経営・戦略

2026.02.20 21:57

小さなチームが大きな成果を出す時代——AIが書き換える企業競争のルール

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フクダ電子のデジタルヘルス担当バイスプレジデントであるジャスティン・ラムサランは、臨床現場向けのデジタルヘルスイノベーションとデータサイエンスの開発に取り組んでいる。

マーク・パーディは『Harvard Business Review』で「エージェント型AI(agentic AI)の登場により、人間とAIの協働のあり方は劇的な飛躍を遂げようとしている」と述べている。エージェント型AIでは、システムが人間の手助けを大幅に減らしながら計画、実行、適応を行うことができる。そしてまさにそれが、私がヘルスケア領域で目の当たりにしている変化である。AIが受動的なツールではなく能動的なチームメイトになったとき、小さなチームが達成できることの上限は劇的に変わる。

私はこの10年近く、ヘルスケアテクノロジー企業がハードウェア中心のビジネスからソフトウェア駆動型へと進化するのを支援してきた。私たちを常に悩ませてきた問いは同じだ。何十年も積み上がったレガシーインフラを抱えながら、どうすれば迅速に動けるのか。つい最近まで、それは不可能だった。AIがその前提を変えたのである。

投資環境は反転した

ベンチャー投資の物語は、静かに、しかし決定的に変化した。かつて投資家たちは大規模なインフラ、複数年にわたるロードマップ、大きなチームを評価していたが、今はスピードに投資している。AIで強化された小規模チームが、従来の大企業の定石を上回る成果を出している。5年前なら非現実的に聞こえたであろう光景だ。

私は、少人数のチームが手作業の業務カテゴリーを丸ごと排除することで「エンタープライズグレード」の成果を出すのを見てきた。定型コードの作成、ドキュメント生成、テストの雛形作成、顧客からの問い合わせの振り分け、分析の高速化などがその例だ。この増幅効果は本物であり、投資家たちもそれに気づいている。

大企業にとってのリスクは「AIパイロットを見逃すこと」ではない。オペレーティングレバレッジ(運用上のレバレッジ)の定義が変わりつつある中で、立ち止まっていることである。本当の問いはこうだ。AIを限定的な実験としてではなく、オペレーティングシステムの内部に組み込まれたコアインフラとして、どう展開するか。

実践においては、以下のような形になる。

・分散したツールではなく、共有AIレイヤーを構築する:集中型の「AIプラットフォーム」(モデルゲートウェイ、プロンプト/バージョン管理、評価ハーネス、監査ログ、アクセス制御)を立ち上げ、各チームがゼロから作り直すのではなく、同じ基盤の上に構築できるようにする。

・ワークフロー優先の統合:AIを、すでに業務が行われている場所(電子健康記録(EHR)のワークフロー、チケットシステム、コールセンターのスクリプト、製品UI)に組み込む。新たなステップを追加するのではなく、クリック数や引き継ぎを減らすためだ。

・ガードレールをデフォルトに:安全性、プライバシー、正確性を設計上の制約として扱う。ロールベースのアクセス制御、PHI(保護対象保健情報)の境界設定、承認済みソースからの情報取得、高リスクなアクションに対するヒューマン・イン・ザ・ループ(人の介在)チェックポイントなどがこれにあたる。

・導入率を稼働率のように測定する:サイクルタイム、問い合わせ転送率、解決までの時間、品質指標を、可用性を追跡するのと同じように追跡する。AIがスループットを確実に変えてこそ、初めて意味を持つからだ。

これが、AIが「パイロット」から脱却し、運用上の優位性となる方法である。

ヘルスケア:残された最大の宝の山

アンドリーセン・ホロウィッツは、ヘルスケアがAIの最大のインパクトを受ける可能性があると主張している。その理由の大部分は、この業界が歴史的にソフトウェアへの投資が不足してきたことにあり、それがAI移行においてはむしろ優位に働くという。同社のパートナーであるジュリー・ユーは記事の中で、ヘルスケアは他のセクターのように前世代のワークフローツールを廃棄することを遅らせる「埋没費用バイアス(sunk cost bias)」に直面していないと述べている。

平たく言えば、多くの業界は導入したばかりの高額なソフトウェアスタックの維持に追われている。一方、ヘルスケアには大きな飛躍の余地がある。なぜなら、多くの業務がいまだに手作業、電話、ファックスで行われているからだ。

そしてその規模は驚異的だ。CMS(米国メディケア・メディケイドサービスセンター)によると、米国の国民医療費は2024年に5.3兆ドルに達した。しかし、アクセスとコストは同じ根本的な問題によって制約され続けている。臨床判断は希少で高価なのだ。AAMC(米国医科大学協会)は、2034年までに医師不足が最大12万4000人に達すると予測している。看護師不足も、需要の増加と教育キャパシティの限界により深刻化が予想されている。AIは周辺で「手助け」するだけではない。専門知識をスケールさせ、臨床キャパシティを消費する事務的な負担を軽減することで、可能性の範囲を広げるのだ。

私が所属する企業を含む複数の企業が、「臨床データの配管」のさまざまなレイヤーを近代化している。医療機器の統合から、EHR統合ミドルウェア、コネクテッドヘルスのデータプラットフォーム、分析の統合まで多岐にわたる。焦点は、レガシーシステムを別のレガシーシステムに置き換えることではない。医療機器、電子カルテ(EMR)、分析をつなぐ臨床インテリジェンス基盤を構築することである。大規模な導入負担に縛られるモノリシックなベンダーが、迅速には提供しにくい形で実現する。

成功の尺度は、臨床的な信頼性と運用上の信頼性を維持しながら、摩擦をできる限り減らすことのバランスを取ることになるだろう。

摩擦の除去

成功するためには、AIの予算規模や最先端のモデルを持つことに執着してはならない。これらのツールを実際のワークフローにどう組み込み、導入における摩擦をどう取り除くかに集中すべきだ。

これは2つの面で展開される。

・顧客の活用度:ユーザーは製品内でどれだけシームレスにインテリジェンスにアクセスできるか。AI機能にトレーニングや行動変容が必要なら、すでに負けている。インターフェースは消えるべきだ。インテリジェンスは環境に溶け込んでいるべきである。

・社内での導入:チームはどれだけ迅速にAIを日常業務に統合できるか。AIを専門機能として扱う組織は、AIをメールと同じくらいアクセスしやすいものにする組織に追い抜かれるだろう。

結論

これは「AIを採用する」という話ではない。AIを使って事業運営の根本を再考することだ。より小さなチーム、より速い意思決定、組み込まれたインテリジェンス、摩擦のないデリバリー。スタートアップはすでにこの方向に動いている。選択の余地がなかったからだ。それ以外の私たちは、スタートアップのように動くことを学ぶか、彼らに道を譲るかのどちらかである。

forbes.com 原文

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