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2026.02.24 11:30

フォーブスが選ぶフィンテック企業トップ50──「Fintech 50」2026年版

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人工知能(AI)がテック業界の話題の中心となった中でも、2025年はフィンテックのスタートアップの勢いが増し、とりわけBtoB分野に特化した企業は着実な成長を遂げた。

未上場フィンテック企業への投資は約8.2兆円へと回復、市場は成熟した分野へ

フィンテック分野の新興企業は、市場環境の激変に見舞われてきた。2020年代初頭の同分野には、潤沢な資金が流れ込み、資金調達は容易だった。しかしその後、厳しい資金調達の冬が到来し、多くが姿を消した。2025年になってこの分野は落ち着きを取り戻し、AIや予測市場をめぐる過熱した投資ブームと比べると、むしろ成熟した分野とみなされている。CBインサイツによると、2025年の未上場フィンテック企業への投資額は前年比35%増の530億ドル(約8.2兆円。1ドル=154円換算)となり、4年ぶりに増加へ転じた。ただし、この金額は2021年に記録した1520億ドル(約23.4兆円)には遠く及ばない。

AI企業は、今なおベンチャーキャピタル(VC)の関心を独占しており、2025年には2260億ドル(約34.8兆円)を調達し、VC投資全体のほぼ2分の1を占めていた。一方で、フィンテックはもはやシリコンバレーの花形ではない。資金の流れが変わったことで、企業ごとの評価に大きな開きが生じている。

老舗の上場企業の株価は下落、最近上場した企業の株価も苦戦

老舗の上場企業ブロックやペイパル、コインベースの株価は2025年にいずれも10%以上下落した。これに対し、ロビンフッドの株価は約200%急騰した。フォーブス「Fintech 50(フィンテック50)」2026年版に名を連ねていた未上場企業のうち5社は、ここ1年で上場した。デジタル銀行のChime(チャイム)、生命保険のEthos(エトス)、住宅エクイティ融資のFigure(フィギュア)、出張・経費管理のNavan(ネイバン)、ロボアドバイザーのWealthfront(ウェルスフロント)だ。しかし、この5社のうち4社の株価は現在、上場当初の水準を下回っている。

フォーブスが2026年2月9日に公開した「Fintech 50」2026年版には、こうした厳しい環境の中でも成長の道を切り開いた起業家が名を連ねている。

ここ2年間で好調だったのはBtoB分野の企業、2026年版では20社を占める

ここ2年間で好調だったのはBtoB分野のフィンテック企業で、「法人向け銀行サービス(Business-to-Business Banking)」や「資本市場・企業向け(Wall Street and Enterprise)」の企業が目立ち、創設11年目となる「Fintech 50」2026年版のうち20社を占めた。

最も多くの企業を輩出したのは「法人向け銀行サービス」部門で、11社が選出された。そのほぼすべてが過去にもFintech 50に選ばれている常連企業だ。Plaid(プレイド)の共同創業者ウィリアム・ホッキーが率いる米連邦預金保険公社(FDIC)の預金保険制度の対象となる銀行Column(コラム)は、2025年に売上高を2倍の2億ドル(約308億円)超へ伸ばし、「Fintech 50」2026年版で3年連続でリスト入りした。

法人向け当座預金口座から運転資金融資まで幅広いサービスを提供するMercury(マーキュリー)は、3年連続で黒字を達成して売上高を6億5000万ドル(約1001億円)に伸ばし、「Fintech 50」2026年版で34度目のリスト入りを果たした。法人向けクレジットカードを手がけるRamp(ランプ)の評価額は、2025年7月に225億ドル(約3.5兆円)に達した後、11月には320億ドル(約4.9兆円)に上昇した。同社は、6年連続で選出された。

ウォール街の金融機関向けにソフトウエアを提供する新興も好調

ウォール街の金融機関向けにソフトウエアを提供するスタートアップも好調で、複数の企業が今回、「Fintech 50」2026年版で初めて名を連ねている。バージニア州に拠点を置くAntithesis(アンティセシス)は、AIを活用してソフトウエアの隅々に潜むバグを検出し、トレーディング会社が数億ドル(数百億円)規模の損失を被る恐れのある誤作動を回避できるよう支援する。2025年1月にアンティセシスの顧客となったクオンツ大手ジェーン・ストリートは、同年12月に実施された同社の1億500万ドル(約162億円)のシリーズA資金調達ラウンドを主導した。

ニューヨーク拠点のMaybern(メイベルン)は、プライベート市場のファンドを悩ませる煩雑な会計業務を自動化する。同社は、運用資産総額が合計800億ドル(約12.3兆円)に上る不動産ファンドやプライベートエクイティファンドを含む20社超を顧客としている。そこには、ゲージ・キャピタルやマディソン・リアルティ・キャピタルなどが含まれる。

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翻訳=上田裕資

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