恐怖心ではなく、好奇心を選ぶ
好奇心を持つリーダーとして、自らにこう問いかけてみよう。「もしこれに挑戦したら、私は何を学べるだろう?」「これを言わなかった場合の代償は何だろう?」
ただし、「好奇心に基づいたリーダーシップ」とは、無謀なかたちでリスクを取ることとは違う。あくまで、節度を持った好奇心だ。
節度を持った好奇心とは、具体的には以下のような在り方を指す:
・恐怖心が決断の原動力になっている時に、そのことに気づく
・反応する前に、より質の高い問いを投げかける
・フリーズしそうになっても、意志を持って一歩前に出る
・失敗をいつまでも悔やむのではなく、学べたことは何かと考える
これは、防御反応を探究心で置き換え、ためらいを実験精神で置き換え、コントロールを成長で置き換える取り組みだ。成功者の心理に関するキャロル・S・ドゥエックのベストセラー『マインドセット「やればできる! 」の研究』(邦訳:草思社)によると、こういう時こそ、硬直したマインドセットから、成長につながるマインドセットへと移行するタイミングだという。
好奇心に基づくリーダーシップが今、重要視される理由
Deloitte(デロイト)による調査「グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンド」によると、企業がリーダーシップに求める要素では、適応力とレジリエンス(回復力)が常に上位を占めている。しかし適応力は、恐怖心に基づく「状況のコントロール」とは共存できないものだ。
恐怖心がその場を支配すると、リーダーの思考の幅は狭くなる。安全を確保するための最善策を選び、現状維持に走るようになる。こうなると、企業は「自分」中心の文化(Me Culture)の中で運営されるようになる。
一方、好奇心は視野を広げ、提案を促し、認知の柔軟性を高める。こうした認知の柔軟性は、「私たち」中心の文化(We Culture)から生まれるリーダーシップの基盤となるものだ。これについては筆者も、まさしく『We Culture』というタイトルの著書の中で解説している。
いま、最も効果的なリーダーは、恐れを知らないタイプではない。結果が不確実な時でも、広い視野で探求する意欲を持った人たちだ。
一旦立ち止まったあとに、発想の転換を
次に、声を上げようとする前に緊張を覚えた時には、いったん立ち止まって、自分に問いかけてみよう。「この場は、恐怖心によって支配されているだろうか?」。そしてもし、恐怖心に支配されていると思われる場合、こう問いかけてみよう。「好奇心があれば、どんな行動に出るだろうか?」
効果的なリーダーシップを発揮するために、恐怖心を排除する必要はない。恐怖心の存在を認めた上で、別の道を選ぶことが肝心だ。筆者がホスト役を務めるポッドキャスト「Corporate Therapy」では、今現在のリーダーシップを形作る心構えのシフトについて考察し、こうした考え方についてより詳しく説明している。


