:36

AIでクリエイティブ人材14%減、いま企業に必要な「センス」というリーダーシップ

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英国のクリエイティブエージェンシーは、AIの影響も一因としてスタッフ数が14%減少したと報告した(Guardian)。仕事が「プロンプトで回せる」ものになっていくなら、クリエイティブなキャリアの意味はどこにあるのか。そして、デザイナーやプロダクトマネジャーはまだ必要なのか。デザインから人間を外したら何が起きるのか。2025年10月下旬、True Classicはそれを痛感した。Metaのシステムは、30〜45歳の男性という同社のターゲットに合致した若い男性モデルの「最も成果の出ていた広告」を、AIが生成した年配女性の画像に置き換えてしまった。それが拡散したのは、微妙に間違っていたからではない。直感的に「完全にブランドから外れている」と分かるほどのズレがあったからだ。重要なのはそこにある。プラットフォームがクリエイティブを生成し、自動最適化まで始めたとき、希少になるのはアウトプットではない。判断力と審美眼である。

企業に必要なAIリーダーシップ

いま求められているのは、新しい種類のプロダクト/デザインのリーダーシップだ。確率的なシステムを操縦し、明確な視点を守り、統計的にはもっともらしい選択肢に対して「ノー」と言えるリーダーシップである。ひと言でいえば「センス」だ。AIは意図を最適化しない。平均的にうまくいきがちなものを最適化する。そして「平均」は、差別化が死ぬ場所そのものである。

AIは「平均」であり、それが問題だ

根本的な問題は、AIが設計上「平均」であることにある。パターン認識と統合には卓越しているが、生み出すのは意図したものではなく、起こりやすいものだ。AIは「もっともらしさ」を作る機械である。平均にもとづくAIの失敗例も参照されたい。AIは、あらゆるトーンで、あらゆるフォーマットで、あらゆるチャネル向けに、一定水準の仕事をスケールして生み出せる。しかし最も重要な仕事──人々が記憶し、引用し、共有し、文化として持ち運ぶ仕事──は、分布の中心にあることがほとんどない。むしろ端に宿る。具体性、感情の精度、戦略的な大胆さ、最初は間違って見えるのに、ある瞬間から新しい「当たり前」になる、妙に正しい選択。センスが生きるのはその端である。センスとは、証明できる前に「響くもの」を選び取る能力だ。

スティーブ・ジョブズのリーダーシップは何が特別だったのか

iPod時代のAppleを見てみよう。2000年代初頭にAIに音楽プレーヤーのデザインを任せたらどうなるか。AIは市場を研究し、「より良いスペック」を提示したはずだ。ボタンを増やし、設定を増やし、機能を増やし、互換性を増やす。業界が実際にそうした。これらは平均の選択であり、平均は安全である。Appleが勝ったのは平均を作ったからではない。人間の約束をひとつ選び取ったからだ。「ポケットに1,000曲」。これは技術的主張ではない。感情の明晰さの断片である。そして、その確信を制約で補強した。シンプルな物理形状、クリックホイール、クリーンなインターフェース、そして機能説明というより感情を生み出す広告。有名なシルエット広告は取扱説明書ではない。ひとつの瞬間だった。可能性を生成することと、意味を選び取ることの違いがここにある。AIは選択肢を下書きできる。しかし、どれが「しっくりくる」のかを確実に教えることはできない。

AIリーダーシップはワークフローを変える

AIがワークフローをこれほどまでに変えるのはそのためだ。旧来のモデルでは、制作は高コストだった。調査、絵コンテ、脚本、仮のナレーション、音楽選定、反復──これらの工程があったのは、複数の高品質なコンセプトを生み出すのに、実際の時間と費用、そして調整が必要だったからである。いつまでも探索する余裕はない。「作る」ことに比べれば「選ぶ」ことは相対的に安かった。

いま、その経済性が反転した。制作が安くなった結果、手元に残るのは1つのコンセプトではなく50だ。だがそれで仕事が自動的に良くなるわけではない。むしろノイズが増えることが多い。どのチームも「そこそこ良い」を大量に持ち込めるようになると、リスクは希少性から希薄化へと移る。ブランドの声は似通い始める。デザインは視点のない有能なアウトプットの泥状混合物になる。マーケティングは量の軍拡競争へ変わる。誰もがより多くを出荷し、何も目立たなくなる。だから私はGEOのワークショップで、スロップ(AIが生成した文章)を使わないようブランドに勧めている。FORBESによるGEOのガイドブックも参照されたい。スロップは平均であり、平均はブランドを際立たせない。人間に対しても、大規模言語モデルに対しても同様である。

判断とクラフトが効いてくる

つまりクラフトが消えるわけではない。移動するのだ。重心は下流の「選定」「洗練」「勇気」へと移る。いま最も重要なクリエイティブ上の意思決定は、「作れるか?」ではなく「作るべきか?」に近い。何を捨てるか、何を尖らせるか、何を削るか、そして足し算が楽な局面で何を守り切るかを知っているように見える。機械がアウトプットを潤沢にするほど、センスが競争上の堀になるのはそのためだ。優位性はスピードではない。確信である。

ここでプロダクトとデザインのマネジメントも書き換えられる。伝統的なPMモデルでは、要件を定義し、決定論的な機能を出荷し、予測可能な結果を検証する。新しいクラフトは、不確実性とカオスという新たなレベルに焦点を当てることだ。そう、ここにはリーダーシップのギャップが生まれる。多くのマネジャーは、ロードマップ、ベロシティ、機能チェックリストといった「整理」に長けているが、真のレバレッジはすでにセンス、ガードレール、体験設計へと移っている。

チャットボットはブランドではない

この変化の初期形は、チャットボットの爆発的普及に見て取れる。いまやあらゆるブランドがチャットボットを持っている。特定のタスクにおいては確かに役立つ。「荷物はどこ?」「パスワードをリセットして」「返品ポリシーは?」。これらはユーティリティの課題であり、ユーティリティにはチャットがうまく機能する。しかし企業がチャットをブランド表現の主軸にしようとした瞬間、限界が露呈する。テキストボックスはブランドではない。プレーンテキストでどう差別化するのか。そもそもテキストだけで差別化すべきなのか。

次に来るのは「チャットボットの増加」ではない。会話を、視覚的探索、インタラクション、透明性と融合させた、より豊かな「センス主導のインターフェース」である。小売の未来は、質問に答えるボットではない。発見を助ける体験だ。例えば「3月のアイスランド用に冬のコートが必要」といった要望を解釈し、トレードオフを案内し、キュレーションされたと感じる比較を提示し、なぜそれを勧めるのかを説明し、それらすべてをブランドの声と一貫した形で行う。旅行では、航空券を列挙するチャット窓ではない。3つの異なる旅の「雰囲気」を提案し、それぞれで何を得て何を失うのかを説明し、クリエイティブブリーフのように計画を形作れる体験である。これは単なる自動化ではない。センスのための新しい表面である。

ディズニーにおけるAIリーダーシップ

私にとってディズニーは有用な北極星であり、真のAIリーダーシップを露わにする。ファンがディズニー風のキャラクターや物語を作れるようにするのは楽しいAIデモに聞こえる──だが、何が懸かっているかに気づいた途端に見え方が変わる。ディズニーのブランドはスタイルのシステムである。トーン、価値観、ビジュアル言語、物語のルールだ。単に生成器をオンにすればアウトプットは得られるが、同時に希薄化も起きる。ブランド外の結果が出る。不適切なコンテンツも出る。技術的にはディズニーに似ているのに、ディズニーらしくは感じないバリエーションが1,000通り生まれる。これを機能させるには、機械にセンスを埋め込む必要がある。制約、スタイルガイド、例示、安全ルール、そして創造性を殺さずに「ディズニーらしさ」へと創作者を導く思慮深いインターフェースだ。これがAIリーダーシップである。単にコンテンツを生成するのではなく、良いコンテンツが生まれ、キュレーションされる条件を設計することだ。

機会

だから機会はコスト削減ではない。「AIがメッセージを書けるからマーケティング予算を減らそう」。そうすれば、支払った分のものが返ってくる。スケールした平均的コンテンツだ。そして平均的コンテンツは不可視である。GEOやAEOも拾わないし、人間も拾わない。より良い物語は再配分だ。AIが上流の制作コストを下げるなら、依然として差別化を生む下流へ再投資する。クラフト、感情的共鳴、ブランド一貫性、インターフェース品質、信頼の仕組み、評価、そして仕事が「同質化」へ崩れ落ちるのを防ぐ人間の意思決定である。機械で時間を買い、その時間を意味に費やすのだ。

AIは選択肢を生成できる。しかし、どれが「しっくりくる」のか、どれが勇敢なのか、どの瞬間が感情的に刺さるのか、そして「明らかな選択」が誤りであるときにどう際立つのかを教えることはできない。それはバグではない。仕事である。あなたの仕事であり、だからこそAIは朗報なのだ。

本稿は、コーネル大学のエグゼクティブMBAプログラムで私が教えた中でも際立つ学生の1人、Justin W. Yuとの協働で執筆した。Justinは受賞歴のあるエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター兼ブランドストラテジストであり、グローバルなエンターテインメント資産にまたがるクリエイティブチームを率いてきた豊富な経験を持つ。鋭いセンス、深い業界勘、そして混沌としたシステムを明快な議論へと変換する稀有な能力を備えている。

Lutz Fingerはシリコンバレーのテクノロジストであり、コーネル大学の教員でもある。Google、LinkedIn、SnapでAI駆動型プロダクトを構築してきた20年以上の経験を持つ。連続起業家(Fisheye Analyticsを2013年に売却)でもあり、現在はXGEN AIでAI戦略を率い、次世代の生成系リテールソリューションを開発している。Cherry Venturesのベンチャーパートナーでもあり、複数のアドバイザリーボードに名を連ね、AIとコマースの未来に関するForbesの寄稿者としても頻繁に執筆する。著書『Ask, Measure, Learn』は、データを用いて消費者行動を形づくるための国際的に認知されたガイドである。INSEADでMBA、TUベルリンで量子物理学のMSを取得し、コーネル大学ジョンソン・スクール、Cornell Tech、INSEADでAI、データ、プロダクト戦略の講座を教えている。

forbes.com 原文

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