ビジネス

2015.10.10

オンライン賭博「ポーカースターズ」 米国で再認可

pedrosala / Bigstock



2011年にサイト閉鎖に追い込まれたオンライン賭博PokerStars(ポーカースターズ)がついにアメリカで復活する。同社はアメリカ再進出を果たすために、これまで司法省に対して7億3,100万ドル(約877億円)の和解金を支払い、ウォールストリートに煽られて傘下のFull Tiltを含めて49億ドル(約5,880億円)で身売りをした他、長年にわたって規制と対峙してきた。

そして、ニュージャージー州のゲーミング法執行局はついに親会社のAmayaに対し、同州内でPokerStarsとFull Tiltのブランドでオンライン賭博を展開することを認可した。この発表を受けて、10月1日にAmayaの株価は一気に14%値上がりした。カナダのモントオールを拠点とするAmayaと、若きCEOのDavid Baazovにとって、今回の認可は大きな意味を持つ。Amayaは、世界最大のオンラインポーカーサイトであるPokerStarsを昨年買収している。

表面的には、事業へのインパクトはそれほど大きくないようにも見える。ニュージャージー州は、オンライン賭博を規制してきた州の中では最大面積を誇るとは言え、市場規模はそれほど大きくない。2015年の8月までに同州がオンライン賭博から得た税収は1億ドル(約120億円)に満たない。

しかし、ニュージャージー州の認可を得たことにより、他の州でも、PokerStarsの認可が進むと思われる。また、かつて傷ついたPokerStarsのブランドイメージを復活させることにもなるだろう。2011年に、マンハッタンの連邦地検はPokerStarsの米国サイトを閉鎖し、不法に賭博ビジネスを運営したとして、同社に対して訴訟を起こした。

PokerStarsを息子Markと創業したIsai Scheinbergは起訴されたが、逮捕には至らなかった。司法省はこれまでオンライン賭博は違法であるとしてきたが、後にオンラインポーカーは違反しない旨の判断を示した。ScheinbergとPokerStarsは、これまでアメリカの法律に従って事業運営を行ってきたと一貫して主張し、連邦地検との取引によって、アメリカ国内でオンライン賭博が規制されている市場に再進出できるとの見方を示していた。

しかし、司法側は必ずしもPokerStarsと同じ見方をしていなかった。2013年にニュージャージー州のゲーミング法執行局は、PokerStarsがScheinbergとの関係を維持していることを理由に、同社が提出したオンライン賭博ライセンス申請の審査を停止した。米国籍を持たないScheinbergは、起訴を逃れるために米国外へ退去していた。PokerStarsは、ニュージャージー州に進出するために多くの金と努力を費やしたが、審査停止の判断を受けて、Scheinberg親子は、投資ファンドのブラックストーンの支援を受けたAmayaによる買収に合意した。

Isai Scheinbergを排除することで、PokerStarsはニュージャージー州の司法当局が示していた障害をクリアし、オンライン賭博を規制する最大の州であるニュージャージー州への再進出を果たすことができると見られていた。しかし、大方の予想に反して、認可までには長い時間を要した。一方で、オンライン賭博の巨人であるPokerStarsを欠くことで、ニュージャージー州のオンライン賭博からの税収は減少した。

近年、オンライン賭博市場は盛り上がりを見せつつあり、PokerStarsとFull Tiltを加えることで、更に活気づくことが期待される。
今回の認可は、この分野で巨大な市場であるカリフォルニア州でのAmayaやPokerStarsの活動を後押しすることになるだろう。同州では、オンライン賭博の支持者たちが立法者を動かして、オンライン賭博を解禁しようとしている。

文=ネイサン・バルディ(Forbes)/ 編集=上田裕資

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