リーダーシップ

2026.02.22 11:00

ミラノ五輪で絶対王者マリニンも陥った、「恐怖心の罠」を好奇心で克服するリーダーシップ

Shutterstock.com

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ミーティングで、価値ある提案が頭に浮かんだのに、黙りこくったままでいた経験はあるだろうか? そういう人はあなただけではない。心理的安全性を感じられない状況では、声を上げることが成果の向上につながるとしても、従業員がアイデアや懸念、フィードバックの表明を控えてしまうケースが多いことが、ハーバード・ビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授による研究で明らかになっている。

多くの企業において、沈黙は「アイデアがない」ことを意味するわけではない。それは、恐怖心を抱いているゆえの反応だ。では、リーダーが好奇心を尊重するマインドセット(心構え)を持つには、どうしたらよいだろうか?

恐怖心は、ネガティブな心の声として現れる。「もう少し考えてみよう」「タイミングが良くないかも」「愚問だと思われたらどうしよう?」といった声だ。

しかし、自分を守る手段として見えていたものは、時とともに、成長を静かに阻害するかもしれない。あるいは、夢を追求する意志を制限してしまうかもしれない。夢の実現が、あまりにも厳しく、遠いものに思えてしまうからだ。こうした恐怖の感情は、人の身をすくませ、不安を煽る方向に作用する。

筆者は、企業幹部向けにコーチングを行なってきたなかで、ある一貫したパターンに気づいた。それは、最も成長が速いタイプのリーダーは、恐怖心を排除するタイプではない、ということだ。むしろ、恐怖心の存在を認めた上で、好奇心を優先させることを選ぶ人たちの成長が速かった。私はこれを「好奇心に基づくリーダーシップ」と呼んでいる。これは、恐怖心から生まれる反応を、節度を持った好奇心で置き換える取り組みだ。

恐怖心に基づくリーダーシップのサイン

恐怖心に基づくリーダーシップの影響が、明確に表れることはめったにない。それは、以下に挙げる行動のような、微妙な形で進行する:

・組織の和を壊さないために、話しにくい話題を避ける
・自分が無能に思えるインポスター症候群に陥り、準備を過剰に積み重ねる
・ミスの可能性を減らそうとして、マイクロマネジメント(部下の業務を細部まで管理する姿勢)に走る
・成長が停滞し始めてからかなりの時が経っているのに、慣れ親しんだ役割に留まり続ける
上層部が参加する会議で、大胆なアイデアの提案を控える

恐怖心は、弱さの証ではなく、慎重さを促す感情だ。しかし、必要以上に慎重なアプローチをとっていると、価値の低いタスクに過剰に時間を費やし、未来を見据えた戦略的な仕事が先延ばしされてしまう。慎重さが業務の大原則になると、イノベーションは阻害され、雰囲気を察知したチームが萎縮し、チャンスをみすみす逃すことになる。

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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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